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第2話:不穏な失踪事件/地下の祭壇
しおりを挟むエリーザの突如の登場に、ファティームは過去のゲームの出来事を思い出した。
主人公の幼馴染であったエリーザは、物語の中盤でファティームを手助けするキャラクターだった。
「エリーザ、なぜあなたがここに?」
ファティームはが尋ねると、エリーザは深くため息をつきながら言った。
「リリアーナ、実はあなたが学園を去った後、学園で色々あって……何人かの生徒たちが突然消えてしまう事件がが発生しているのよ」
ファティームの心がざわつく。
ゲームの中でのそのようなエピソードは存在しなかった。
これは、彼女自身がこの世界に影響を及ぼしている結果なのだろうかとファティームは不安になる。
アルトは顔をしかめながら、
「それは大変だ。 しかし、それでなぜエリーザはここに来たのだ?」
そう問うと、エリーザは短く髪をかきあげながら、
「アルト、私は魔法使いとして、事の真相を解明しようとしているの。 そして突然学園を去って行ったファティームが何らかの形で関与しているのではないかと疑っている人もいてね」
ファティームは驚きとともに不安を感じた。
その事件の犯人として疑われていることより、自分が原因でこの世界の運命が変わってしまったのかもしれないという不安が強かった。。
アルトはファティームを励ますように手を取った。
「心配するな。 僕が一緒に真相を探る」
エリーザもうなずき、
「私も手伝うわ。 ただこれはここだけの話にしておきましょう。 本当に事件なのだとしたら目立つのは危険だから」
三人は手を取り合い、この新たな謎を解明するために協力し合うことを誓った。
その後彼らはエリーザに連れられて、学園の近くにある事件解決のカギとなる秘密の場所へと向かうことになる。
〇
エリーザの案内のもと、ファティームとアルトは学園の地下に眠る、古代の祭壇へと足を運んだ。
この祭壇は、かつて異世界との扉を開くための鍵とされていたらしい。
とはいえその話は都市伝説のようなもので、その祭壇を使えば使用する魔法の効力を何倍にも高めることが出来るという話だ。
しかし祭壇の存在は眉唾と言われており、話は聞いたことがあったがまさか実在するなんてとファティームは普通はひどく驚いた。
同時に疑問も浮かんでくる。
「エリーザはどうしてこんな場所を知っているの?」
「私は伝説や噂を聞くと納得まで探してしまう性格なの。 ここを見つけるのは骨が折れたわ……」
エリーザはそう言って息を吐くと、儀式用の杖を取り出した。
「この祭壇の力で、失われた生徒たちの行方を探る魔法を試みようと思っているの」
アルトは警戒しながらもエリーザを見守った。
「何か問題があれば、すぐに僕たちに知らせてくれ」
エリーザは杖を祭壇に向けて振り、呪文を唱える。
一瞬、祭壇全体が青く輝き――
――その後、黒い霧が立ち上る。
霧の中から、失われた生徒たちの姿や声が聞こえてきた。
「どこ…ここは?」
「誰か、助けて!」
「なぜ、私たちを…」
ファティームはその声を聞き、胸の痛みを抑えることができなかった。
自分が物語を改変したせいで、彼らはこんな運命を迎えてしまったのかもしれないのだから。
ファティームの様子が可笑しいことに気づいたアルトは彼女を励ました。
「大丈夫だ。 私たちで彼らを助けよう」
エリーザは霧が晴れると、祭壇の前に現れた黒い結晶を指し示した。
「これが彼らの魂を封じ込めた結晶よ。 私たちがこれを破壊することで、彼らは解放されるはず」
しかし結晶の近くに近づくと、突如として強力な力が三人を吹き飛ばした。
その時、影から一人の男が現れる。
彼はゲームの最終ボス、暗黒魔王ザルタンだった。
「これ以上、進むことは許さない」
三人は、ザルタンとの運命の戦いを迎えることとなった。
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