耳を塞いで、声聴いて。

久寺森うみ

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第八章

8-2-1※

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     ***

 祥の部屋に着いた二人は、そのまま布団に倒れ込んだ。布団は今朝起きた時のままだ。


「祥――」

「永緒、ぅん、んんっ」


 突如、激しい口付けに襲われる。口の中をかき回され、呼吸すらままならない。その間にも、永緒は祥のシャツのボタンを全て外し、ベルトも緩めてくる。

 やっとキスが解けたかと思うと、今度はズボンと下着を剥ぎ取られた。膝を立てられ、秘めた場所を露わにされる。


「ちょ……永緒?」


 不意に右手を取られ、永緒は祥の人差し指と中指を自身の口の中へと導いた。

 雨に打たれて指先が冷たくなっていたせいで、口の中が熱く感じられる。

 最初は全体をゆっくりと舐め上げていた舌が、やがて指に絡みつく。唾液が纏わり付いて、くちゅくちゅという音が鳴った。

 柔らかい舌で擦られ、根元を舐められる。すると、祥の身体はくすぐったさに似た感覚に支配された。

 次第に溢れた唾液が手の平を伝って手首のほうまで滴ってきて。

 やっと指が解放されたかと思うと、永緒はそれを祥の足の間へ誘導した。


「な、何!?」

「ここ、自分で解してみて」

「はあ!? んなの、できな……」

「できるよ。自分が気持ちいいって思うように動かせばいい」


 すると永緒は、祥の指を体の中へと押し込んでくる。


「あっ、やめ…」


 指は濡れていたためすんなりと入ったが、まだ浅いところで止まっている。

 永緒の手があるせいで後には引けず、恥ずかしさのあまり先に進むこともできない。

 だが永緒は、そんな祥の指をさらに奥へと沈めてきた。


「あぁっ…」


 その瞬間、中がきゅっと締まる。自分で自分の体内を探る感覚に、眉根を寄せた。


「ぅ、ん…あ、ゃあ……」


 いつまで経っても指を動かせない祥を見かねてか、永緒もそこへ指を忍ばせてきた。


「あ、ああ……んぅ」


 新たに入ってきた指は、祥の中を自由に探ってくる。

 やがてそれに触発されたかのように、祥も指を動かし始めていた。


「ぁあ…あ、あァ」


 身体の中にある二本の指が、どちらも違う動きをしている。

 祥は自分の感じるところを刺激し、永緒は奥の方を突いてきた。


「ああッ、ながお、そこ…」


 自分で刺激しているところに永緒の指も加わった。そこをぐっと押し込まれて腰が跳ねる。


「あぁ、ん…あ、あっ」


 そうしてしばらく弄ばれている内に、後孔はどんどん綻んでいく。

 幾分か解れてきたところに、永緒は祥の指をもう一本追加した。

 圧迫感が増したが、祥は欲望のままに指を動かす。


「あぅ、っ……ああぁ」


 気が付くと永緒の指は外れており、祥自身を弄り始めていた。
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