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阿修羅
しおりを挟む屋上でお互いの話をしつつ、シヴァの武器が気になっていたジュディスはシヴァに質問する。
「シヴァの武器、不思議な形ね。」
「…………これか?俺の親父、前国王が作った武器で、阿修羅と名が付いている。中央の鍔を指に乗せてごらん。」
そう言うと、ジュディスに阿修羅を手渡すシヴァ。
言われるまま、ジュディスは利き腕の人差し指の腹に乗せると、刃と柄がバランスを取っている。
「な、何コレ!通常の剣はこんなバランスで作らないわ!」
「この剣はバランスが大事なんだ。小回り効くんで、俊敏な動きがしやすい。俺も両刃の剣も使わない事はないが、これのが能力が出しやすくて相性がいい。」
「…………ちょっと振ってみていい?」
「いいけど気を付けろよ、指で回転する時は切れるし、能力を注がず使うと殺傷力がある。………鞘に入れて使うとバランス崩すから練習には不向きなんだ……だから、能力使う時しか俺も振り回さない。」
「………………気を付ける。」
クルッ。
切替しが楽な短剣で、鍔を中心にバトンのようにクルクル回し始めたジュディス。
(へぇ………。コレが出来たら扱えそうだな。)
カシャン。
「あ、ごめんなさい!落としちゃった!」
「………いや、大したもんだよ。」
お互いに阿修羅を拾おうと屈む。
「……………。」
「……………。」
見つめ合う2人。
眼が反らせない………。
「シヴァ様、どちらにおられますか?」
ソロの声が下の階で聞こえる。
「!!!」
「!!!…………ご、ごめん。」
「………い、いえ………。」
「ソロ、屋上だ!」
ジュディスは照れ隠しからか、鞭を振り回し始めた所でソロが到着する。
「…………こちらでしたか………あれ、ジュリアナ王女ですか?」
「………あ、あぁ、戻したそうだ。」
「………アレクセイ王子を彷彿とさせる美しい髪色で………。」
「瞳もコールドブルーだったぞ……彼女。」
「……………え?」
「…………似ているんだ、兄上に………。」
「アレクセイ王子の母上はこちらの出自だったという事は……………。」
「………分からん。だが、想像で物事は判断出来ん。」
似ているというだけで、憶測を広める訳にはいかない、とシヴァは思う。
糠喜びは出来ない。
その考えは直ぐに消し飛ばしたシヴァだった。
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