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しおりを挟む「アルマ………俺もどんなに君の中で達したいと、何度思ったか計り知れないよ」
「っ!」
アルマがジークハルトに包み込まれた手に力が込められる。そして指を絡めジークハルトは自身の口元に運ぶと、アルマの結婚指輪にキスを贈った。
そして、それだけではなく舌が這い、指を吸われていく。
「ジ、ジーク様………」
その色気にゾクゾクが止まらないアルマ。目線がかち合い、反らせられずにいると抱き締められ、唇に深いキスをされた。
「愛している」
「……………ジーク様……」
「アルマは?俺をどう思ってる?」
「……………お慕いしております………」
「……………嬉しいものだな、気持ちが通じ合うと…………」
「は、はい!…………うっ………」
「アルマ…………アルマ………」
アルマも嬉しくて、ジークハルトの背に腕を回し抱き着いていた。
コンコン。
だが、良いムード漂う寝室の扉がノックされ、アルマとジークハルトは抱き締め合うのを止める。
『奥様のお食事をお持ち致しました』
「た、食べようか、アルマ」
「は、はい………」
「入れ」
精神的に幸せになったアルマは、それだけでお腹が空いた気がした。ベッド脇に用意された温かいスープにパンが置かれ、ジークハルトが持ったので、手渡されると思いきや、スープを掬い口元迄運ばれてしまう。
「じ、自分で食べれます!」
「駄目だ。俺に看病させなさい」
「で、ですが………侍女達に見られるのは………」
「ほほほ…………私達は失礼致しますので」
「翌朝下げに参ります。おやすみなさいませ、旦那様、奥様」
「あぁ、後は俺がアルマを診てるから、皆も休め」
「っ!」
「ほら、溢れる」
「…………い、いただきます……」
口に運ばれたスープは美味しいのだろうが、アルマにはこの時の味はよく分からなかった。
何とか、次々に運ばれるスープやパンを食べ終えると、満足そうにジークハルトはしている。
仲直り出来て、嬉しくて仕方がない様だ。
「アルマは月の穢れは重いのか?痛みが酷い女も多いと聞くが」
「私は然程………今回はちょっと稀だと思います。いろいろあったので」
「そうか………先月は元気だったから、気にも留めてなかった」
「ご心配お掛けしてしまって申し訳ありません」
「…………いや……安心したのが大きい………」
ジークハルトにすれば、妊娠していなかった事が余程安堵したのだろう。
「…………ですが、やはり私はまだジーク様のお子を妊娠出来ないのですね」
「…………本心では欲しいんだ………だが、まだ2人で良い」
「本当の理由は教えては頂けないのですか?」
「…………それを伝えて、俺はアルマが出す結論が怖いんだよ…………いずれ話せる時期迄待ってもらえないか?」
「ずっと隠されていくおつもりは無い、という事ですね」
「ずっとではない。子供が欲しい、と言える時に伝えるつもりだ」
「……………では、お待ちしています」
隠し事をされるのは悲しいが、真剣に考えているのが伝わるので、アルマもそれ以上踏み込めないでいた。
「そろそろ休もうか、アルマ………疲れているだろう」
「ジーク様はまた別の部屋で休まれるおつもりですか?」
「…………一緒でもいいか?」
「はい!」
アルマはジークハルトと眠れるのが嬉しくて笑顔を見せる。
「っ!…………は、早まったかも……また……」
「え?」
「あ、いや………俺は風呂に入ってくるから先に横になっていてくれ………アルマは今日は……」
「頭打ちましたし、安静だと言われましたからこのまま休みます。明日は体調次第で入りたいですけど」
「そうか………では、入って来る」
思いが通じ合ったので、満面の笑顔だったアルマ。その笑顔がジークハルトを煽ったのだろう。逃げる様に風呂場へ直行するジークハルトの後ろ姿を確認し、アルマはベッドに潜った。
「…………抱きたくなってしまった……最近無かったからな………」
ボヤくジークハルトの声はアルマに届かない。
ジークハルトが再び寝室に戻れば、もうアルマは眠っていて、再びアルマの寝顔に苦しまれる事になるとは思いもよらず、ベッドの脇に座りジークハルトが自分で熱を治めていたのを、アルマは気が付いてしまった。
はぁ、はぁ、と直ぐ近くで聞こえ、ジークハルトの気配だと知るには時間が掛かった。
---っ!………ジーク様っ………
声を掛けるに掛けられず、寝たフリをするしかなかったアルマ。
「はぁ…………アルマっ……」
時折、ジークハルトがアルマを呼ぶ、閨行為時と同じ色気のある声が、アルマの耳に着く。
---ど、如何すればいいの?………私は今、お相手出来ないし……声をお掛けしたら悪い気がするし………
結局、そのジークハルトの声は暫く続き、ジークハルトがベッドに入る時迄、アルマは眠れなかった。
行為が終わったジークハルトはアルマを包み、その温もりでやっとアルマは眠れたのである。
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