23 / 116
突然スタートさせられた異世界生活
構造の問題に決まってる
しおりを挟む
「今日のところはここまでにしましょうか。お疲れでしょう?少し休んだらお昼にしましょう。」
ラヴァル先生はそう言って大量の荷物を軽々と抱えて部屋を出ていった。一人になって、ほぅと息をつく。ただ話を聞くだけでもかなり疲れた…。
それにしても人間、ほんと最低…。浄化関係ないのに皆殺しとか拐って奴隷とか全員まとめて地獄に落ちれば良いのに。ゴブリンとかオークって小説では女性の敵として出てきてたけど、ここの世界の人間の皆さんもそんなイメージあるの…?四宮 守さん、どーせなら人間全員滅ぼしてくれたら面倒が無かったのに…。ギルミアさんの言いたいことも本当の意味で理解できた気がした。それはそれ、これはこれだけど。
それでも。
平穏なんかより私をこんな目に合わせた奴を、私と同じかそれ以上に酷い目に合わせたい。
復讐した後ならあの牢獄に戻されようが相討ちになろうがどうなったって構わない。
見ず知らずの人の為の平和より自らの為の報復を願って何が悪い?
そんな事を考えているといつの間にか寝てたみたいで、カーミラさんがお昼ごはんが出来たと起こしに来てくれた。繭ごと運ばれる。大分このスタイルに慣れてきた。
「何か考え事かしら?あまり考えすぎちゃだめよぉ?あ、ラヴァルの授業はどうだったぁ?もの凄ぉくウキウキしてスキップしてたからぁ、張り切りすぎて長くなったでしょぉ?」
いいえ、と首を横に振る。とても有意義だった。
テラスに着き、いつものメンバーでテーブルを囲む。ずっと病人食のように果物ばかり食べていたのでそろそろ別の物が食べたい。甘い果物ばかりで、しょっぱいものが食べたい。色と味のギャップにも疲れてきた。
皆さん、ステーキ肉をブロックのようなサイズで召し上がっている。野性味がすごい。
「お母さんのお粥、食べたいなぁ…」
思わず日本語で呟いた。
突然、目の前に卵粥が土鍋で出てきた。
「…うわ~ぉ。シルキー様最高だわ…」
もう何でもありなのか。そうなのか。土鍋に気づいたカーミラさんが木製の器によそってくれた。めっちゃいい塩加減で美味しい。風邪を引いた時にお母さんがよく作ってくれる味と同じ…。
何故か私に皆の視線が集まっている。何?
(?????)
「これも食べてぇ!!こっちもよぉ!」「こちらも食べると精がつきますよ」
(?????)
何事!?ブロック肉は無理そうですけど、私…。
『ララ、ご飯食べる、うれし。』
ツニートの言葉でやっと皆に心配かけていたのか、と理解した。土鍋のお粥は1/3も減ってないけれど本当に美味しかった。残りをどうしようかと思ったら、ツニートが人差し指一本で全てを掬っていった。味見的な感じ?
『ん。おいし。』
シ◯バニ◯ファミリーの小さなお鍋に指を突っ込むみたいな気分にさせられた。
昼食を食べ終わって各自解散するが、私はツニートとアノーリオンさんと昼寝組だ。昼寝の定位置に移動する。
まったりゆっくり過ごしていると、ふとラヴァルさんが言っていた魔族各々にその種族だけが使う言葉があると聞いた事を思い出す。
(ツニートの巨人の言葉はどんなの?)
「Brrrrrrrr、PrrrrrrBrrrrrrrr」
……ヘリコプターの音かな…?巨人語…。
困ってアノーリオンさんの方を見ると、にかっと笑って
「キィーーイーー。キィキィーーーー。」
……猿山…?……猿が鳴いてる?ドラゴン語……。見た目とのギャップが凄い。
……うん、無理だね。何となく分かってたんだけど、もしかして、って期待した私が悪かった。
『巨人の言葉』
ツニートもアノーリオンさんも笑っている。色々察したのね…。
「ドラゴン族の言葉は、人間にはちと音が高すぎて聞き取れないのじゃ。」
聞き取れないとかそういう問題ですら無かったけど、そういうことにしておこう。うん。
二人とも一頻り笑った後で教えてくれた。
「種族の言語はその種族同士でしか使わん。耳も喉も種族によって構造が全く異なるでな!ヘカトンケイル族はその言語の他に百本ある腕でハンドサインもするのじゃ。別の種族の言語を習得したり、魔族の言葉を統一することはそもそも難しいからあまり気落ちするでないわ。」
(……ほんと?)
ツニートは笑って頷く。
『おれ、蛇族、アラクネ族、何も、聞こえない。だから、平気。』
私の耳が悪い訳じゃないらしい。音域?超音波的なやつで会話ならそもそも無理だもの。ならきっと英語のリスニングテストが壊滅してたのも私のせいじゃなかったのね。異次元なのが悪かったんだー。なるほどー。
ラヴァル先生はそう言って大量の荷物を軽々と抱えて部屋を出ていった。一人になって、ほぅと息をつく。ただ話を聞くだけでもかなり疲れた…。
それにしても人間、ほんと最低…。浄化関係ないのに皆殺しとか拐って奴隷とか全員まとめて地獄に落ちれば良いのに。ゴブリンとかオークって小説では女性の敵として出てきてたけど、ここの世界の人間の皆さんもそんなイメージあるの…?四宮 守さん、どーせなら人間全員滅ぼしてくれたら面倒が無かったのに…。ギルミアさんの言いたいことも本当の意味で理解できた気がした。それはそれ、これはこれだけど。
それでも。
平穏なんかより私をこんな目に合わせた奴を、私と同じかそれ以上に酷い目に合わせたい。
復讐した後ならあの牢獄に戻されようが相討ちになろうがどうなったって構わない。
見ず知らずの人の為の平和より自らの為の報復を願って何が悪い?
そんな事を考えているといつの間にか寝てたみたいで、カーミラさんがお昼ごはんが出来たと起こしに来てくれた。繭ごと運ばれる。大分このスタイルに慣れてきた。
「何か考え事かしら?あまり考えすぎちゃだめよぉ?あ、ラヴァルの授業はどうだったぁ?もの凄ぉくウキウキしてスキップしてたからぁ、張り切りすぎて長くなったでしょぉ?」
いいえ、と首を横に振る。とても有意義だった。
テラスに着き、いつものメンバーでテーブルを囲む。ずっと病人食のように果物ばかり食べていたのでそろそろ別の物が食べたい。甘い果物ばかりで、しょっぱいものが食べたい。色と味のギャップにも疲れてきた。
皆さん、ステーキ肉をブロックのようなサイズで召し上がっている。野性味がすごい。
「お母さんのお粥、食べたいなぁ…」
思わず日本語で呟いた。
突然、目の前に卵粥が土鍋で出てきた。
「…うわ~ぉ。シルキー様最高だわ…」
もう何でもありなのか。そうなのか。土鍋に気づいたカーミラさんが木製の器によそってくれた。めっちゃいい塩加減で美味しい。風邪を引いた時にお母さんがよく作ってくれる味と同じ…。
何故か私に皆の視線が集まっている。何?
(?????)
「これも食べてぇ!!こっちもよぉ!」「こちらも食べると精がつきますよ」
(?????)
何事!?ブロック肉は無理そうですけど、私…。
『ララ、ご飯食べる、うれし。』
ツニートの言葉でやっと皆に心配かけていたのか、と理解した。土鍋のお粥は1/3も減ってないけれど本当に美味しかった。残りをどうしようかと思ったら、ツニートが人差し指一本で全てを掬っていった。味見的な感じ?
『ん。おいし。』
シ◯バニ◯ファミリーの小さなお鍋に指を突っ込むみたいな気分にさせられた。
昼食を食べ終わって各自解散するが、私はツニートとアノーリオンさんと昼寝組だ。昼寝の定位置に移動する。
まったりゆっくり過ごしていると、ふとラヴァルさんが言っていた魔族各々にその種族だけが使う言葉があると聞いた事を思い出す。
(ツニートの巨人の言葉はどんなの?)
「Brrrrrrrr、PrrrrrrBrrrrrrrr」
……ヘリコプターの音かな…?巨人語…。
困ってアノーリオンさんの方を見ると、にかっと笑って
「キィーーイーー。キィキィーーーー。」
……猿山…?……猿が鳴いてる?ドラゴン語……。見た目とのギャップが凄い。
……うん、無理だね。何となく分かってたんだけど、もしかして、って期待した私が悪かった。
『巨人の言葉』
ツニートもアノーリオンさんも笑っている。色々察したのね…。
「ドラゴン族の言葉は、人間にはちと音が高すぎて聞き取れないのじゃ。」
聞き取れないとかそういう問題ですら無かったけど、そういうことにしておこう。うん。
二人とも一頻り笑った後で教えてくれた。
「種族の言語はその種族同士でしか使わん。耳も喉も種族によって構造が全く異なるでな!ヘカトンケイル族はその言語の他に百本ある腕でハンドサインもするのじゃ。別の種族の言語を習得したり、魔族の言葉を統一することはそもそも難しいからあまり気落ちするでないわ。」
(……ほんと?)
ツニートは笑って頷く。
『おれ、蛇族、アラクネ族、何も、聞こえない。だから、平気。』
私の耳が悪い訳じゃないらしい。音域?超音波的なやつで会話ならそもそも無理だもの。ならきっと英語のリスニングテストが壊滅してたのも私のせいじゃなかったのね。異次元なのが悪かったんだー。なるほどー。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる