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城崎

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 翌朝、咲田の屋敷で目が冷めた瑠璃。

「服も用意しといたぞ」
「…………ありがとうございます」

 秘書でもある瑠璃の戦闘服であるスーツが、咲田は用意していた。ロングタイトとジャケットのセットスーツは正直有り難い。拓夢から受けたキスマークより増えた痕は、咲田が追加したのだろう。見えない様肌は隠せている。

「朝飯も食ってけ」
「時間無いので、結構です…………明日、何時に空港に行けばいいですか?」
「迎えに行くから、今住んでる場所教えろ」
「今夜、社長のマンションに泊まると思いますけど……時間さえ教えて貰えば間に合う様に行きます」

 勘が働く咲田の事だ、干渉はされたくない瑠璃は早々と咲田の屋敷を出た。

「瑠璃のを探して殺せ」
「城崎じゃないんですか?」
「城崎はカムフラージュに決まってんだろ……瑠璃にバレねぇ様に居住地も探れ」
「はっ」

 瑠璃は車を走らせると、バックミラーをこまめに確認して運転する。

………常にしておいて良かった………」

 住んでいる家に帰る事なく、空港に行けばいいと思うだけで安心する。疑わしい間は帰れない為、拓夢の身は安全が保証される迄は、会いには行けないだろう。だからこそ、拓夢が出張で助かった。
 会社に着いた瑠璃は、車の中を調べる。GPSが車に付けられていたら困る為隈なく探す。

「…………やっぱり」

 車の中に私物はあまり置いていなかったのもあり、GPSは直ぐに見つかると、他の車に取り付けた瑠璃。

「これだけだといいけど………」

 そう思いつつ、業務がある為エレベーターに乗った瑠璃。咲田との壁は幼い時から常に作っていた瑠璃は、隠し持っていたスマホを取り出す。拓夢との連絡用を起動し、連絡があったかを確認した。何件も未読のメッセージに拓夢からの心配が伺える。

『大丈夫、昨夜残業でバッテリー切れてたのを今知ったの、こっちは変わりないよ』

 と、全メッセージを読み終えて返信すると、1階で止まる。

「おはよう」
「おはようございます」

 城崎がエレベーターに数人の社員と乗って来る。

「ニヤついてたが、彼氏か?」
「違いますよ………漫画を呼んで面白いシーンだったんで、笑ってました」
「咲田さんも漫画読むんだな」
「いけませんか?………私だって漫画ぐらい読みますよ」
「意外だな」

 瑠璃はスマホの電源を落とし、バックに入れる。咲田からの疑いがある以上、城崎経由で知られる訳にはいかなかった。

「社長、昨日の3件終わりましたので、後程ご確認を」
「…………もう?流石だなぁ」
「確認後に、褒めて下さい………終わらせただけ、と言われたくありませんし、私は明日からですから」
「…………あぁ、本当……急ですまないな」
「そう思われるなら、急なはご勘弁下さい」

 昨日の案件を確認した城崎は、満足そうに瑠璃を褒めた。

「褒美はな」
「了解しました」

 業務は業務で熟し、就業時間を過ぎた。

「終わったか?」
「…………あ、はい……引継ぎのメールで……送ったら終わりです」
「なら、帰るぞ」
「はい」

 戸締まりをし、残業する社員達に後は任せ、瑠璃の車に乗り込む城崎。助手席に乗るとセットしていた髪を崩し、ポケットからピアスを出すと、舌に着けた。

「あぁ、クソ真面目は疲れるぜ」
「…………素を隠し過ぎます」
「煩ぇ………お前よりマシだ」
「恐れ入ります………社長のマンションで?」
「…………あぁ、お前に試したいあるからな……ゆたかだけに楽しませるかよ」
「……………」

 『裕』とは咲田の事だ。
 夜道を走る街並み、助手席のシートを倒し、ダッシュボードに足を投げ出している城崎は、おおよそ一般的な雰囲気等は皆無。夜の街に合う風貌に激変し、信号待ちになると交差点で女を引っ掛ける程のタラシだ。

「よぉ、今度俺とセックスしねぇ?」
「きゃははっ!彼女に運転させて何言ってんの?」
「何?3Pでもする?」
「きゃはははは…………」
「いいねぇ、3P」
お戯れはそれ程に………動きますよ」
「あ!連絡先っ!」
「バイバ~イ!」

 不服そうに瑠璃を助手席から睨む。

「いい女だったのに」
は交通ルールは守ります」
「…………ちっ……まぁいいや……今からとセックスするからな」
「……………」

 城崎のマンションに着くと、部屋に入るなり、城崎は瑠璃を抱き締めた。

「口開けろ………だったろ?
「……………っ!」

 城崎が瑠璃の車で着けたピアスの意味はコレだった。プラチナのピアスはひんやりとして、その舌で触れて来られるとゾクゾクする。その感覚が瑠璃の身体を硬直させた。この硬直が瑠璃の悦楽を増長させて、身体が喜びで溶け始める兆候だ。

「…………んふっ……はっ……」

 舌ピアスが瑠璃の口内を侵す。上顎に擦り着ける様なキスは、城崎の腕や背にしがみつく程酔わされる。
 ジャケットを城崎に脱がされると、合図の様に城崎のシャツのボタンを外していく。城崎の背には入墨が満遍なく描かれていた。
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