【完結】鬼畜皇太子にロックオンされまして…………

Lynx🐈‍⬛

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日取り決定

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「ルカス様~!」
「何方に行ってしまわれるんですか!?」

 女達には目もくれず、ルカスは城門から少し奥に居たマシュリーを見つけたのだ。

「マシュリー!!」
「……………ルカス様……おかえりなさいませ………ご無事のご帰還、祈っておりました……」
「……………あぁ………会いたかった……」
「わたくしもです」

 何方からでもなく、自然に腕を伸ばし、抱きしめ合うマシュリーとルカス。ルカスはマシュリーの温もりを感じると、直ぐにマシュリーの顎を持ち上げ、深いキスを贈った。

「「「「きゃ~~~っ!!」」」」

 止めて~、と女達から聞こえる悲鳴にも物ともせず、マシュリーをベッドの上で貪るキスの様に、マシュリーを蕩けさせた。

「!!………んんっ!」

 マシュリーの下腹部がキュン、と唸る。1度ならず何回も疼く身体に、ルカスから離れようと藻掻くが、ルカスは離してはくれない。

「そこ迄になさいませ!ルカス様!!」
「……………」
「ルカス様!!」

 カレンの括が響き、ルカスも1回は無視するが、2回目ともなると、仕方なく離れた。

「きゃっ!」
「…………っと……大丈夫か?マシュリー」
「………ルカス様………場を弁えて下さい……」
「………感じちゃった?………ふふふ……」
「もぅ!!知りません!!」

 腰が砕け、マシュリーはルカスに支えて貰わなければ、倒れる所だった。

「はいはい、ルカス様………イチャイチャは後にして下さいね~…………陛下に会いに行きますよ~」

 マークも、この甘い空気を遮に邪魔をする。

「あ、お前の彼女、て誰なんだよ!!」

 マークの顔で、ルカスは思い出すと、邪魔された腹いせに暴露させるつもりで、聞き出した。

「後で本人に聞いて下さいよ………マシュリー様付きですし」
「……………エリスですよね」
「ご存知でした?マシュリー様」
「はい…………マーク卿からお手紙が届くと嬉しそうでしたし、わたくしもルカス様のお話を伺えて嬉しかったですわ、ありがとうございます」
「…………何だと!?マシュリー!マークから手紙貰ってたのか!!」
「………はい、エリスへの手紙にの様に………ルカス様からお手紙

 マシュリーも手紙がルカスから欲しかったのだろう。同行したマークが書けて、ルカスが書けないのは忙しいという理由ではあると思うが、やはり寂しい。その寂しそうな顔を見てしまえば、ルカスも謝るしかなかった。

「………………ごめんなさい……」
「…………クククッ………ルカス様手紙書いてないですもんねぇ……」
「書かせる暇さえ与えなかった奴に言われたくないな」

 ルカスとマークはマシュリーを連れ、皇帝に会いに行く。マシュリー迄何故連れて行かれるのは分からなかったが、ルカスは一時も離れたくなかったのか、ずっとマシュリーを抱き寄せていた。

「只今帰りました、父上、母上」
「やっと帰って来たか………ルカス」
「何かこちらでありましたか?」
「………いや、何も………コルセア国はが動いているのは掴んでない」
「…………なら、もっと呼び戻してくれませんかね?」
「痺れ切らすのを待っていた…………面白いだろうとな」
「会えない時間も必要ではないか、と陛下が仰ったのよ、ルカス」
「………………はぁ!?………質悪っ!!」

 ルカスはとてつもなく不機嫌な顔を見せる。そして皇帝に文句を連ねた。

「この会えなかった間、どれだけ欲求不満になったか分かります?自分で抜いた後の虚しさったら!分かりますよね?父上なら!!」
「マシュリー妃がだと言うのだろう?」
「そうですよ!毎日だって抱きたいのに!」
「…………それを確かめたかったのもある……お前は飽きっぽいからな」
「間違いなく、マシュリーは番いですよ」
「なら、何故勝手にアンナレーナと婚約したのだ」
「…………そ、それは見つからない、と思ってたからであって………」
「…………だから、その戒めで呼び戻さなかったのだ………わざと仕事を忙しくしてな」
「…………んなっ!」
「結婚式は3ヶ月後だ…………異論は無いな?」

 3ヶ月後に結婚式だと、いきなり言われたマシュリーだったが、ルカスは更に不服申立てをする。

「え………もっと早くなりませんか?」
「ならんな………公務やコルセアやアガルタがどう動くかまだ分からん」
「…………国内外にツェツェリア族の王女を娶ったと、知らしめれば諦めそうですが?」
「モルディア皇国国内を戦場にするつもりはない…………国境の外で完膚なき迄叩かねば、モルディア皇国の民が平和に生活出来ぬ」
「…………これ以上、侵略もせず侵略されず………ですね?」
「そうだ…………だから罰せられたのだ……人の欲に飲まれ、影響を受け、の罰を、子孫である我等が受けている」

 皇帝とルカスとの会話が意味深で、マシュリーは何が何だか分からない。

「分かりました……3ヶ月後より後は嫌ですからね!父上」
「ツェツェリア知事であるマシュリー妃の両親には伝えてある……よって、その準備に取り掛かる様にな」
「明後日からでいいですか?………明日1日休ませて下さい」
「…………勝手にしろ」
「許し出たし、マシュリー行こうか」
「…………え?……何方に?」
「俺の部屋」
「!!」

 皇帝や皇妃も呆れ顔で、ルカスがマシュリーを引っ張って出て行く様を見送った。

「相変わらずですわね」
「仕方ない………モルディア皇国の祖は神……人外な力を持ち君臨してきたが、その力を仲間であった神達に封印されたのだ……その僅かな神力が性欲に出てしまうのだ……封印されし力の解放は後数年………ルカスが100年経ちし封印を解く鍵なのだしな……先祖が侵略してきた土地を返し、平和の地に戻す為には、迫害も奴隷も要らぬ」

 マークは黙ったまま聞いていた。皇族の地を引くマークもまた、人外の力を封印されたまま産まれた青年。皇帝やルカスに同調してきた者だった。
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