私を殺す人は私が大好きな人【完結】

Lynx🐈‍⬛

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エピローグ

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 咲田家は半焼となり、睡眠薬を打たれた裕と城崎は火事に気が付く事なく、一酸化炭素中毒で全裸のまま死亡が確認された。
 セックス後のタバコの不始末とされたが、身体中に着いた体液のDNA鑑定の結果、女も居た事が判明し、裕と城崎の死体の下に女の死体、座敷牢があった床下にも男の死体が発見され、身元確認とDNA鑑定が早々に行われ、裕の瑠璃かと思われ、1度は被疑者死亡のまま処理された火事から、殺人事件と判断された。
 その容疑者は咲田 瑠璃。だが、ほぼ監禁扱いにあった瑠璃が、何故死体を2体用意出来たのか、その死体が身元不明の男女とどういう関係かを全く繋がりが出なかった。
 警察の調べでは分からない事が重なる動機が連なる事件は、解決するのは難航する事となった。
 一方、咲田家から逃げ出した瑠璃と拓夢は、横浜中華街に逃げ込んでいた。拓夢が居る組織のアジトがあるらしく、拓夢に連れて来られた瑠璃。

「シャワー浴びた?」
「…………うん……中華街に中国マフィアが潜んでたんだね」
「末端だけどな………俺は、咲田と因縁がある組織の一員だが、それももう居る必要は無くなった」
「抜ける、て言うの?………出来る訳?」
「……………その前に準備があったから、瑠璃を助け出すのに遅れたんだ」

 ウィークリーマンションだと言った部屋の中で、唯一あったトランクの中を開ける拓夢。

「…………死体はもう2体用意してある……それを俺と瑠璃の死体にして、中国と日本とは別の国に高飛びするのさ……だから、瑠璃の免許証とパスポートが必要だった…………で、こっちが偽装パスポート」
「…………そ、そこ迄準備してたの?」
「覚悟無きゃ、瑠璃を助け出せないだろ?………それとも諦めるのか?
「…………やだ………諦めたくない!」
「………なら、決行だ………俺も を捨てる………瑠璃も を捨てろ」
「…………分かった」

 その日を境に、拓夢も追われる事となる。組織から足を洗おうと交渉するものの、殺し屋としての腕を買われていた拓夢は、組織と決別の為に、瑠璃と無理心中を偽装したのだ。船で密出国をしようとする偽情報を流し、その船に乗ろうとしてボートを出した。だが、そこにはただの2体の死体。その間に飛行機で出国したのである。



       ✾❈✾❈✾❈✾❈✾


 10年後。

「ママ~、ママ、何処?」
「ここよ、璃夢」

 洗濯物を外に干していたのを取り込む母親。その娘らしき少女が家から出てくる。

「ママ、パパが呼んでるよ」
「何だろ」
「見せたい物があるんだって」
「見せたい物?」

 母親は洗濯物を全て取り込み、家の中に入る。

「如何したの?パパ」
「…………ふふふ……見ろ、出来たんだ!我がワイナリーの第一号ワインが」
「ホントに?やったぁ!おめでとう!苦労して勉強したかいあったわね!」
「それもこれも、ママと璃夢が居たおかげだ!………俺の財産かなり注ぎ込んだから巻き返さないとな!」

 ここはフランス、ブルゴーニュ地方。土地を買い、財産を半分以上投げ打って、ワイン作りの勉強をした父親。移り住み別のワイナリーで働きながら、自分のワイナリーを作って苦節10年。起動に乗り修行元のワイナリーの教示を貰いながら作れる様になったのだ。

「こんなに幸せな事はないよ」
「本当ね………大変だったもんね」

 日本には帰れない日本人夫婦。一生、過去の過ちを胸の奥底にしまい、殺戮とは全く無縁な生活を送っている。
 娘も生まれ、昔の名を1文字ずつ入れた。忘れてはいけない贖罪として。だが如何しても新しい名で呼び合う事は出来ていない。それ程、濃い人生だった2人で思い入れがある名前だからだ。

「だが、これからだぞ」
「うん……幸せだから、どれだけでも付き合うよ」
「私も~!!」

 ブルゴーニュは今日も葡萄の香りの風が吹く。




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