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しおりを挟む生徒会の一員は学校に戻って来る。
「藤枝君の事置いてきちゃったけど、大丈夫かしら」
「戻ってくるんじゃない?居辛いだろうし」
「でも、さっきの話本当なのかな」
「………あぁ、崇の異母妹の話?」
「うん……藤枝君が生徒をあんな罵倒するなんて、と思ったし……」
廊下で話しながら歩いていたからか、教員達にも気になって耳にしていく。秀平もその1人だ。
「崇………いや藤枝君が如何かしたのか?」
「三条先生……そういえば遠縁とか聞いた事ありますけど、ご存知ですか?藤枝に異母妹が居るの……」
「………あぁ、一年に居るが?」
「………本当だったんだ、あの話」
「………だな……」
「何かあったのか?」
生徒会の一員達はそれぞれ顔を見合うと、秀平に話す。
「駅前のカフェに僕達よく行くんですけど、そこでその一年の生徒と藤枝が口論して……」
「三条未央理?」
「名前は知りません。でも険悪なムードで……」
事の成り行きの話を一部始終聞いた秀平。
「………はぁ……他人の振りをするんじゃなかったのか……」
「先生、あの2人って仲悪いんですね」
「悪い、て可愛い言い方じゃない………最悪だ……君達は、言いふらし回るんじゃないぞ!」
「遅いと思います。何人も見てましたから」
「………そうか……三条の方からの言い分も聞いておかなきゃな……」
「名字が違いますけど……」
「その事に詮索するな、家庭の事情に首を突っ込むなよ」
秀平は、なるべく早く帰れる様に、片付けて家に帰った。
「未央理!未央理は帰ってるか?」
「おかえりなさいませ、秀平様。未央理様でしたら先にお風呂に入りたい、とご入浴中ですが」
「でも長くない?今日」
「あ、そうね、1時間以上にはなってるわ」
「………未央理!」
「あ、おかえりなさい」
「………未央理……」
丁度、風呂から出て、秀平の声がしたのでまだ濡れた髪のまま顔を出した未央理。
焦って、荷物を投げ出し風呂場へと行こうとしていた秀平が、未央理を見て脱力すると、抱き締めに行く。
「ち、ちょっと!秀平、濡れちゃうよ!」
「そんな事はいい!大丈夫か!」
「………何が?………あ、オリバーさんに手を舐められた事?」
「………は?オリバーに手を舐められた……だと?」
「………え?違うの?言わなかった?オリバーさん………何か言いそうな人だと思ったんだけど……」
秀平は崇との事を聞いたのに、未央理はオリバーにされた事を言う。
「もう気持ち悪くてさ……手を洗ったんだけど、その後またムカつく事あって、ムカつき臭を洗い流したくて、帰ってからずっとお風呂入ってて……逆上せ始めたから出てきた………秀平?……何固まってるの?」
「………オリバーの事は後からじっくり確認する………崇の事だ!」
「………あぁ!あの馬鹿兄貴ね!思い出すだけでもムカつくわ!人に学校では関わるなって言っておいて、私を無視出来ず突っかかってきたの……店に迷惑掛けちゃったよ……また行きたかったのに……」
「生徒会役員達から聞いた………月曜、騒ぎになりそうだ」
「うん………録画してた人も居たから止めたけど、噂は広まると思う」
「渦中の的になるぞ?口止めは教員達にもお願いはしてきたが」
「藤枝の方にも言っておいた方がいいかな……」
「………大叔父に連絡しておく……未央理は髪を乾かせ」
それ迄、秀平は未央理を解放する事はなく、髪を乾かせ、と言った後、やっと未央理を放した。
「………プッ……」
「如何した?」
「………口癖になっちゃったね、秀平の髪を乾かせって」
「笑う所か?」
「さっきカフェで秀平とよく喧嘩する、て話になって、髪を乾かせ、てよく怒られるって言っちゃった」
「………なっ……」
未央理のあまりにも可愛らしい笑顔に、秀平は固まる。
「未央理………今夜眠れないと思えよ」
「………え!」
「オリバーの事も確認しないとならないしな」
「何で?指舐められただけ………」
「それが!確認事項!」
「意味分かんない」
「いいから髪乾かしてこい!風邪引いたら困る!」
「………は~い」
秀平が帰ってから、秀平は頻繁に央と話をしていて、時々大声で受話器越しから雛子の怒号が聞こえて来たのは、未央理にはうんざりだった。
「やっと終わった」
「如何だった?あのオバサン、煩かったんじゃない?」
「途中、大叔父がスマホに切り替えて、外で話したよ………崇は自分のイメージとプライドが傷付いて落ち込んでるよ……未央理から言い負かされたから」
「あれで言い負かされたなんて思うなんて、ガラスの心臓なんだね、アイツ」
「………一応、俺の親戚でもあるんだから、ちょっと言葉には気を付けろ」
ベッド脇に座って寝るだけだった未央理に、風呂から出たばかりの秀平がポンポンと頭を撫でていく。
「それはよく知ってるけど……私だって罵倒されて生活してなければ、普通に接してくれてたら、あんな言い方しないよ………でも、お母さんがもう直ぐ死ぬんだから野垂れ死にしろ、て言われて傷付かないなんて無理だよ……」
「それは、聞いたから大叔父には伝えたが、今頃は崇は怒られてる筈だ」
「………オバサンは、庇いそうだね」
「あぁ、電話では庇ってたな……崇はそんな事言う子じゃない、とかな」
「相変わらずだなぁ」
秀平がタオルをベッドの縁に掛け、未央理の隣に座った。
「………それはそれで置いといて、もう一つの確認したいんだが?」
「確認?何だっけ………あ……オリバーさん……」
「さぁ、教えて貰おうか?奥さん」
秀平の不気味な笑みが、未央理の夜がスタートする。
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