【完結】鬼畜皇太子にロックオンされまして…………

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
114 / 126
女神からの言葉

113

しおりを挟む

 その後、マシュリーはドレスを整え、照れた顔をルカスに見せた。

「…………抱き着きたいです……」
「俺も………帰って来たら祝おう………カレン、公表は暫く待たさせてくれ」

 医者を見送るカレンや侍女達は、医者も侍女も振り返る。

「お目出度い事ですのに?」
「今は、コルセアとの緊迫で戦になるかどうかの山場だ………それでマシュリーの懐妊が…………待てよ………うん……数日だけ待ってくれ!準備してから公表する!」
「「「「「「??」」」」」」

 勝手に納得したルカスは、そう言うと本来の目的のマシュリーの姿と言葉をネックレスに納める事に成功し、ホッと肩を撫で下ろす。

「ありがとう、マシュリー………疲れたろう?ゆっくりお休み、無理するなよ」
「はい………ルカス様もお気を付けて」
「立つな………いいから……」
「ですが………」
「ごめん………もう持たない………消える……また……明……」

 神力を使い切ったのだろう、会話中に消えてしまったルカス。

「……………ルカス様……」
「……大丈夫ですよ、マシュリー様……ルカス様はマシュリー様の元に戻ってまいりますから」

 医者を見送り、カレンがマシュリーの手を握り締めてくれる。

「ルカス様もお顔の色が………お疲れの顔をされておられても、癒やす事が出来なかった……」
「ルカス様は化物です!大丈夫です!」
「そうですよ、マシュリー様…………あんなに抱き潰しても、疲れを知らない方なんですから、少し休めばまた元気な姿を見せてくれる筈です!」
「…………いけませんね、わたくし母になるのに………弱気になっては」

 侍女達の慰めに、感謝をするのだった。

        ♤♡♤♡♤

「……………ぐ~~っ……」
「?…………ルカス様……戻って早々、爆睡って………しかも、戻ったら黒髪……2時間が限界か……」

 マークは、時間を計っていた。神力の持続可能時間は重要だからだ。戦場で神力を使い切ってしまっては、命の危険性があるからだ。

「疲れるんだなぁ………俺はやらないけど」

 利便性を考えてやるやらないではない。マークだとて妻エリスに会いたいのだ。マークも試した事があったが、宙にも浮かず、風も火も起こせなかった。ただで、神力の量が分かり、兵士の配置や戦いの采配が今迄以上に、兵士が戦いやすくなり、治癒力が着いたぐらい。ルカスは治癒力の方が凄いと言ったのだが、マークにはルカスが羨ましくて仕方なかった。力が欲しい訳ではないが、ルカスの副官として強さが欲しかったのに、あくまでも参謀としての役割の力しか得られていないのが、悔しく思っていた。

「神力は治癒出来ねぇのかな」
「!!……ルカス様、起きてたんですか?」
「…………気配でな………何深刻な顔してんだ?………エリスなら居なかったぞ……悪阻が重いらしい………それでだ、コルセアの隊が次来たら、完膚なきぶった斬るが、そうしたらモルディアー二に戻るぞ」
「エリスの悪阻とコルセアにどわ関係が?」
「コルセアにあるジェルバにある意識を、モルディアに向けさせる」
「どうやって?」
「…………ふふふ……マシュリーが妊娠した」
「………おめでとうございます」

 深刻な顔していたマークは、なかなか表情が上手く戻せない。ルカスが言っている事の理解が出来ないからだ。

「うわっ………心ねぇな……」
「いや、結ばってないんですよ、マシュリー様の妊娠と、エリスの悪阻、コルセアとの戦が」
「…………あぁ……悪い………後で説明……する……………ぐ~~っ」
「は!?………ま、また寝やがった!!」

 そして、再びルカスが起きて、マークがその意味を聞いたのは翌朝だった。

「…………なるほど……で?コルセアは来ますかね」
「…………先に噂を流すか……流す前にこっちに来られたら、と思って待機しているが、モルディアとコルセアの国境で戦場になるより、ジェルバの方が街への被害は無いから、本当はこっちで戦いたいが………」
「モルディアとコルセアとの国境は街も点在してますしね…………ですが、コルセアの首都からジェルバに来るより、モルディアに来る方が早く来れる………やはり、2手に分かれますか?」
「…………そうだな……コルセアの隊がジェルバに来た時に噂をコルセアに流して、将軍達に任せるか………ジェルバに来たコルセアの兵がその噂の真相を知り、撤退する可能性もあるし、将軍達の意見も聞こう」

 結局、如何するかを幹部達と話し合いで決める事にしたルカスは、一旦コルセアの事は忘れ、ネックレスを首から外すと神力を使い、撮した物が出るかを確認する。精神の姿で、出来るのかが分からなかったが、何とか映し出した。

「マシュリー様……」
「………出るな……よし、ジェルバの民達を集めよう」
「はい」

 ルカスからジェルバの民達に集まる様に、通達が出ると、大半の者達がやって来た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

メイウッド家の双子の姉妹

柴咲もも
恋愛
シャノンは双子の姉ヴァイオレットと共にこの春社交界にデビューした。美しい姉と違って地味で目立たないシャノンは結婚するつもりなどなかった。それなのに、ある夜、訪れた夜会で見知らぬ男にキスされてしまって…? ※19世紀英国風の世界が舞台のヒストリカル風ロマンス小説(のつもり)です。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

山に捨てられた元伯爵令嬢、隣国の王弟殿下に拾われる

しおの
恋愛
家族に虐げられてきた伯爵令嬢セリーヌは ある日勘当され、山に捨てられますが逞しく自給自足生活。前世の記憶やチートな能力でのんびりスローライフを満喫していたら、 王弟殿下と出会いました。 なんでわたしがこんな目に…… R18 性的描写あり。※マークつけてます。 38話完結 2/25日で終わる予定になっております。 たくさんの方に読んでいただいているようで驚いております。 この作品に限らず私は書きたいものを書きたいように書いておりますので、色々ご都合主義多めです。 バリバリの理系ですので文章は壊滅的ですが、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。 読んでいただきありがとうございます! 番外編5話 掲載開始 2/28

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

旦那様が素敵すぎて困ります

秋風からこ
恋愛
私には重大な秘密があります。実は…大学一のイケメンが旦那様なのです! ドジで間抜けな奥様×クールでイケメン、だけどヤキモチ妬きな旦那様のいちゃラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
美希は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、結婚式の友人の代理出席をする予定で式場にいたのに!? 本編は完結してますが、色々描き足りなかったので、第2章も書いています。

処理中です...