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白銀の風神
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しおりを挟むコルセア国王に呼び出され、デイルはやって来る。
「これはこれは………重鎮方がお揃いなんですか?」
「…………お前の情報を全て教えよ」
「…………嫌だ、と言ったら?」
「…………再び、牢屋だ」
「その前に…………国王がどれだけ知っているかを聞きたい………その対価で教える………と言ったら?」
「貴様~っ!!」
臣下達がデイルに詰め寄ろうとする。しかし、国王は制した。
「まぁ、待て………100年より前のモルディア皇国とその後は知っている」
「…………あぁ、それか……その前の『虹色の涙』の用途は?」
「用途?………武器を作る為ではないのか」
「……………残念」
ざわっ、とコルセア国王とは違う認識のデイルの反応にざわつく。
「で、では何なのだ」
「モルディア皇国の神力の制御」
「………し、神力…………制御………」
「知らないなぁ、コルセア国王…………それじゃあ駄目だ…………俺は他を探す………ちょっとは期待したんだが……」
デイルは馬鹿にした様に、コルセア国王に対し、手をふらふらと振り去ろうとする。コルセア国王より知識がある、利用出来る存在をアピールするかの様だった。
「ま、待て!神力の制御とは何なのだ!!それは、モルディア皇族が白銀の髪に変わった事と関係があるのか!!」
「!!…………白銀の髪だと!!………戻ったと言うのか!!封印されてまだ100年経ってない!!」
「…………封印?」
「………………あぁ、封印だ」
お互いしまった、という顔を見せる。デイルは封印、コルセア国王は白銀の髪。しかし、コルセア国王の方が早く聞き直す。
「封印とは何だ」
「……………モルディア皇国の皇族の祖先は神だ………そいつらは、力が強過ぎた、だから封印されたのさ………それが約100年前…………封印が解かれる迄、あと数年ある筈だった」
「か、神だと!!」
「それが、白銀の髪と白銀の瞳が神の血脈…………何故、あんたは白銀の髪を知っている!?」
「……………モルディアで皇太子妃懐妊祝賀会が開かれている日、コルセア兵をモルディアへ送った…………白銀の髪の男が竜巻を起こし撤退せざる得ない、とな」
「…………そうか………完全に封印が解けたか…………なら……俺は協力は出来ん………あんた達は足掻くなら足掻くがいい」
「何なのだ!!白銀の髪、封印とは!!」
必死でデイルに聞くコルセア国王。傍から見ていても、情けない姿を晒す。
「…………モルディア皇国の皇族血脈は神だと言ったろう?俺は封印中にモルディアへ復讐と好きな女との自由が欲しかった…………モルディア皇族の力は神力!だが力が強過ぎて、制御する為にジェルバの力が必要だったんだよ!!神が神の力を欲した戦争に、コルセアやアガルタが介入したから、ややこしくなったんだ!!分かるか!!お前達、人間如きが神力を持つ種族同士の喧嘩を邪魔し、ジェルバの…………ツェツェリア族の復讐する機会を奪ったんだ!!…………何が和平だ……モルディアに言いくるめられやがって………」
ブツブツと呟くデイルにコルセア国王が兵士に耳打ちする。
「…………殺れ」
「宜しいのですか?」
「もう必要無い」
「はっ」
しかし、デイルは続ける。
「所詮、コルセアもアガルタもモルディアを潰せた所で、『虹色の涙』は使えん………【宝珠】が無いならな…………いい気味…………」
「ま、待て!!」
「…………ゔっ!!」
デイルの言葉に気になる言葉があり、命令を取り止める瞬間、デイルは兵士に胸を刺される。そして、そのまま倒れてしまった。
「【宝珠】とは何だ!!何なのだ!!使えんとはどういう事だ!!答えろ!!」
コルセア国王は、デイルに駆け寄り、身体を揺する。
「医師を呼べ!!死なすな!!」
だが、胸を一突きされ、デイルはそのまま還らなかった。
「……………陛下……」
「まだ私の知らない言葉を最後に出しおって…………そやつの持ち物は何も残っておらぬのか?」
「…………アガルタではアガルタ国王の私室でほぼ全裸で拘束されておりましたし、妾になる前の住居は我々では………」
「………いいだろう……モルディアの皇族が神なら、神に喧嘩を売ろうではないか………全軍
、モルディアを攻めよ!!アガルタとは違い、コルセアの敵はモルディアのみ!!皇太子妃は生きたまま捕らえよ!!」
コルセア国王の無謀の様な欲に、付き合わされるコルセアの臣下や兵士達だった。
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