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契約続行か解消か
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ヴァルム元伯爵にアルジャーノンで起きた事を聞いているアスランとローウェン。
領主の領民の扱いもさることながら、ライオネルの言い分にも呆れてしまう。それで国として成立っているのだから、かろうじて民を大事にする領主も居るのだろう。
「何でアイツがミレーユを妃に、て言うんだよ!本当、アイツは僕への嫉妬心が衰えないなぁ」
「多分、お前のその態度が尺に触るんだろうよ………」
「僕が思うに、ミレーユが住んでた領主、殺されるね」
「………でしょうね」
ローウェンもヴァルム元伯爵も、ライオネルの事をよく知っている。
「その根拠は?」
「ミレーユをグレイシャーランドに出したからじゃん」
「女1人の事でか?」
「ライオネルはそういう奴なんだって………アッシュは知らないだろうけど、ライオネルの妃になった令嬢は病弱だったんだよ……結婚はしてても、いつ死ぬか、て待ち望んでた……白い結婚だった、て話もあるぐらい」
「よく知ってるな」
「うん、だって母上からの情報だし………ライオネルが結婚した時に聞いたんだって……子は別の女と作るので、て」
「その女をミレーユに、て魂胆だったのか……」
アスランは顎に手を当て考えている。
「だけど、干ばつがあったって言ったよね、伯爵」
「はい………2年程前から作物が育たず……」
「僕ね………あの地に隠れ住む様に、て伯爵に頼んでたんだ」
「は?」
「…………あの地は、グレイシャーランドの砦に近いだろ?いつでも逃げて来れるように、とね………伯爵は懐刀だったから、命の危険が1番強いけど、ライオネルは伯爵を危険分子に挙げていても、部下に欲しかったんだ……だから、何方にも着かないという条件と、僕がミレーユを諦める事、他にも僕を擁護した者達毎にライオネルが承諾する条件を全部僕から提示して、グレイシャーランドに来た………1番厄介な条件は伯爵で、領主との関わりも政治から遠ざかる事で、ミレーユを隠させたのもライオネルなんだよ」
「何でミレーユに拘る?」
「え?君が言う?………ミレーユを1ヶ月見てきたよね?」
「そりゃあ………頭もいいし度胸もある……知識の収集量は限りない……政治にも詳しいしな」
「王と肩を並べる妃なんて、そうそうに居ないよ………伯爵が自分の後継者に、とミルドが産まれる迄そういう教育されて来た子だから」
「ミレーユは教育を減らしても、その習慣が消えない子でしたから……」
「そのミレーユを隠すのを止めた理由は?」
「ライオネルの妃が死んだからだろうね……喪が明けると同時に動きだしたんだよ……隠す必要無いからね………僕はもう亡命したしアルジャーノンには帰れないから………邪魔者は僕だけだと思ってる」
ローウェンの考えは納得が行く。だが、欲しい時に居なかったから、またライオネルがどう動くのを探る必要がある様だ。
「ライオネルは俺が拘ってるのはまだ知らないよな?」
「知らないんじゃない?でも、僕がグレイシャーランドに居るのは知っている筈だし、何かしら勘づくとは思ってるけど」
「戦争にはならんとは思ってるのは、安直だと思うか?」
「…………如何だろうね……ライオネルがキチガイにならなきゃならないんじゃない?」
「…………お前なぁ……」
「アルジャーノンに戦力等ありませんよ……領主同士は仲も悪い、ライオネル派だった貴族達は私利私欲ばかり……戦争になったらグレイシャーランドの方が強いでしょう……ですが、私も戦争は反対です」
「あ!!アッシュがサッサとミレーユと結婚しちゃえば良いんだよ!!アルジャーノンに知らせてさ!結婚式挙げちゃえぱ、ライオネルは諦めるんじゃない?」
「おまっ!!…………ミレーユをアルジャーノンの問題に関わらせるんじゃない!!ミレーユと俺の結婚は、俺達2人で納得して決める事だ!別で考えさせろ!!」
「………ローウェン殿下………私もソレは反対ですよ」
ヴァルム元伯爵が、顔色を変える。結婚話が出て、些か心の準備が必要だったのに、目の前に座るアスランとミレーユの関係を暴露された言葉に、冷静さが保てないのだろう。
「ほら、伯爵もそう仰っている………俺がまだミレーユにプロポーズもしていないのに、ここで決める話ではないし、お前がライオネルを如何したいかの意見が出ない事には、俺も動けん………一体如何したいんだ?ライオネル失脚か?この国の宰相の地位を捨て、アルジャーノンの新王になるか?」
「…………も、戻れると思う?」
「殿下………殿下の意思がそれならば、私も協力は惜しみませんよ?」
「簡単な方法で戦争になる可能性に持っていくのなら、俺は協力しないぞ………ナーシャとの婚約も無くなると思え」
「え!!やだよ!!ナーシャは僕の天使だ!!天使を取り上げられたら死んじゃう!!」
アスランは、ローウェンの本心を聞けたので、一先ず安堵する。
「なら、ローウェン……悪いがミレーユを連れて来てくれよ」
「…………あ!人使い……じゃない!義弟使い悪い!!!」
「頼む…………俺が行ってもいいが、先に伯爵と話をさせてもらいたいんだ……ミレーユの事で」
「…………分かったよ……行ってくる……あっちから行って、城門からだよね?」
「馬使っていいから」
「使うよ!当たり前だろ!!でも良いのかなぁ?ミレーユ触っちゃうけど……」
「2頭繋げてあるよ」
「…………ちっ……初恋の子に触らせない器量の狭さ………嫌いだ」
「お前の魂胆見えてんだよ………誰が触らせるか………俺のニオイが消えるわ」
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