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新たな動き
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しおりを挟むマシュリーはルカスと共に馬車に乗りジェルバ国へと向かう。ルカスも馬車にする事にしたのは、ただ単にマシュリーと離れたくない、という理由だけだった。
「いつものように、荷車と馬でいいじゃないですか」
「マシュリーも居るんだぞ、侍女も必要だろう!」
「ですから、ルカス様も馬車に乗る必要は無いと言ってるんです!アナとエリスも同行するんですよ!1台の馬車で3人乗って行けば良いものの、ルカス様も馬車になったら侍女達の目のやり場に困り、もう1台馬車が必要になる、と言うんです!」
「いいじゃないか、別に。馬車2台で行けば」
「……………旅行じゃないっつぅの」
「分かってるって」
ルカスの我儘に気苦労が絶えないマークにエリスは背をポンポンと叩くと、マークは一息の溜息を付いた。
「私室のルカス様の我儘も大変なんだろうなぁ………」
「私達、侍女より姫様やカレンさんの方が大変よ」
「…………あぁ……納得」
馬車にそれぞれ乗り、一泊目の街に到着すると、またもルカスとマークのひと悶着が起きる。
「何で、マシュリーと同部屋は駄目なんだ!」
「抱き潰して、マシュリー様の疲労感増して如何するんです?」
「わたくしも別部屋がいいですわ」
「マシュリー迄!」
「毎夜、同部屋だと…………」
「同部屋以外許さん………何でお前と同部屋にしなきゃならんのだ」
「今迄は別に文句出ませんでしたよね!」
「昔の事は忘れた」
我儘言い放題のルカスに呆れてしまう。
「良いですわ、ルカス様と同部屋で………その代わり何もしないとお約束して下さいな」
「マシュリー様!」
引き止めるマークにマシュリーはコソコソと小声で話す。
「…………いいのです………お預けさせる事も覚えて頂かないと」
「ですが………鬼畜ルカス様が我慢等………」
「分かってます……ですが今からでも制御する方法を探さないと、わたくしが保ちません」
「…………分かりました」
マシュリーはマークにコソコソと話す内容をルカスは聞こえなかったが、嫉妬心を煽った事になる。
「何をそこで内緒話してるんだ?」
「…………お約束して頂かないと、お教えしませんわ」
「……………分かった……約束しよう………だから………今何を話してた?」
「ルカス様の制御方法の相談でしたわ」
「…………制御方?…………」
「さぁ、お部屋に入りましょう?ルカス様」
夕食も済ましていたのもあり、そのまま入浴し眠るだけなのだが、ルカスは先程から不機嫌のままだ。
「如何されました?ルカス様」
「…………いや、先に風呂に入ってくる」
「………はい……」
その不機嫌さに一抹の不安があるが、マシュリーの入浴を手伝いに来たアナとエリスも怪訝そうに見ていた。翌日に着る服や、夜着を出して待っていても、マシュリーとアナ、エリスはその話をまたコソコソと話ていても結局結論は出ず、ルカスが風呂場から出て来たので、マシュリーも入浴を済まして出ると、ルカスはベッドの上で書類を広げ、太腿を使い裁可を下しているのかサインをしては書類を変えて読んではサインを繰り返していた。その姿はなかなかマシュリーでも見る事が出来ないルカスの姿に、心をときめかせる。
「では、姫様………明日朝また伺います」
「おやすみなさいませ」
「おやすみなさい」
アナとエリスが部屋を出ると、ルカスは書類を片付ける。
「マシュリー」
「………ルカス様、お仕事良いのですか?」
「あぁ、もう寝る………おいで」
両手を広げ、マシュリーを受け入れようとする。しかし、約束は如何なった?とマシュリーは疑いの目をルカスに向けた。
「今日は………というか、移動中は控えて下さい、とお約束して下さいましたよね?」
「覚えてるさ………だが、抱きしめ合って眠るぐらいいいだろ?」
「…………分かりましたわ」
ルカスの横に潜り込み胸に収まるマシュリー。そのマシュリーの身体を包み込む様に背中に腕を回すルカスだったが、マシュリーの手首迄背中に持っていく。
「!?」
「.•*¨*•.¸¸♬」
鼻歌を歌うルカス。この時のルカスはろくな事を考えていないのは、マシュリーも勘付く。
「ルカス様っ!」
「………………抵抗したら抱いちゃうけど?」
「抵抗はしません!ですが………」
背中に回された手首を縛られてしまい、豊満な胸を強調されてしまう。脱ぎ着しやすい夜着だ。ルカスには容易に脱がされてしまう。不適な笑みをルカスはマシュリーに見せ、ベッド脇に用意していたのか、箱を持ち中身をマシュリーに見せた。
「何か分かるか?」
「…………石は…………わたくしの……」
「そう、マシュリーの…………蜜から出来た宝石………涙とは別に集めておいたんだが、量が集まったから、マシュリーに返そうと装飾品を作らせたんだ」
チェーンに繋がる宝石が幾つもあり、美しく輝いている宝飾品だ。
「返す?」
「そう…………このネックレスと同じ様に、マシュリーを着飾る為にね」
「だ、だからって…………この状態で返すと言われても………」
「この状態だからこそさ………外されると困るしね」
そう言うと夜着の胸元のリボンを解き、胸を晒すルカス。そして、下着さえも脱がしていく。抵抗はしないと言った以上、マシュリーは恐怖心と期待と交差する複雑な感情で、顔を赤らめていた。
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