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第一雪【彼女の思惑】
しおりを挟む『一歩踏み出すことで、その人との関係が壊れても、その後、修復してより壊れにくい関係を築くこともできると思うんだよね。』
いつものように噴水の氷で暇つぶしをしていて出会った彼のその言葉は、どこかの心理学とかの本に載ってそうなほど、良い子ちゃんな回答だった。
私は、そんな彼の言葉は夢物語すぎていて思わず、声に出してしまった。
「......そんなの理想論だよ。」
しかし、よほど考えて出してくれた答えなのだろう、未だ考え込んでる彼には私の声は届いていなかったようだ。内心、ほっとした。
そして、私は彼に近づくことを決めた。
彼が言うその理想論ははたして本当になり得るものなのかと。
後から、ほら見なよ、人間なんて壊れるだけの関係だと示すために。
私は私ができる精一杯の笑顔で彼に詰め寄った。
「じゃあ、そうね!一度壊れてしまった私達の関係修復しよう!これも何かの縁だし、これからもまた会おう!」
私のこの言葉を聴くが否や、彼の面倒くさそうなあの顔は今でも脳裏に焼き付いている。
私が、どんな理由であれ人に関心を持ったのはきっと彼が初めてだったと、今なら思う。
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