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【結】 俺たちの答え

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 二人で散らかった事務所を片付け、コックコートから私服へ着替えると、嵐は呆然と冷蔵庫の中身を見ていた。そこにはまだ余っているオレンジのゼリーと、すでにカップに冷やし固められている水色ゼリーがある。

「食べるか?」

 声をかけるとビクッと肩を揺らし、嵐は大きなため息を吐きながら振り返った。

「びっくりさせないでよ」

 笑って謝ると、嵐はやはり水色ゼリーを手に取った。

「兄ちゃんも食べる?」

 聞かれて頷いた。
 けど、嵐はどちらのゼリーを食べるのだと、まるで俺を試しているようで、迷わず水色ゼリーを手に取った。けどオレンジゼリーの入ったボールも一緒に取り出し、そちらを捨ててしまおうとゴミ箱まで歩いた。

「捨てるの?」

 聞かれて頷く。

「捨てるよ。そしてもう……二度と作らない」

 そう言って傾けたボール。
 バラバラっとクラッシュゼリーは半分くらいゴミ箱に落ちたが、嵐に手首を掴まれ止められた。

「捨てなくていい」

 まっすぐ目を見て言われる。

「けど……」
「兄ちゃんが食べなよ」

 "俺が食べる" とは言わなかった。

「二度と作らないなんてそんなこと誓わなくてもいい。思い出を閉じ込めておきたいなら今食べて、また作りたくなったら作ればいいじゃん」

 嬉しいとか優しいと感じるより早く、嵐に嫉妬はないのだろうかという疑問が強く湧き上がった。

 こんなこと言えてしまう嵐が信じられない。寺島とは本当に真逆。愛情表現も言葉数も少なくてクール。嫉妬すら……しないの?

 さっきも俺たちを外に残して厨房に戻った。きっと分かってて厨房に戻ってる。寺島との最後のキスを……お前は黙認するんだな。

 逆の立場だったとしたら、寺島だけじゃなく俺だってそんなの無理だ。なのに嵐はそれを許す。そして俺はそれに甘えてしまっている……。

 俺は俺で最低だ。

「いや……、いいんだよ。」
「じゃあ、俺が食べる」
「えっ?」

 思ってもいない言葉。

「俺がこのゼリーの思い出を塗り替える。これからこのゼリーを食べるのは俺だ。だからまた作って」

 それこそ信じられない言葉だった。

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