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ルカスの性欲事情
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しおりを挟むマシュリーが入浴中、ルカスはベッドの上の宝石を掻き集め、ベッド脇のサイドテーブルに一旦しまう。
「…………あとは………落ちてないな……暫くはこの事はアナ、エリス以外は知られるのは、ちょっと避けたいな………」
宝石を集めると、もうマシュリーを待つだけだ。
「しかし…………まさかアレ迄、宝石になるとはなぁ………」
アレ、とはマシュリーから溢れ出る蜜の事だ。思い出すと、折角収まっていた昂りがまたそそり立つ。
「いかん!約束約束……俺も身体流すか……」
ルカスは、自分の部屋の湯殿に行き、身体を流す。今のルカスには、身体を冷やす為になるので、夜会前に入った冷めた水風呂だ。サッと浴び、素肌のままバスローブを羽織り、部屋に戻るだけだ。マシュリーが湯殿から出る前には戻っておきたかったルカス。
コンコン。
「どうぞ」
「…………失礼致します………マシュリー様、本当に宜しいのですか?ルカス様のお部屋で」
カレンがマシュリーに念を押すのは、乳母として、長年ルカスを見てきたからこそ、信用出来ない事の様だ。
「大丈夫です………ルカス様は約束して下さいましたから………破る事があれば、わたくし助けを求めますから」
しかし、マシュリーはルカスを試すかの様に、ルカスとカレンに強調した物言いをし、笑顔で入って来た。
「………分かりましたわ………では明日朝、伺いますので………あ、ルカス様………シーツを交換させて下さいませ」
「…………そうだったな………頼む」
ベッドの上に宝石はもう無いので、カレンにシーツ交換を頼むルカス。先程の状況と、この今の言葉に疑問を抱くカレンだたったが、素直にシーツ交換をして去って行った。
「さて………と……おいで、マシュリー」
「ルカス様…………本当に本当に終わりですよ?」
「……………信じでなかったのか……」
「ルカス様の欲に関しては信じる訳にはいきません」
「…………しないよ………嫌われたくない………」
一足先にベッドに入るルカスは両手を広げ、マシュリーを迎える。
おずおずと、マシュリーは離れた場所からベッドに乗るが、ルカスは触れるのを我慢し、サイドテーブルから先程の宝石の山を出した。
「流石に、見られたくないし、見せたくない………」
「…………こ、こんなに沢山………や、やだ!恥ずかしい!」
「…………この赤い物は最初で最後の………だな………」
「は、恥ずかしい事、仰らないで下さい!」
「…………だが、思い出になった2人だけの宝物だ………マシュリー」
大事そうに、赤い宝石だけ避けて持つと、言葉を続ける。
「この石で、俺用に加工していいか?………カフスか………ブローチか……」
「…………ルカス様……」
「それだけ大事な物だ」
赤い宝石は、10個程。細かい細工であれば十分足りる数だ。
「こっちのは………貯めて置こうかな、と……涙からの宝石と色合いも少し違うし、マシュリーは恥ずかしがるだろうから………涙は新たにマシュリー用に宝飾品を作る為に貯めておく」
どうかな?という目でマシュリーを見つめたルカスに、その心が嬉しく、涙を再び溢す。
「マシュリー?」
「…………ルカス様のお心のままに……」
「意外と泣き虫だな………そんなに泣くと、宝飾品を着ける隙間も無くなるんじゃないか?」
頬に伝う涙を指で掬うルカスは、マシュリーを抱き寄せる。
「拭き取れば出来ませんわ」
「…………俺以外には涙見せるなよ?……マシュリーは俺だけの物だから………誰にも譲らない………」
そっと、腕を背中に回すマシュリーは、一言だけ、ルカスに告げる。
「…………はい、わたくしの心も身体もルカス様の為にありますわ」
「……………抱きたくなるなぁ……でも、約束だからな………キスは……いいだろ?」
「…………キス……だけですよ?」
ルカスは軽いキスに留めた。我慢がまた出来なくなりそうな予感しかせず、マシュリーを押し倒し、毛布をお互いに掛けた。
「これ以上は今日はしない……だが、抱き締めて眠らせてくれ」
「…………暖かい………ルカス様……」
「おやすみ、マシュリー」
「………おやすみなさいませ………ルカス様……」
だが、美しい寝顔のマシュリーを見て、眠れる訳はなく、翌朝睡眠不足と戦いながら、仕事をしたのは言うまでもなかった。
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