貴方は私を虐げてきたのではないのですか?【完結】

Lynx🐈‍⬛

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 放課後の教室。
 未央理は数学のテストを白紙で提出した為、放課後再度テストをさせられている。

「………眠い……」
「私語は慎め」
「誰の所為だと……」
「お互い様だろ」

 未央理の机の前に椅子を持って来て、足を組み監視をしている秀平。

「………あと5分」
「っ!」

 授業時間と同じ時間分、同じテストをさせられて眠くて仕方ない未央理は、何度も欠伸を繰り返していた。

「はい、終了………飲まなかったのか?疲労回復薬」
「………そんな飲む余裕ありませんでした~、誰かさんのおかげで」
「言っただろ?朝……隠して出ろよ、て」
「………言ったね……」
「………仮眠しとけよ……今日、職員会議があるから、それ迄は寝れるだろ」
「………うん………昨日……ごめん……ありがとう……」
「………何だよ、素直じゃないか………おい!寝るな!帰ってから寝ろ!」
「ぴゃっ!」
「………プッ……何だよそれ……ちゃんと帰れよ」
「………う、うん」

 今日もまた、未央理に時間を割いてくれた秀平は、答案用紙を受け取り、職員室へと向かった。
 怒りもせず大人の対応で、ピーピー騒いでいるのは未央理の方だ。

 ---金土……本当にスる気なのかな………幾ら夫婦だからって、愛情無いよね、お互い……

 好きとも言われていない相手に身体を許したくないから、昨夜の話になった未央理だが、秀平はそれを聞いても意思は変わらないのだろうか、と思ってしまい、溜息が漏れてしまう。

「………帰ろ……1人で悩んだって意味無いよね」

 通学バックに筆記用具をしまい、裏口へと向かう。

「三条先生、金曜の夜空いてます?」
「………?」

 職員室の近くを通らなければ裏口に出れないので、靴を履き替えた未央理が職員室の方角へと歩いていた。
 職員会議がある、と言っていた秀平が此処に居るのはおかしい。教室から出てからそんなに時間は経ってはいない。

「空いてませんが何かありました?」
「飲みにお誘いしたくて……空いてる日教えて頂けたら………お話したい事もありまして……」
「話したい事があるなら今聞きますが」
「………出来れば、学校ではない場所で2人きりで……」

 雰囲気から、女の教員は秀平を口説こうとしている様だ。

「………申し訳ありませんが、色恋系の話になるならお断りします」
「………そ、そんな………三条先生……私の気持ちには気が付いてらっしゃいましたよね?」
「はい、知ってますよ」
「一度お付き合いから……」
「僕に妻が居るとお話してましたが?」
「………あ、あんな小娘の何が良くて……」

 そう、教員達は未央理と秀平が結婚しているのを知っている筈で、脈の無い恋愛になりそうだと思えば言えずに終わらせる方が多いだろう。

「可愛いんですよ……本人はあまり言われたくなさそうなんで、本人には言わないですが、僕は彼女に救われたので、離したくないんです……だから裏切る行為はしたくない」
「………あ……」

 思わず、未央理が声を挙げてしまった。

「え………み、未央理……?まだ帰ってなかったのか!」
「………こ、此処から通った方が近いから……」
「此処は職員専用だぞ」
「知らなかったもん!教えてよ!………か、帰るから!続きどうぞ!」

 未央理はその場に居たくなくて、走って裏口迄ダッシュした。

「未央理様!心配しておりましたよ」
「ご、ごめんなさい………ちょっと居残りを……か、帰ります……」

 一方の秀平と女教員は、気まずい雰囲気に飲まれた。

「と、という訳なので………」
「純情なんですね………もう少しクールな方だと思ってました、私」
「………な、内密に願います」
「悔しいので、飲みに付き合って下さい……には、浮気ではない、とちゃんと説明して差し上げますから」
「………い、いや………それも……」
「バラしちゃいそうだなぁ……」
「なっ!」
「………予定、経てて下さいね、三条先生」

 秀平の深い溜息と共に、日が暮れ掛かっている。

「何て言えばいいんだ………こんな事……」

 結局、秀平は職員会議で帰宅が遅くなり、理事長でもある護も同じぐらいの帰宅になった為、1人で夕飯を食べる未央理。

 ---あの後如何なったんだろうなぁ……

 秀平の告白される場面を見て、すっかり目が覚めた未央理は、ぼんやりとテレビを見て過ごした後、黙々と食べていた。

「おかえりなさいませ、旦那様、秀平様」
「ただいま」
「ただいま」

 既に着替えてきてからダイニングに来たのか、ラフな格好になっていた秀平。

「おかえりなさい………」
「………少しは仮眠取ったか?」
「寝てない」
「そうか………」
「ご馳走様でした………シャワー浴びてきます」

 三条家には風呂場とシャワールームが別にある。風呂場にもシャワーはあるが、武道場の方にシャワールームがあるのだ。手短に身体を洗うには丁度いい。
 武道場は護や武道の先生も教室を開いているので、学校を終えた子供達も多く、夕方頃迄は道場は掛け声で賑わっている。子供達の声が聞こえなかったのもあり、シャワールームを使わせて貰った。

「さっぱりしたぁ……」
「………未央理」
「………な、何?」
「今日も勉強するからな」
「………うん……分かった……髪乾かしてからでいい?」
「………あぁ」

 弁明もしようともしない秀平。
 未央理が気にしているにも関わらず、秀平はその事に触れもしなかった。
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