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事故後
サブリナから手紙
しおりを挟む『拝啓、お姉様~』から始まった手紙がサブリナから届いたのはお茶会から2週間後。国境に近い収監所の生活は何かと苦労しているらしい。サブリナの手紙は、ロゼッタの想像通り、『何、王太子妃に謝罪してるのよ!』だった。それには笑いが出たが、サブリナから感謝された。自分の噂はもう地に堕ちていたから、自分自身で物色等出来なかった事をロゼッタに謝罪したと共に、ロゼッタにも自分の姉という事が申し訳無かった、と書いてあり、噂好きな王都の人間達の矢面に立たせてしまった事やら、謝罪分ばかり。当時その謙虚さがあればまだ世あたり上手になれたかと思うと残念でならない。王太子妃には申し訳無い事をした、ともあったが、手紙が来た事で、手紙を返した、とも書いてある。
「分かりにくい性格なんだな、サブリナ……」
「!!」
屋敷のテラスで、イヴァンカの淹れたお茶を1人で飲みながら、サブリナの手紙を読んでいると、マキシマスが背後から盗み読みしていた。
「びっくりするじゃない!しかも盗み読みなんて!!」
「いや、真剣な顔してると思ったら、笑ったりして百面相してるから何読んでるのかな、と」
「…………顔に出てた?」
「出てた出てた」
ロゼッタはサブリナの手紙を封筒に戻す。
「途中だったのに」
「サブリナは私に手紙を出したの!マキシマスに読ませる訳にはいかないわ」
「夫婦に隠し事はいけないな」
「まだ夫婦じゃないし」
「…………婚約者に隠し事はいけない」
「サブリナがマキシマスに見せていい、て言ったらね」
「……………ちぇっ………で?サブリナは元気そうか?」
「住心地最悪、て言ってる………あと王太子妃から手紙来たって………感謝された」
イヴァンカが、マキシマスにもお茶を持ってくる。そのお茶を飲むマキシマス。
「仲良かったなんて知らなかったよ」
「…………地位にはお父様煩かったから、公的な場所では見せなかったんだと思うわ……虐げられるのを見るのはあの子嫌いだったから、王太子妃を助けたんだと思う………私が街中でそういうの見ると、助けに出てたから……それで、よくサブリナに怒られた」
「なんて?」
「お姉様は首突っ込み過ぎ!正義感丸出しで見てて怖い、て………でもサブリナがやってるんだもの……姉妹だなぁ、て」
「……………あぁ……それでか……」
「ん?」
「サブリナを暴こうとした時、ロゼッタ庇ってたろ?………善人なのよ!て言われた時」
「捕まる時?」
「…………あぁ……あの時、サブリナがロゼッタの背後に居て表情分からなかっただろうけど、サブリナは泣きそうな顔して、観念した感じだった…………守られるばかりじゃ嫌だったんじゃないかな………憧れるお姉様を超えようとして挫折した結末がアレだったのは駄目だったけど」
お茶を飲み終わり、テラスから見える庭に番いらしい鳥が止まる。その側には小鳥が2羽。
「早く会いたいな……サブリナに」
「あっという間に過ぎるさ……」
翌日は結婚式を行うロゼッタとマキシマス。準備は終わり、ロゼッタの領地の教会で予定している。ロベルトの起こした事件を知った民衆達には殊の外、ロゼッタの再婚は喜ばれていた。
「さて、と……今日はもう予定無いんだろ?」
「えぇ、もう無いけど」
「……………部屋行こうか」
「…………まだ夕方………」
「だから?」
歩けば良いのに、ロゼッタの手を握り、マキシマスは転移移動をする。座っていたロゼッタは座ったまま、ベッドの脇に座っている。
「もう!!歩けばいいじゃない!!魔法の無駄遣い!!」
「え?いいじゃん、俺無制限だし」
「どこで魔力貯めるのよ?」
「体力と一緒かな……体力が無いと精力も比例する様に、魔力が無いと精力が比例する」
「じゃぁ、魔力使えば精力減るなら、いっぱい使えばいいのね、魔法………じゃあ、魔具の制作をいっぱいすれば、いいんじゃない?便利な魔具があれば、国も潤うし」
「精力無くなるのは困るから、程々に使うぐらいでいいんだよ」
「!!」
ドレスの背後の紐を解いていくマキシマス。コルセットの紐を解かれる迄気配が無かった。
「たまにさ、気付いたら脱がされてる、て時あるだろ?」
「……………」
「そう、コレも魔法なんだよね~」
触れずに物を動かす事も出来るのもマキシマスは出来る。それをロゼッタにも使っていたという事らしい。緩まる胸周りの開放感で気付くのもどうかと思うが、腰にコルセットが落ちてしまえば、ドレスと肌の間に手を滑り込ませるのはいとも簡単だった。
「ち、ちょっと!!…………もう直ぐ夕飯!」
「うん、だから?」
「…………よ、夜にして!!」
「明日疲れるんじゃない?」
「どっちにしたって、疲れさせるじゃないの!」
「…………明日もスるし?」
「………しなくてもいいんですけど?」
期待から意地悪っぽく、照れながら言うロゼッタ。
「おや?…………俺の奥さんは捻くれてますね?…………いいや、今は止めてあげる」
その気に迄はなってなかったが、マキシマスは何やらにんまりと笑い止めてしまった。コルセットを締め直され、ドレスも直すと、今は夫婦の寝室になってしまったロゼッタの愛用品がある部屋を出て行ったマキシマス。
夕食も通常の時間に済まし、マキシマスは私室に入ったまま、寝る時間になってしまった。
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