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女神からの言葉

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 その後、マシュリーはドレスを整え、照れた顔をルカスに見せた。

「…………抱き着きたいです……」
「俺も………帰って来たら祝おう………カレン、公表は暫く待たさせてくれ」

 医者を見送るカレンや侍女達は、医者も侍女も振り返る。

「お目出度い事ですのに?」
「今は、コルセアとの緊迫で戦になるかどうかの山場だ………それでマシュリーの懐妊が…………待てよ………うん……数日だけ待ってくれ!準備してから公表する!」
「「「「「「??」」」」」」

 勝手に納得したルカスは、そう言うと本来の目的のマシュリーの姿と言葉をネックレスに納める事に成功し、ホッと肩を撫で下ろす。

「ありがとう、マシュリー………疲れたろう?ゆっくりお休み、無理するなよ」
「はい………ルカス様もお気を付けて」
「立つな………いいから……」
「ですが………」
「ごめん………もう持たない………消える……また……明……」

 神力を使い切ったのだろう、会話中に消えてしまったルカス。

「……………ルカス様……」
「……大丈夫ですよ、マシュリー様……ルカス様はマシュリー様の元に戻ってまいりますから」

 医者を見送り、カレンがマシュリーの手を握り締めてくれる。

「ルカス様もお顔の色が………お疲れの顔をされておられても、癒やす事が出来なかった……」
「ルカス様は化物です!大丈夫です!」
「そうですよ、マシュリー様…………あんなに抱き潰しても、疲れを知らない方なんですから、少し休めばまた元気な姿を見せてくれる筈です!」
「…………いけませんね、わたくし母になるのに………弱気になっては」

 侍女達の慰めに、感謝をするのだった。

        ♤♡♤♡♤

「……………ぐ~~っ……」
「?…………ルカス様……戻って早々、爆睡って………しかも、戻ったら黒髪……2時間が限界か……」

 マークは、時間を計っていた。神力の持続可能時間は重要だからだ。戦場で神力を使い切ってしまっては、命の危険性があるからだ。

「疲れるんだなぁ………俺はやらないけど」

 利便性を考えてやるやらないではない。マークだとて妻エリスに会いたいのだ。マークも試した事があったが、宙にも浮かず、風も火も起こせなかった。ただで、神力の量が分かり、兵士の配置や戦いの采配が今迄以上に、兵士が戦いやすくなり、治癒力が着いたぐらい。ルカスは治癒力の方が凄いと言ったのだが、マークにはルカスが羨ましくて仕方なかった。力が欲しい訳ではないが、ルカスの副官として強さが欲しかったのに、あくまでも参謀としての役割の力しか得られていないのが、悔しく思っていた。

「神力は治癒出来ねぇのかな」
「!!……ルカス様、起きてたんですか?」
「…………気配でな………何深刻な顔してんだ?………エリスなら居なかったぞ……悪阻が重いらしい………それでだ、コルセアの隊が次来たら、完膚なきぶった斬るが、そうしたらモルディアー二に戻るぞ」
「エリスの悪阻とコルセアにどわ関係が?」
「コルセアにあるジェルバにある意識を、モルディアに向けさせる」
「どうやって?」
「…………ふふふ……マシュリーが妊娠した」
「………おめでとうございます」

 深刻な顔していたマークは、なかなか表情が上手く戻せない。ルカスが言っている事の理解が出来ないからだ。

「うわっ………心ねぇな……」
「いや、結ばってないんですよ、マシュリー様の妊娠と、エリスの悪阻、コルセアとの戦が」
「…………あぁ……悪い………後で説明……する……………ぐ~~っ」
「は!?………ま、また寝やがった!!」

 そして、再びルカスが起きて、マークがその意味を聞いたのは翌朝だった。

「…………なるほど……で?コルセアは来ますかね」
「…………先に噂を流すか……流す前にこっちに来られたら、と思って待機しているが、モルディアとコルセアの国境で戦場になるより、ジェルバの方が街への被害は無いから、本当はこっちで戦いたいが………」
「モルディアとコルセアとの国境は街も点在してますしね…………ですが、コルセアの首都からジェルバに来るより、モルディアに来る方が早く来れる………やはり、2手に分かれますか?」
「…………そうだな……コルセアの隊がジェルバに来た時に噂をコルセアに流して、将軍達に任せるか………ジェルバに来たコルセアの兵がその噂の真相を知り、撤退する可能性もあるし、将軍達の意見も聞こう」

 結局、如何するかを幹部達と話し合いで決める事にしたルカスは、一旦コルセアの事は忘れ、ネックレスを首から外すと神力を使い、撮した物が出るかを確認する。精神の姿で、出来るのかが分からなかったが、何とか映し出した。

「マシュリー様……」
「………出るな……よし、ジェルバの民達を集めよう」
「はい」

 ルカスからジェルバの民達に集まる様に、通達が出ると、大半の者達がやって来た。
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