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分岐世界の冒険者たち

第57話 2000年前の大分岐

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 どれくらい時間が経過したのかが、まったくわからない。
 俺は、重い体を起こして周囲を見ると、玲子君がいない。

「GF、お目覚めですか?」

「んん、、、ああ、シズか?、時空転移は完了できたのか?」

「はい、大丈夫です、無事に完了しています」

「玲子君は、今、どこにいるんだ?」

「はい、周囲の様子を伺いに行っています、ここは、ノーガードの地域のようですから」

「ノーガード?」

「はい、未来人や未来AIの保護下にないエリアを、そう呼びます」

「つまり、周囲には何がいて、誰かに襲われる可能性もあるという事か?」

「そうなります、ですので、ここからどこへ向かって飛行すれば良いのかを考えるために、美鈴は今、自己位置を評定しているところです」

 なるほど、前回の相模のように未来人の保護下とは限らないということか。
 そうすると、ここでも場合にとっては戦闘になるということか?
 キャサリンが一応、武器を準備してくれているが、この世界で通用するかも不明だしな。

「シズ、ここの世界の大まかな世界観ってわかるか?」

「そうですね、大雑把な予測値でしかありませんが、元の世界とは2000年ほど前に分岐した世界のようです」

「分岐?」

「はい、この世界は、1マイクロフレーム毎の細分化世界線と、自我世界線、そして大分岐世界線などで構成されています、この世界は、2000年前の大分岐の時に発生したまま、収束世界へ合流しなかった、エラーサイトです」

 相変わらず未来の理論は解りにくい。
 要するに、小さく分岐する現象はとてつもなく小さく分岐し、大きい分岐は何かきっかけが無ければ分岐しない代わりに、大きく世界観を変化させてしまうという事でいいのか?
 しかし、2000年前の世界線分岐では、もはや俺たちのいた時代との接点が無いんじゃないのか?
 2000年って、キリストとかいた時代だろ?
 むしろ、何が共通点として残っているかが、全く不明だ。
 そうこうしているうちに、玲子君が帰ってきた。

「雄介様、お目覚めですか?」

「ああ、、まだすこしぼんやりしているが、玲子君は平気なのか?」

「はい、私は訓練されていますから、到着してすぐ動くことが出来ます」

「で、外はどんな様子だ?」

「はい、私達の世界と異なり、文明があまり発展していない様子です、むしろ2000年前と、それほど変化は無いようです」

 そんなことってあるのか?
 文明が発達しない世界線なんて。

「我々の世界が発達しているのに、この世界だけが文明の恩恵から取り残された理由は何だ?」

「そうですね、、、むしろ、文明が発達するには発達理由があって、普通はこのように科学力は発達せずにいることの方が自然なのです」

 つまり、俺たちの時代に、科学が発展したことには理由があると。

「この時代に、科学が発達しなかった理由とは何だ?」

「、、、そうですね、これはもう、ご自身でご確認された方が早いかもしれません」

 そう言うと、玲子君は俺を機体の外へと案内した。
 外はもう日が高く上がっていて、昼くらいに感じられた。
 
「で、一体何を見ればいいのだ?、、、、、って、おい!」

 いや、そりゃ驚くだろ、誰だって。
 まさか、あれが目の前にいるなんて思わないし。
 これって、本当に分岐世界線なのか?
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