2人の婚約者が居る天使【完結】

Lynx🐈‍⬛

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餌付け

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 ワゴンの上に、軽食を運びに尊が戻って来る。夜中なのもあり、かなり消化の良さそうな料理ばかり。サンドウィッチは野菜のラペが挟まり、温かそうなスープとフルーツ。尊が作ったのか、別に料理人が居るのかは分からないまま、料理を見て空腹だと気が付いた雫。ワゴンをベッド脇に止め、尊もベッドに座ると、サンドウィッチを雫の口元に差し出した。

「あ、ありがとうございます」
「受け取るんじゃない、口開けろ」
「………え?食べれますけど」
「いいから口開けりゃいいんだよ、お前は」
「…………」

 横暴な口調に、嫌気が指した雫だが、また身体を弄ばれては嫌なので、口を開けた。一口では入らなかったサンドウィッチだが、咀嚼を終える迄、尊は持って待ってくれていて、咀嚼を終えれば、またそのサンドウィッチを口迄運んでくれた。

「美味しい………」
「だろ、このラペは俺の得意料理の1つだからな」
「尊さんが作ったんですか?」
「趣味だからな、料理作るの。弥も料理作るぜ?今日は俺の当番だったしな」
「羨ましい………私は包丁も持たせて貰えなかったから………」
「教えてやるぞ、料理ぐらい」
「え?」

 行為以外の話も、気さくにする尊。弥も聞いた事には答えてくれていたが、行為さえ抜きにすれば、普通に接してくれるようだ。

「結婚するのは決まってるしな、雫の料理も食べてみたい」
「お、お祖父様が許すかしら………あ!私の荷物何処ですか!!お祖父様に連絡しなきゃ!!門限に帰れなかったし!」
「雫、こっち向け」
「え?…………んぐっ………」
「コレも美味いだろ、産地厳選した苺だからな」

 祖父の事を話題にすると、遮りたいのか弥に苺を雫の口に放り込まれた。

「………お、美味しいですけど、説明しなきゃ………お祖父様に貴方達から連絡入れてるんですか?」
「知ってるぜ、天使の爺さん」
「外泊許可も取ってあるから心配するな」
「…………そ、そうだったら、そうと早く説明欲しかった……」

 一気に緊張感が無くなった雫。いくら婚約者が相手だろうと、拉致監禁、強姦迄されて、祖父は黙っていられる筈がない、と思っていたのだ。

「雫が俺達と会うのを避けてたからだろうが」
「何回だ?ドタキャンされたの」
「10回はあったな」
「だ、だからって犯罪じゃないですか!誘拐に拉致に強姦………」
「誘拐はないな………同意して車に乗ったの雫だし」
「強姦もしてないな………まだセックスしてないし……ABCで言えば、まだB止まりでAもない」
「じゃ、じゃあ………手錠や縄の拘束は監禁じゃ………」
「明後日……いや、もう明日か……パーティー終わって、もう1日俺達に付き合えば帰す、て言ったろ?」

 犯罪ギリギリではあるが、同意して付いて来た雫が悪いと言えば悪い。雫にも責任はある。だが、睡眠薬を嗅がせる事をしなくても良かったのでは、と思ってしまう。

「じゃあ、何故睡眠薬迄……」
「会う気が無い女に会う為にしたんだ、こっちは会いたい、と言ってきた筈だが?警戒されて、話も出来ないんじゃなぁ」
「そうそう、無理矢理にでも会ってみたくてね、天使の爺さんに頼んだのさ」
「だ、だからって………あの………縛ったり……そ…………剃ったり………」
「当たり前だろ?結婚するんだ、身体の相性みないとな…………ほら、これも食え」
「…………え?」

 弥がサンドウィッチを咥え、雫の口に持ってくる。口移しでもさせようとしているのか……。

「………おひる落ちる
「雫、食べてやれよ、美味いんだろ?俺のサンドウィッチ」

 尊も躊躇する雫の後押しなのか、弥の手助けなのか、雫の口を開かせると、弥がサンドウィッチを雫に入れた。しかし、それで終わる弥ではなく、半分に噛みきったサンドウィッチの咀嚼を手伝うかのように飲み込ませ、咀嚼後も、雫の口内に爪痕を残す。歯茎を舌で這わせ、頬裏を撫で、舌を絡ませ、唾液も飲ませた弥。

「んんッ………ん……」
「……初めてキスした割にはついてこれたじゃん」

 唾液が糸を引き、弥は指で拭き取き取ると、雫の口から垂れた唾液も拭いた。

「次は俺ね、苺やるよ」
「えっ………ま、待っ………!」

 尊とのキスも強要され、弥とは違うキスに頭がクラクラして追いつけない雫。息をするのも難しく、初めてキスをされ知識では鼻で息をするのは知ってはいたが、酸欠になりそうで苦しかった。サンドウィッチも苺の味もよく分からず、ただ尊に舌を絡め取られ吸われると、朦朧としてしまう。

「!!………んんッ!」

 背後から弥の手が、雫の胸を揉みだし、また雫の身体は高揚してしまう。おそらく、この2人の前で抵抗したら、身体を洗われる前のような行為に進んでしまうと思った雫は、身を委ねるる方が楽だと悟った。

「賢いじゃないか……抵抗しようと今、俺を拒むつもりだったろ、雫」
「抵抗されたら、さっきみたいにされ
ると思ったのか………面白いな、雫は」
「抵抗しようが、しまいが、縛りたいと思ったら縛るし、玩具もつかうぜ?雫」
「キスで身体が疼くなら、リクエストに応えてやるが?」
「い………嫌っ!」

 雫は裸体を隠そうとする。疲れきった身体にこれ以上、鞭を打ちたくない。

「ふっ………今日はもうしないさ……飯食ったら寝る」
「わ、私が寝る部屋は?」
「この部屋で3人で寝る」
「え!?」
「今更?婚約者なんだから、当たり前だろ?」
「つ、つかぬ事聞きますけど、私はどちらと結婚するんですか?」
「どっちもだし、どっちかだし?」
「弥と結婚しても、俺と結婚しても、雫は俺達2人と共有だからな」
「そ、そんな許される結婚の形じゃないしわ!」
「別にいいけど?共有するのは公表しないな」

 訳が分からない理屈の2人にそのまま、餌付けをされ続け、いつしか弥と尊に抱き締められながら、寝てしまった雫は、朝になって弥と尊の愛撫で起こされる迄、起きる事は無かった
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