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安堵
しおりを挟む男性生徒が居ない女子大のキャンバスで、弥と尊が居る。それだけで何故か守られた気がした雫。抱き着かれていたからだろう、雫は弥と尊に抱き着き返す。
「来てくれると思わなかった………心細かったの………」
「多香子嬢の様子がおかしい、てメールで入れたろ?だから、通話を聞きながらタクシー飛ばして来た」
「俺もな」
「ごめんなさい………仕事邪魔した………」
「気にするな………彼女の事は手を回す……証拠的な物が欲しかったから、一応通話を保存してる。効力ないが尾行した証拠はあるからな、ストーカー行為で証拠をかき集めさせるさ」
「…………友達だって思ってたのに……あんな無下にされてたなんて……」
「気にするな、雫……それより、ここは目立つ、如月も校門に着いたから、一旦マンションか天使に帰ろう」
「……………うん」
だが、天使家に帰って来た雫。帰って来ると、祖父の雷蔵が叔父に仕事を任せたのか、早々と帰宅した。
「雫!!」
「お祖父様?」
「傷付けられた言葉は掛けられたりしてはいないか!?」
腕を捕まれ揺さぶる雷蔵。そんな素振り等一切見せてきた事が無かった祖父に驚く雫だが、心配そうな顔を初めて見て、笑顔で返す。
「大丈夫、お祖父様。私、そんなに弱くないわ………だってお祖父様の孫娘よ?言い返したい事は言い返したし……ただ、友達だと思ってたのが違ったのがショックなだけ………心配させてごめんなさい」
「いや………極秘に解決しようとしたのがいけなかった…………弥君、尊君……すまなかったな」
「いえ、これを期に、雫に会えましたし」
「………そうか……そう思ってもらい安堵するよ………雫が無事ならいい………藤宮の娘からは脅迫まがいな事をされとったからな」
「脅迫?…………お祖父様、それどういう事!?」
ポロッと安堵した拍子に言ってしまった言葉に反応する雫。理由を言わず終わらせたかった様子の雷蔵は渋々話た。
弥と尊に一目惚れした多香子は、どういう手を使っても、皇家というより弥と尊をはべらせ、財界内で目立ちたかったらしい。新参者の藤宮家にとっても、皇家との付き合いがあるなら、と婚姻を持ち掛けたが、婚約者が既に居て、多香子が望む両手に華ではなく、イケメンを従えて、華々しく財界内の注目を集める夢を潰されそうになる、弥と尊の婚約者が誰か、と探ったのが始まりらしい。天使家の長老、雷蔵の孫娘だと知った多香子は、雫に近付く為に金に物を言わせ、進学予定だった大学を蹴って迄雫に近付いたという。友人になった雫と多香子は、雫から婚約者の情報を聞き出そうと躍起になったが、雫からは婚約者の弥や尊、皇家の話等出てくる事が無く、それに加え多香子と違う価値観過ぎて合わせるのさえも嫉妬心に変えていったらしい。そして、藤宮家の主催パーティーで皇家を招待し、雫を友人枠として招待した多香子。その場で別々に来るなら、それを皇家に突き付け、婚約破棄に持って行こうとしていた、と皇家と天使家は調べていた。だから、パーティーの日の前に、雫を捕まえ、弥と尊と一緒に参加するのと、弥と尊の父、利勝と雫の祖父雷蔵が一緒に来場した意味があったのだとの事。所詮、雫の結婚は覆すつもりの無かった、利勝や雷蔵、弥、尊は雫を利用し且つ雫の結婚願望を早める為にした事だと、雷蔵含め、弥や尊は白状したのだった。婚約破棄をしなければ、雫を狙うとまで言われ、半信半疑のまま、パーティーに参加すれば、多香子の様子や多香子の父の様子等が分かると踏み、参加しただけの事で、何も仕事上の付き合いは無かった、と話された雫。
「言ってくれてたら……」
「雫が彼女と親しくしてたしな………上辺だけだったかもしれないが、友人は多いに超したことないし、鳥越し苦労ならそれでもいいか、とね」
「そうそう、おかげで雫とやっと触れ合えたし、嫌われてない、て思えただけで俺達は諦めずに済んだしな」
「弥………尊………」
「………好きだよ、雫………本当に前向きに……いや、直ぐにでも結婚したいぐらいにな」
弥が雫に熱い視線を送ると、尊は雫の手を捕まえ訴える。
「俺からも言う……結婚してくれ」
「…………うん、結婚はするよ?だけど大学は行かせて」
「…………」
祖父の前だろうと我を貫く雫。気持ちが2人にあるのだと思うぐらい蜜な時間を過ごせたと思っていた弥と尊にとっては、少しキョトンとしている。
「だって、料理出来ないし、家事一切出来ない女なんて、奥さん失格なんじゃないか、て思うし、秘書検定の資格もいい結果残したいし、皇家の当主のサポートは完璧に熟したいの…………だから、就職は天使か皇グループの何処かに入って、自分を鍛えたい!」
「長老…………雫って完璧主義者でした?」
「……………その気配はあったな……」
「雫、それは待てない!!」
「時期はおいおい考えよう!長老、俺達の家で花嫁修業させます!大学も近いしいいですよね!!」
「弥君と尊君になら任せる、好きにしなさい」
弥と尊に、いきなり抱き抱えられ、車に押し込まれた雫。
「ちょっとぉ!!今日は帰すって言ったじゃない!!」
「「却下」」
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