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突然スタートさせられた異世界生活
それでもちょっとくらいは何かこう…
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彼女に取引を持ちかけられた事はラヴァルさんには伝えてないから、どうにか利用できるよね?それにラヴァルさんは梓と念話で会話も出来るけれど、私と彼女との会話は日本語だ。念話を使うかどうかはその時にならないと分からないけど念話を使わず私の通訳が必要だとしたら。通訳の微妙なニュアンスなんて気付かないよね?一か八かだけど、もしかしたらもしかするかもしれない。
後は黒幕を釣り上げて、召喚についての情報を集めるだけだ。異世界からの召喚の情報は国家機密だろうしそう簡単には漏らさないだろうが。
家に帰れたらそれでよし。
でももしそうじゃなかったら。
二度と召喚出来ないようにもしておかないと。この世界の事なんだからこの世界の人達でどうにかすべきだ。
一人で今後の作戦を練っていると、時間は飛ぶように過ぎていき、昼食の時間になったらしい。皆、食事をするべく退室していく中、皇太子が私を昼食に誘ってきた。
「魔族の聖女様。私と昼食を一緒に如何ですか?聖女様のカナリアのような美しいお声を先ほど拝聴してから、貴方様のお声が耳から離れないのです。どうかもう一度、そのお声を私にお聞かせ願えませんか。私と二人がお嫌ならラヴァル殿も一緒にどうです?」
そう言ってこちらに手を差し出し懇願するような様子は、見目の良さと相まって断れる人は少ないのではないだろうか。断られる事を想定していないかのような皇太子の態度は、微妙に苛々する。
ラヴァルさんにどうするか目で訊ねると、頷いたのでその話に乗ることにした。
「さぁ、参りましょう。」
とラヴァルさんが声をかけ、皇太子が先頭した。
「今の時期はスカビオサが見事でして、是非見て頂きたいのでテラスは如何かですか?聖女様の美しさに花も嫉妬する事でしょう。」
テラスに向かう間中ずっと皇太子が何かを話していた。私はそれよりもこの皇太子からどうやったら召喚の話を引き出せるのか、と策を練り続けていた。自然と会話しながら欲しい情報を引き出す話術もないし、経験もない。スマホで検索したいがスマホは電波がないからそもそも使えない。あぁ、あの文明が恋しい…。
テラスに着いて食事が運ばれてくる。
「あぁ!そういえば聖女様同士会われて如何かでしたか?同郷ですし、さぞ話も弾んだことでしょう?」
私は返答せずラヴァルさんが返答した。
「そのようです。名残惜しかったようでまた会われる約束をされたとか。私は護衛としても務められますから、次回会われる際は私も護衛に加わりましょう。」
「無聊を慰められたようで良かったです。ちなみにどのような話をされたのですか?聞くところによると聖女様方の世界には空飛ぶ鉄の鳥がいるとか。詳しくお聞かせ願えませんか?」
ここまで来ると、意地でも無口キャラを貫き通してみたくなるな。この皇太子、どーも下心が見え見えすぎて胡散臭いんだよ。 それに魔法がある世界で科学が進歩なんてするはずないじゃん。それ知ってどうするの?って感じよね。
「この世界には過ぎた物」
原理分かんないし無理。もし仮に原理を説明されたとしても理解出来る気もしない。更にこの世界にある材料で再現?もっと無理。というか私の世界にあった物を作り出してこの世界を豊かに発展させる、とか冗談じゃない。むしろさっさと滅んでくれていたらと思う。
「せめてどのような物なのかだけでもお話願えませんか。私には全く想像もつきません。鉄の鳥とは鉄で作られた鳥なのですか?どうやって操るのですか?」
「私も気になります。鉄の鳥は何をするための物なのですか?」
あれ。ラヴァルさん。私の味方じゃなかったの…?あ、これはあれだ。好奇心に負けた顔だな。
私は首を横に振って、出された紅茶に似た何かを飲んだ。これで上手い具合に勘違いしてくれないかな?だって無理でしょ。説明する人も分かってないんだから。
「……もしかして戦争に使われたから言いたくない、というのが言えない理由ではございませんか?ご安心下さい、聖女様。ここだけの話に留めるとお約束しましょう。ただ、私は他の世界の話を聞けるだけで満足なのです。どうか私にお聞かせ願えませんか。」
飛行機って戦争に使われた?戦闘機とは違うよね?でも分かんない。それにしつこい。
「二回は言わない」
ここで皇太子の仮面が歪んだ。ように見えた。
もう少しつついてみようか。釣れるはずだ。
後は黒幕を釣り上げて、召喚についての情報を集めるだけだ。異世界からの召喚の情報は国家機密だろうしそう簡単には漏らさないだろうが。
家に帰れたらそれでよし。
でももしそうじゃなかったら。
二度と召喚出来ないようにもしておかないと。この世界の事なんだからこの世界の人達でどうにかすべきだ。
一人で今後の作戦を練っていると、時間は飛ぶように過ぎていき、昼食の時間になったらしい。皆、食事をするべく退室していく中、皇太子が私を昼食に誘ってきた。
「魔族の聖女様。私と昼食を一緒に如何ですか?聖女様のカナリアのような美しいお声を先ほど拝聴してから、貴方様のお声が耳から離れないのです。どうかもう一度、そのお声を私にお聞かせ願えませんか。私と二人がお嫌ならラヴァル殿も一緒にどうです?」
そう言ってこちらに手を差し出し懇願するような様子は、見目の良さと相まって断れる人は少ないのではないだろうか。断られる事を想定していないかのような皇太子の態度は、微妙に苛々する。
ラヴァルさんにどうするか目で訊ねると、頷いたのでその話に乗ることにした。
「さぁ、参りましょう。」
とラヴァルさんが声をかけ、皇太子が先頭した。
「今の時期はスカビオサが見事でして、是非見て頂きたいのでテラスは如何かですか?聖女様の美しさに花も嫉妬する事でしょう。」
テラスに向かう間中ずっと皇太子が何かを話していた。私はそれよりもこの皇太子からどうやったら召喚の話を引き出せるのか、と策を練り続けていた。自然と会話しながら欲しい情報を引き出す話術もないし、経験もない。スマホで検索したいがスマホは電波がないからそもそも使えない。あぁ、あの文明が恋しい…。
テラスに着いて食事が運ばれてくる。
「あぁ!そういえば聖女様同士会われて如何かでしたか?同郷ですし、さぞ話も弾んだことでしょう?」
私は返答せずラヴァルさんが返答した。
「そのようです。名残惜しかったようでまた会われる約束をされたとか。私は護衛としても務められますから、次回会われる際は私も護衛に加わりましょう。」
「無聊を慰められたようで良かったです。ちなみにどのような話をされたのですか?聞くところによると聖女様方の世界には空飛ぶ鉄の鳥がいるとか。詳しくお聞かせ願えませんか?」
ここまで来ると、意地でも無口キャラを貫き通してみたくなるな。この皇太子、どーも下心が見え見えすぎて胡散臭いんだよ。 それに魔法がある世界で科学が進歩なんてするはずないじゃん。それ知ってどうするの?って感じよね。
「この世界には過ぎた物」
原理分かんないし無理。もし仮に原理を説明されたとしても理解出来る気もしない。更にこの世界にある材料で再現?もっと無理。というか私の世界にあった物を作り出してこの世界を豊かに発展させる、とか冗談じゃない。むしろさっさと滅んでくれていたらと思う。
「せめてどのような物なのかだけでもお話願えませんか。私には全く想像もつきません。鉄の鳥とは鉄で作られた鳥なのですか?どうやって操るのですか?」
「私も気になります。鉄の鳥は何をするための物なのですか?」
あれ。ラヴァルさん。私の味方じゃなかったの…?あ、これはあれだ。好奇心に負けた顔だな。
私は首を横に振って、出された紅茶に似た何かを飲んだ。これで上手い具合に勘違いしてくれないかな?だって無理でしょ。説明する人も分かってないんだから。
「……もしかして戦争に使われたから言いたくない、というのが言えない理由ではございませんか?ご安心下さい、聖女様。ここだけの話に留めるとお約束しましょう。ただ、私は他の世界の話を聞けるだけで満足なのです。どうか私にお聞かせ願えませんか。」
飛行機って戦争に使われた?戦闘機とは違うよね?でも分かんない。それにしつこい。
「二回は言わない」
ここで皇太子の仮面が歪んだ。ように見えた。
もう少しつついてみようか。釣れるはずだ。
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