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成人
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しおりを挟む「っ!」
風に運ばれて、降り立つ姿も様になるレオナルド。
水面が落ち着きを取り戻すと、水面に月が映る。ジルが気を利かせて、静かにしてくれた様だ。
「あれ…………騎士達は?」
「人払いしたよ………まぁ、警護はしてはいるだろうけど」
「……………ふ~ん……ロンも逃げたな」
「あんだけ俺を蹴っといて謝りもしないのか、アイツは」
「蹴られて当然でしょ?嘴で突かれないだけ良かったんじゃない?あの子、ステーキ肉突いてたから」
「……………一応、アイツの優しさか」
他愛のない話から始まって、肝心な事は切り出せないエレノアとレオナルド。
「今、エレノアが言っていたネックレスって何の事だ?アレを外させれば良いなら、俺が説得して…………」
「止めてよ………」
「え?」
「止めてよ、て言ったの…………あの娘と会って欲しくない………腹が立つから」
「……………嫉妬?」
「……………」
「違うか…………エレノアは、俺と婚約しても利害関係の婚約だしな」
「……………うよ……」
「エレノア?」
エレノアは座るのを止めて、ガゼボの柵に腰掛けた。結った髪の髪飾りも重くて、取ってしまい、金髪の髪が靡いて、その髪を掴み顔を隠す。
「違うよ………利害関係なんて………ただの口実………言い訳………自分に自信が無いから、そう言うだけよ………」
「エレノアが自信が無い事なんてあるのか?あれだけ自分は天才、て言ってる君がだぞ?」
「……………私だって………自信が無い事だってあるよ………」
「……………」
いつも自信満々なエレノアが歯切れ悪い話方なので、レオナルドはエレノアの顔を見ようと近くに行って、顔を覗くが、エレノアは顔を見せようとはしなかった。
「……………エレノア、顔見せてよ」
「……………やだ……」
「……………抱き締めて良いか?」
「っ!……………や、ヤダ!」
「じゃあ、利害関係で出来た関係じゃん」
「っ!…………ち、違…………」
「やっと顔上げた…………顔真っ赤で可愛い………」
「ゔっ…………」
「誤魔化さないのか?いつも誤魔化すのに」
キスをされて、今更顔を作れなくなっているエレノア。いつもなら気持ちも隠せられたのに、ナーバスになり過ぎて気持ちが表に出てしまった。
「……………好きだよ、エレノア」
「っ!」
「エレノアは?俺が好き?」
「……………き、聞かないでよ!察してよ!」
「聞かなきゃ分からない事もあるんだけど?」
「……………あ、あんな所であんな風にキスするなんて!は、初めてのキスぐらい夢見たって良いじゃない!場所とか雰囲気とかさ………もっと………良い場所が………っ!」
「例えば?」
「ゔっ…………」
エレノアの髪がレオナルドの指に絡み、顔から離され、背中に流されていく。
「……………此処は良い場所だよな……静かだし、人居ないし?」
「っ!……………あ、あの………レオ?」
「ん?……………エレノアの望む場所だと良いが、俺はやり直してやりたいな………初めての俺達のキスを此処で」
「っ!」
「……………駄目?」
「だ、駄目…………じゃ………ない………」
「……………」
了承を得たと捉えたレオナルドは、エレノアに顔を近付けていくが、エレノアは緊張でレオナルドを押し返す。
「ま、ま…………」
「待てないよ…………もう……6年待った……」
「っ!」
「良いよね?」
「……………う、うん……」
エレノアが覚悟を決めた様に目を閉じると、レオナルドの柔らかな唇がエレノアの唇を捕らえたのだった。
「……………好き……レオが……好き………」
「俺もずっと好きだったよ……もっと好きになってる………」
✦ ✦ ✦
「……………で、如何するの?神殿の事」
「……………」
キスを続けたかったレオナルドだったのに、エレノアはキスをして満足したのか、気持ちを切り替えていた。
あれだけ甘い雰囲気にさせておいて、エレノアは現実的である。
「ねぇ、てば!」
「……………切り替え早過ぎじゃない?エレノア」
「だって、一大事なんだもん!野放しにしたくない!神殿さえどうにかしちゃえば、幾らでもして良いからさ」
「っ!……………本当か?本当にキスしまくって良いんだな?」
「………………え……言い過ぎた………幾らでもじゃ…………その……」
口走って言ってしまったエレノアは、食い気味になった、レオナルドに火を点けた様だ。
「駄目、もう記憶したから、神殿を早く潰す!潰したら結婚式挙げような!エレノア」
「う、うん…………でも婚約式……あれで良いの?」
「待てない!婚約式は出来たと見なし、結婚して名実共に、エレノアを俺の物にしたい!…………そうと決まれば、直ぐに神殿潰す!」
「だ、だから如何やって?」
「……………乗り込んで、教皇に辿り着ける確証は無いからなぁ………」
「罠にハメるとかどう?」
「罠ねぇ………」
乗り込むのは簡単だが、肝心の教皇を捕まえなければ意味は無い。
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