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第7章
アイシテタ
しおりを挟む短くシャワーを浴び終えると、政宗は佐助と目を合わせる事なく、入れ替わるように浴室に入っていった。
『…潮時だな。』
政宗の様子は気になったが、深入りはしない方がいいと佐助は直感的に思った。
政宗がシャワーを浴びている間に部屋を出て行こう。
ボストンバッグを肩に掛け、リビングから出て行こうとした時、しっかりとアイロンがかけられて皺一つない新品のようなスーツがリビングのドアノブに掛けられていた。
「…これ、俺が忘れて行った仕事用のスーツ…。」
政宗は、自分がシャワーを浴びている間に佐助が出て行くとわかっていたのだろう。
お前は昔からそうだ。
『本当は不器用なくせに、駄目になりそうな奴を片っ端から拾い上げて、何もかも救おうとしていたもんな。』
佐助はスーツを握り締め、振り返ることなく部屋を出て行った。
ありがとな、政宗。
俺は一夜の心だけ救われたよ。
一夜だけ、俺は政宗のことをアイシテタから。
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