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初めてのテレビ収録!

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 その後、トーク収録に呼び出されたのは太一としてはあまりに予想外の出来事だった。セットの組み直しが行われる間、別室の会議室にて打ち合わせが行われる。

 番組スタッフ達と出演者達が資料を見ながら収録の流れに目を通す。トップナイン達が中心となってスタッフ達にあれこれ質問をしたり、提案をしたりする中、太一は案の定隅の方で黙り込んでいた。意見を言えるほどの経験はない。特別なアイデアさえも浮かばない。疑問や不安に思う事柄すら思いつかない。未経験者というのは、そういうものだ。

 何が何だかよく分からないまま打ち合わせは終わり、太一はみんなの後をついて楽屋に戻った。20名ほどのエッグ達で賑わう楽屋で衣装チェンジし、トップナインが優先的に座るソファに、何故か太一も座っていた。雪村に手招きされたからだ。

 彼の親友をしていると、そういう特権を得られる。もっとも太一はそんな特権に目が眩むことはないのだが。
 なんならこんな状況下ではあまり呼ばれたくはなかった。椅子にも座れず地べたに座っているエッグがいる中、悠然とソファに座る図太い根性を、太一は持ち合わせていない。

 しかし、座れよと言われて断る理由も特にない。いや、オレより彼を、と他人に譲ったところで、その人が迷惑がること請け合いだ。どこの誰がモンスター雪村の隣に座りたいというのだ。
 悪い奴ではないんだけどと思いながら、太一は雪村の横顔をチラリと盗み見た。

 相変わらずカッコいい。隙のない格好良さだ。顔もカッコいいのに、それだけに収まらず、性格まで男前ときた。非の打ち所がない雪村の完璧さに、太一はぼんやりと “雪村の首を掻っ切るなど無理な話だ” と考えていた。

 トップナイン達は、夏休みになったな、という話から始まり、どこの花火大会に行くか、などという話題で盛り上がっている。

「タマキブで花火大会の収録しないかなぁ。そしたら特等席で見られるのに」

 二ノ宮の他力本願な言葉にみんなわっと盛り上がった。

「でも、もう時期的にそれは無理だろ」

 雪村も軽快に笑ったが、席の確保や運営委員会への交渉、また屋内観賞ならばお店へのアポ取りなど、今から動いていたのではもう遅いだろうと、至って冷静な判断を下した。

「それなら肝試しして、その後にみんなで手持ち花火をするってのが妥当なプランだな」

 そう提案し直した雪村に、二ノ宮は苦笑する。

「まぁ、それでもいいけど……俺はロケバス班だからね」
「なんだよ、ビビってんの?」

 佐久間がいい遊び道具を見つけたと言わんばかりに食いついたが、その返事は笑えなかった。


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