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エッグバトル、予選開始!
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月曜日にはトップ3の内の二人がいる。
それはMonday Monsterにとっての最大の強味。だけどそれに甘えるつもりもないし、ANNADOLの認知度が世間に高まったことで人気も拡散しているため、もはやトップ3が有利だという確証も薄い。でも、勝ちに行くためには手を尽くすしかない。
そして思うのだ。
アイドルは、ダンスと歌だけで勝負するわけじゃない、と。
プライスレスな幸せを絶対に届けないといけない存在なのだ。そこを手抜きしては、勝ち目などない。歌やダンスの完成度ももちろんだが、そこにプラス α な何かを提供出来てこそ、“アイドル”が完成される。BLACK CATを見て心底そう思ったのだ。
そして答えを導き出す。
それは、太一なりの精一杯の答え。
中央ステージでは、パフォーマンスを終えたSURFに、審査員からの総合得点が弾き出された。
「963点~~! 高い高い高~い」
テンションが異様に高いメインMCの煽りで会場は湧き、残されているエッグたちは焦りを募らせる。
そんな中、太一は一人。至極大真面目に悩み、至極大真面目に考えていた。
「ねぇ、相談したいことがある」
CMに入った瞬間、太一はメンバーを集め、この至極大真面目に考えた“プラスα”を三人に伝えた。
「スキンシップ、増やさない?」
志藤の思考回路が火花を散らしてショートしてしまったのは言うまでもない。
「そういうの、女の子たち好きなんだよね?」
簡単にそう言ってのける太一に、雪村は眉根を寄せ、苦笑いすら浮かべなかった。一ノ瀬は固まって動かない志藤を見て薄っすらほくそ笑むと、難しい顔をしている雪村と、あっけらかんとしている太一に視線を向ける。
「肩組んだり、ハイタッチしたり。それくらいなら出来そうじない?」
「お前、どうしたいわけ?」
だが、間髪入れずに突っ込んだ雪村に、太一は首を傾げた。
「肩組んだり、ハイタッチしたり、女子が求めてるのはそこに有りもしない“何か”を求めてるからだ」
「……どういうこと?」
鈍感な太一には、やはりそれだけの言葉では伝わらない。雪村は舌打ちすると、ぐいっと太一の腕を引っ張り、唇が触れ合う寸前で止まった。
驚いた太一と、顎が外れそうになるほど口を開いた志藤。そして可笑しそうにぶっと吹き出す一ノ瀬。
「……こういうこと」
細めた瞳で睨まれ、太一はドンっと雪村の胸を突いて身体を離した。
「お前、そういうキャラで攻めたいわけ?」
「いや……っ、ちが……っ!」
「そのあと苦労するのはお前だぞ? 付き合わされるこっちも迷惑だ」
ぴしゃりと言われ、太一はぐっと押し黙った。
それはMonday Monsterにとっての最大の強味。だけどそれに甘えるつもりもないし、ANNADOLの認知度が世間に高まったことで人気も拡散しているため、もはやトップ3が有利だという確証も薄い。でも、勝ちに行くためには手を尽くすしかない。
そして思うのだ。
アイドルは、ダンスと歌だけで勝負するわけじゃない、と。
プライスレスな幸せを絶対に届けないといけない存在なのだ。そこを手抜きしては、勝ち目などない。歌やダンスの完成度ももちろんだが、そこにプラス α な何かを提供出来てこそ、“アイドル”が完成される。BLACK CATを見て心底そう思ったのだ。
そして答えを導き出す。
それは、太一なりの精一杯の答え。
中央ステージでは、パフォーマンスを終えたSURFに、審査員からの総合得点が弾き出された。
「963点~~! 高い高い高~い」
テンションが異様に高いメインMCの煽りで会場は湧き、残されているエッグたちは焦りを募らせる。
そんな中、太一は一人。至極大真面目に悩み、至極大真面目に考えていた。
「ねぇ、相談したいことがある」
CMに入った瞬間、太一はメンバーを集め、この至極大真面目に考えた“プラスα”を三人に伝えた。
「スキンシップ、増やさない?」
志藤の思考回路が火花を散らしてショートしてしまったのは言うまでもない。
「そういうの、女の子たち好きなんだよね?」
簡単にそう言ってのける太一に、雪村は眉根を寄せ、苦笑いすら浮かべなかった。一ノ瀬は固まって動かない志藤を見て薄っすらほくそ笑むと、難しい顔をしている雪村と、あっけらかんとしている太一に視線を向ける。
「肩組んだり、ハイタッチしたり。それくらいなら出来そうじない?」
「お前、どうしたいわけ?」
だが、間髪入れずに突っ込んだ雪村に、太一は首を傾げた。
「肩組んだり、ハイタッチしたり、女子が求めてるのはそこに有りもしない“何か”を求めてるからだ」
「……どういうこと?」
鈍感な太一には、やはりそれだけの言葉では伝わらない。雪村は舌打ちすると、ぐいっと太一の腕を引っ張り、唇が触れ合う寸前で止まった。
驚いた太一と、顎が外れそうになるほど口を開いた志藤。そして可笑しそうにぶっと吹き出す一ノ瀬。
「……こういうこと」
細めた瞳で睨まれ、太一はドンっと雪村の胸を突いて身体を離した。
「お前、そういうキャラで攻めたいわけ?」
「いや……っ、ちが……っ!」
「そのあと苦労するのはお前だぞ? 付き合わされるこっちも迷惑だ」
ぴしゃりと言われ、太一はぐっと押し黙った。
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