私が欲しいのはこの皇子!【完結】

Lynx🐈‍⬛

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 トーマス邸には来たものの、そのまま夜を明かしていいものか分からなかったラメイラ。

「トーマス、私皇女宮に戻るよ。だって、泊まれないだろ?結婚式もしてないし。」
「明日朝一で俺達の婚約発表はされる。その時一緒に過ごしたいんだが?」
「………わ、私も一緒に過ごしたいけど……。」
「あ、そうだ、見せたい物があるんだ。」
「見せたい物?………道具じゃないだろうな。」

 トーマスは、ラメイラの頭の中が閨でいっぱいなのか、と思って爆笑した。

「はははっ!違う違う、内装見てないだろ?ここは応接室だから、レングストン風なんだが、他はトリスタン風の内装なんだ。職人にトリスタン風にしてくれ、と頼んでね。家具もトリスタンから取り寄せたんだ。」
「本当に!?見たい!!」

 ラメイラがトーマスの腕を引っ張って、他の部屋に行くと、侍女達が忙しく片付けをしていた。
 若干だが、照れているようだった。

「まさか………聞かれて………た?」
「デカかったからなぁ………ラメイラの声。」
「言ってよ!!」

 散々、焦らしだの欲しいだの好きだ等言ってきたラメイラも赤くなる。

「俺の身の回りの世話をしてきた侍女達が大半だが、ラメイラの事を主に任せる事にする。ラメイラの侍女達はトリスタンに戻ったろ?俺が執務中やラメイラの支度に忙しい時間には皇女宮に行かせるから、顔と名前覚えてやってくれ。」
「ラメイラ様、この度はトーマス殿下とのご婚約おめでとうございます。私がトーマス殿下の侍女達を取り仕切る、マーニャと申します。お気軽に御用の際はお申し付け下さい。」
「宜しく、マーニャ。」

 深々と一礼するマーニャと他の侍女達。
 統率のある動きは、トーマスがきっちりしているからだろう。

「ラメイラ様の故郷、トリスタンとは若干違うかと思いますが、ラメイラ様が過ごしやすいよう勤めて参ります。」
「気遣いありがとう。本当にトリスタン風になってて落ち着くよ。トーマスもありがとう。」
「リビングとダイニング、バスルーム、寝室はトリスタン風にしてあるよ。ラメイラがよく使うからな。」
「そうしたら、トーマスが落ち着けないんじゃ?」
「俺?俺はラメイラが傍に居れば落ち着くからいいんだよ。」

 侍女の前で甘い言葉を平気で言ったトーマスを侍女達は初めて聞いたようで、再び顔を赤らめた。

「マーニャ、今日明日は俺は仕事が無い。だから、ラメイラは今日と明日ここで寝るから、ラメイラの必要な物を持ってきておいてくれ。」
「では、早速お持ち致しますが、私達がラメイラ様の物を触っては駄目な物等あれば教えて下さい。」
「そういうのは無いよ、服はこういうのが着なれているから、淑女らしいドレスさえ入ってなければ。持ってないんで、許可なく入れないで欲しい。基本的には自分の事は自分でやるのが好きだから、必要に駆られない限り、着飾るのは極力控えたい。」
「畏まりました。では、お持ち致します。」

 マーニャの合図で数人動く。

「彼女達も聞いてましたから、大丈夫だと思います。それでまだ不都合がありましたら仰って下さい。」
「了解。」

 暫く侍女達の自己紹介を含めた雑談をしている最中、ダイニングで昼食が用意出来た、と知らせが来た。
 2人分の食事に驚くラメイラ。

「こっちに用意してくれたんだ。」
「ラメイラと食べようと、こっちに運ばせたんだ。」
「…………ありがとう、トーマス。」

 食事をした後、邸の見学して家具の位置などをトーマスと相談していたラメイラ。
 衛兵達を呼び、家具を移動するとラメイラは満足した様子で、トーマスも嬉しかった。

「楽しい!時々家具の位置変えて気分変えようよ、ね?」
「ああ、いいなそれ。」

 模様替えをすると、既に午後は潰れ、夕食の時間。
 ラメイラは空腹でお腹が鳴った。

「マーニャ、ダイニングに夕食準備はまだか?」
「今、準備をしてますよ。」
「手を洗ってダイニングに行こう、新品の家具だが、意外と汚れてるし。」
「ホントだ。洗いたい。」

 手を洗いダイニングに入ると、夕食準備が終わっていた。

「マーニャ、片付けたら今日は下がっていい。風呂は準備してあるんだろ?」
「はい、お風呂は入れるようにしておりますが、ラメイラ様の準備をしないまま、下がって良いのですか?」
「構わん、夕食食べたら俺達は風呂に入るから、下がっていい。」
(………閨の準備もしないのか?)

 少し不思議だったが、マーニャもその様に動き、ラメイラはトーマスの考えが分からなかった。
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