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海軍基地の攻防戦
第43話 、、、最悪だ。
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敵は、俺が予想した通り、軍港とは反対側の東から基地を横断しながら空母に迫ってきた。
勢力は2コ小隊といったところか。
通常の2コ小隊であれば、なんとかなりそうだったが、多分、特殊部隊だろうから、少々厄介だ。
それでもトンネルの上に配置したライアン達が敵の真横から機関銃を撃てば、形成逆転の余地はある。
とにかく、陸戦部隊が全滅しても、空母さえ沖合に出してしまえば良いのだから。
敵の工作員が、ジワジワと間合いを詰める中、俺は敵を全滅させることに集中していた。
あと、もう少し、あと、もう、すぐ。
そう思っていた時だった。
「雄介様!」
彼女がそう言うと、小銃を構えて敵と銃撃戦をしている俺の横から飛び出してきた。
「おい、危ないぞ、今戦闘中だぞ、、、」
一瞬、正気を失いかけた。
防弾チョッキを着ているが、敵の弾が、今確実に美鈴玲子の体に着弾し、彼女は俺に抱きつくと、そのまま力なくゆっくりと倒れていった。
「玲子君、おい、、、玲子君! 大丈夫か?何で俺なんかのために、」
、、、最悪だ。
彼女に当たった弾は、防弾チョッキを破って体内に侵入してしまっていた。
地面に、少しづつ地だまりが出来てくる。
俺はまだ、何が起こっているのかが理解できないでいた。
そして、今冷静になって考えてみた。
そうだ、彼女は軍医とは言っていたが、この時代に相手を殺すことが出来ない未来人なのだ。
ここへ連れてはきたものの、彼女が俺に付いてきた理由、それは、こうして俺の身に危険が迫った時に身を呈して守ること、俺の身代わりになることに決まっているではないか。
そんな時、先ほどトンネルの上に配置に付いていたライアン二等兵達の機関銃が一斉に火を噴いた。
先ほど、彼女を襲った銃弾は、別方向から来た工作員によるものだった。
俺が敵の規模を見誤ったばっかりに。
ライアン二等兵が、更に別方向から来た工作員に対して、手榴弾を落として応戦する。
さすがの敵も、この攻撃には手を焼いているようで、トンネル上の機関銃も3000発の銃弾を持たせて行ったので、それなりに抵抗力が強かった。
俺は、見る見る顔面蒼白になってゆく彼女を見て、頭が混乱した。
それを見かねた現場指揮官だった伍長が、俺に、彼女を連れて、一端、空母内の医務室へ連れて行くよう提案してくれた。
さすがにここを離れる訳にはいかないと思ったが、勇敢にも伍長以下でここは死守する、と言い切ってくれたのだ。
、、、多分、俺の情けない表情を見るに見かねたんだろう。
「申し訳ない、敵も無限ではないだろうから、もう少し頑張ってくれ」
そう言うと、空母の乗組員だろうか、彼女を運ぶのを手伝ってくれる水兵がいた。
「ありがとう、艦内の医務室で救護は可能だろうか?」
「はい、問題ありません軍曹」
空母も被弾しているためか、かなり焦げ臭いが、銃弾が飛び交うゲート付近よりは何倍もマシだろう。
工作員がどんな武器を使っても、艦内に直接爆薬でも仕掛けない限り銃弾ごときで空母を沈めることは出来ないだろう。
「玲子君、大丈夫か?もう少しの辛抱だ」
俺は本当に後悔していた。
そうだ、世界大戦を止めることで、もし彼女を失うことになったら俺は、、、。
出会って間もないのに、まるで走馬燈のように彼女の笑顔、恥ずかしく俯く表情が頭を何度も過ぎった。
あの時、彼女の言う通り、空母へ向かわなければ。
、、、いや、もうよそう。
空母はもう出航を始めた。
ゆっくりだが、陸地が動いているのが見え始めた、空母が巨大すぎて、艦が動き出すと、逆に陸が動いて見える。
これで、この勝負は俺たちの勝ちだ。
太平洋にこの空母がいるかぎり、緒戦において太平洋の覇者はこの原子力空母で間違いない。
これで彼女の状況が好転してさえくれれば、あとはもう何もいらない。
そうだ、もうほかには何もいらない、いっそのこと、怪我を治した彼女を連れて、どこか地方でひっそりと暮らすのも悪くない。
彼女さえ良ければ、もう、ほかに何を望むと言うのか。
そんな時だった、艦内が少し騒がしくなった。
、、、、敵の工作員の一部が、艦内に侵入してしまったのだ。
勢力は2コ小隊といったところか。
通常の2コ小隊であれば、なんとかなりそうだったが、多分、特殊部隊だろうから、少々厄介だ。
それでもトンネルの上に配置したライアン達が敵の真横から機関銃を撃てば、形成逆転の余地はある。
とにかく、陸戦部隊が全滅しても、空母さえ沖合に出してしまえば良いのだから。
敵の工作員が、ジワジワと間合いを詰める中、俺は敵を全滅させることに集中していた。
あと、もう少し、あと、もう、すぐ。
そう思っていた時だった。
「雄介様!」
彼女がそう言うと、小銃を構えて敵と銃撃戦をしている俺の横から飛び出してきた。
「おい、危ないぞ、今戦闘中だぞ、、、」
一瞬、正気を失いかけた。
防弾チョッキを着ているが、敵の弾が、今確実に美鈴玲子の体に着弾し、彼女は俺に抱きつくと、そのまま力なくゆっくりと倒れていった。
「玲子君、おい、、、玲子君! 大丈夫か?何で俺なんかのために、」
、、、最悪だ。
彼女に当たった弾は、防弾チョッキを破って体内に侵入してしまっていた。
地面に、少しづつ地だまりが出来てくる。
俺はまだ、何が起こっているのかが理解できないでいた。
そして、今冷静になって考えてみた。
そうだ、彼女は軍医とは言っていたが、この時代に相手を殺すことが出来ない未来人なのだ。
ここへ連れてはきたものの、彼女が俺に付いてきた理由、それは、こうして俺の身に危険が迫った時に身を呈して守ること、俺の身代わりになることに決まっているではないか。
そんな時、先ほどトンネルの上に配置に付いていたライアン二等兵達の機関銃が一斉に火を噴いた。
先ほど、彼女を襲った銃弾は、別方向から来た工作員によるものだった。
俺が敵の規模を見誤ったばっかりに。
ライアン二等兵が、更に別方向から来た工作員に対して、手榴弾を落として応戦する。
さすがの敵も、この攻撃には手を焼いているようで、トンネル上の機関銃も3000発の銃弾を持たせて行ったので、それなりに抵抗力が強かった。
俺は、見る見る顔面蒼白になってゆく彼女を見て、頭が混乱した。
それを見かねた現場指揮官だった伍長が、俺に、彼女を連れて、一端、空母内の医務室へ連れて行くよう提案してくれた。
さすがにここを離れる訳にはいかないと思ったが、勇敢にも伍長以下でここは死守する、と言い切ってくれたのだ。
、、、多分、俺の情けない表情を見るに見かねたんだろう。
「申し訳ない、敵も無限ではないだろうから、もう少し頑張ってくれ」
そう言うと、空母の乗組員だろうか、彼女を運ぶのを手伝ってくれる水兵がいた。
「ありがとう、艦内の医務室で救護は可能だろうか?」
「はい、問題ありません軍曹」
空母も被弾しているためか、かなり焦げ臭いが、銃弾が飛び交うゲート付近よりは何倍もマシだろう。
工作員がどんな武器を使っても、艦内に直接爆薬でも仕掛けない限り銃弾ごときで空母を沈めることは出来ないだろう。
「玲子君、大丈夫か?もう少しの辛抱だ」
俺は本当に後悔していた。
そうだ、世界大戦を止めることで、もし彼女を失うことになったら俺は、、、。
出会って間もないのに、まるで走馬燈のように彼女の笑顔、恥ずかしく俯く表情が頭を何度も過ぎった。
あの時、彼女の言う通り、空母へ向かわなければ。
、、、いや、もうよそう。
空母はもう出航を始めた。
ゆっくりだが、陸地が動いているのが見え始めた、空母が巨大すぎて、艦が動き出すと、逆に陸が動いて見える。
これで、この勝負は俺たちの勝ちだ。
太平洋にこの空母がいるかぎり、緒戦において太平洋の覇者はこの原子力空母で間違いない。
これで彼女の状況が好転してさえくれれば、あとはもう何もいらない。
そうだ、もうほかには何もいらない、いっそのこと、怪我を治した彼女を連れて、どこか地方でひっそりと暮らすのも悪くない。
彼女さえ良ければ、もう、ほかに何を望むと言うのか。
そんな時だった、艦内が少し騒がしくなった。
、、、、敵の工作員の一部が、艦内に侵入してしまったのだ。
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