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女神からの言葉
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しおりを挟む『皆さん』
「マシュリー様!!」
「王女様だ!!」
集まってきたジェルバの民達に、ルカスは再び神力をネックレスにを通して、マシュリーの映像と声を映し出した。歓喜に溢れる声に、マシュリーの声迄もが、かき消されてしまう。
「マシュリー様!!嘘ですよね!!モルディアなんかと和平なんて!!」
「おい!!聞こえねぇだろ!!」
「悪いが、会話は出来ないぞ」
「「「「!!」」」」
「か、会話出来ないだと!?」
神力を知らない者に、説明迄して時間を費やしたくはないルカスは、端折って簡単に言う。
「これはモルディアとジェルバの神力の力が協力して出来たものだ。このネックレスはマシュリーの宝石………この宝石に、マシュリーの姿を撮ったのが、俺の力だ………とにかく、文句も意見も後にしてくれ、今から流す」
「「「「「……………」」」」」
『…………皆さん……お元気でしょうか……アガルタ国から逃げて来られて、本当に良かった………助けに行けず、申し訳ありませんでした………わたくしも他の方々も、自分が捕まるのでは、と怖かったのです。臆病者で申し訳ありません………そして、わたくしもジェルバ国へ行きたかった……皆さんにお会いしたい……ですが、わたくし………モルディア皇国の皇太子妃になりました………そして、ジェルバ国は、一旦モルディア皇国の領地になり、国王であった父は、その土地の領主となります………ご不満は多々あるでしょう……王として、1人の民として父も悩み苦しみました。ですが、父はわたくしの夫、モルディア皇国のルカス殿下に託す事を決めたのです。利用されるかもしれない、と皆さんは思われるでしょう、ですがわたくしは、ルカス殿下を利用させて頂きました。狭い空、閉鎖された国土、高い壁………わたくしは嫌いです……子供達に広い空の下で、目一杯遊べる様に、作物を作り、家畜を育て、自然がある土地に、皆さんを住ませたい、と思っていたのです』
「……………マシュリー様……」
涙を溢すが、直ぐに拭う人々。宝石にしないようにする為なのか、モルディアの者の前では見せたくないのか分からない。
『その様な時、ルカス様とお会いし、わたくしはその夢を押し殺し、一生ここで静かに過ごしたい、とお話したのです。ですが、ルカス様はつまらない夢だ、と仰った………そして、モルディアからは迫害をしない、その代わり、モルディア皇国への民の移住と、わたくしとの結婚を示唆されました』
ざわっ、と民達はルカスを睨む。
『わたくしはそれを利用したのです』
再び、ざわざわとどよめきが起き、動揺する民達。
『モルディアへ移住したら、子供達も広い空の下で遊ばせる事が出来、自然に触れ合える生活が出来る、と………ルカス様は見た目と違い、真面目な方です………真摯に、ジェルバの為に、コルセアやアガルタと戦ってくれています………ですから、わたくしはルカス様を利用する中で、わたくしは愛しく感じていきました…………今では、ルカス様との間に子も宿し、幸せを噛み締めております………皆さんにお会いしたかったのですが、流石に身重になりましたので、お許し下さい……そして、皆さんがジェルバに留まるのなら、この地を守る為に、戦って下さい。戦うのは武器だけではありません、弱い心と戦って欲しいのです………もう、決して奴隷に等ならない、という戦いを……………これを、伝えて下さいます?…………もう終わったか?………はい………あら、お顔赤いですわよ、ルカス様………あ、いや………あ……』
最後のルカスとマシュリーの会話がそのまま入っていて、2人の仲睦まじい事が垣間見え、最後は失笑が起こった。マシュリーが微笑み、ルカスを気遣う顔に、反感を持っていた者達が脱力し、腕で目頭を押さえていた。
「以上だ………これだけで信用を貰えるとは思っていない………モルディアはおよそ100年の月日を要し、奴隷制度を廃止した国だ………同じ神力を持つ、今度は仲間として国を作って行きたい………ここに居る以上、ここを守っていって欲しい」
♤♡♤♡♤
「マシュリー様効果絶大でしたね」
「……………マシュリーがそれだけ民に寄添ってた証拠だ………いい女捕まえたぜ」
「はいはい」
民達を解散させ、壁の上に行くつもりで歩いていたルカスとマーク。その道すがら、前方から慌てて走って来る兵士に気が付く。
「あ!で、殿下!敵襲です!コルセアが、アガルタ側から………」
「…………コルセアがアガルタを占領したか」
「そうなると、大陸一の領土とされますね」
「アガルタ領土等どうでもいい………戦場が分からなくなるぞ!」
モルディアとコルセア国境での戦いか、ジェルバコルセア国境での戦いかで見ていたルカスにとっては予想外だった。
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