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しおりを挟む「腰痛い………」
アマリエがシュゼルトから解放されたのは3日後だった。
常に、食事かセックスか、若しくは両方の選択肢しか出来ず、たまに休憩と称してシュゼルトに身体を洗われてはまた貪られ、体力を戻す前に全身筋肉痛だった。
それでも、この100年の事を、アマリエはシュゼルトから何とか聞き出し、記憶の整理をしたい、とシュゼルトを拒否して身体を休ませている。
アマリエが眠っている間、城も様変わりしていて、殺伐としていた城から見る景色も、見た事の無い花々が咲き、手入れもされていた。
そして何よりも驚いたのが、城に料理人が居て、食べられる料理が運ばれて来る事だった。
「…………美味しいんだけど……」
今はフォークで焼き菓子を突いて、甘い菓子を頬張れる幸せを感じている。
「天界は今如何なってるのかしら………お兄様もお父様ももう居ないなんて………」
「気になるのか?」
「…………シュゼルト……」
時間が空いたのか、シュゼルトが部屋に戻って来る。
「もう、お前とは関係無い世界だ」
「…………うん……100年経っては様変わりしてるよね………人間界もそうだもの」
「ユウミだった時の男は気にならないのか?」
「何故そんな事聞くの?もう、生きてないだろう歳よ………魔界人や天界人の様に、寿命は長くないんだから………生きていられても100年前後の寿命しか無いのよ、人間は………佑美で居たのは24年だったから生きてはいないわ」
「いや、最後というか、ユウミを救い出した後を聞きたいんじゃないか、とな」
「如何なったの?」
「やっぱり聞きたいんじゃないか」
「シュゼルトが言わなきゃ、聞く気も無かった程度よ?」
アマリエは焼き菓子を少し切り、シュゼルトにフォークを向ける。
「食べる?」
「…………食べるならアマリエがいい」
「今日は嫌………まだ挿入ってる気がするもん。お腹に力入れると、出てきちゃうし」
「ククッ…………甘いな……コレ………甘いならアマリエのが好みだ」
「…………直ぐにそっちに話を持ってくんだから………それで?仁………あの人は如何なったの?」
「不能にさせた」
「不能?……………ったく………またそっち?」
「ユウミを抱いたからな」
「…………ありがとう……シュゼルト」
アマリエは、しんみりと思いふけ、シュゼルトから目を反らし、外を眺めた。
「不思議ね………佑美の記憶がアマリエの身体になって迄、鮮明に覚えてるなんて………転生すると前世の記憶は忘れる様になる、と天界では教わったわ」
「ルシフェルが消さなかったのか、残したんだろ」
「私の為に………かな……シュゼルトと生きれる為に」
「…………アイツがそんな親切なんてするかよ。俺にとっても嬉しい事なんだぞ?」
「…………そうよね……佑美の身体も滅ぼして、アマリエの身体に佑美の魂と記憶を移すなんて、お兄様は余程、私に忘れて欲しくないのかもね…………ふふふ……まるでシュゼルトに嫉妬させたいみたい………そう思うと親切じゃないわ」
「っ!」
親切心なのか、嫉妬心を煽る為に、アマリエに佑美の記憶を残させたのか、今となっては分からない。
それでも、アマリエには今掛かっている呪縛は取り除かれていて、唯一縛っているものとすれば、シュゼルトの力がアマリエにある、という事だけだ。
「でも、シュゼルトの力がまだ私にある、て事は、私はシュゼルトに生き永らえさせられてるのかしら」
「…………そう思うな……アマリエは天界人と人間の混血だ。人間の様に短命だった可能性もある」
「…………まだ、返して欲しい?」
「…………いや?……今だけでも俺は充分強い。有っても暴走はしないだろうが、その俺の力がアマリエの寿命を伸ばしてるなら、持っててくれ。返却方法も分かんないしな」
「…………本当、そうよね。キスで吸い取ったのに戻せないなんて……力が半減してると子供の姿にも戻っちゃうし、大人の姿の時はセックスだけだってのも分からないわ………その分絶倫に拍車掛かったし」
「…………フッ……」
嬉しい様なムカつく様な顔をアマリエは見せていた。
シュゼルトと抱き合う事は好きなので、子供のままでは困るのだが、大人の姿に戻ると、溜まった欲求が、吐き出される迄止まらないのだ。
---以前はあんなに執拗くなかったのに……
「アマリエ………顔、エロいぞ」
「っ!」
「望むなら、今からでも良いぞ?」
「…………き、今日はもう嫌!朝迄シてたじゃない!」
「…………そうか、残念だな………」
「っんっ……ち、ちょっと!」
シュゼルトが徐ろに手を伸ばして来ると、服の上から、アマリエの胸を指で擦って来る。
直ぐに当てられる頂きの位置は、硬く尖ってくるには時間は掛からなかった。
「勃てといて、お預け………まぁ、良いが………我慢出来るのか?」
「シ、シないって言ったらシないから!」
「じゃぁ………何故避けない?俺は拘束しても抱き締めてもいないぞ?」
「っあっ………んっ………」
「ん?…………外から丸見えだな、此処でスると………俺は待ってやれるが?」
「っく!………シないってば!馬鹿!」
色気を出された目と声のシュゼルトに、強請りたくなってきたアマリエだが、自分が決めた事を覆す勇気が無かった。
立ち上がり、アマリエはトイレに駆け込んで行く。
背後では、クスクスと笑うシュゼルトが、察している様で、アマリエは無性に腹が立ったのだった。
---ぬ、濡れたし!………馬鹿ぁぁぁ!
声に出すと、直ぐに始められるだろうが、今更感を出したくもないので、アマリエは熱を抑え込むのだった。
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