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第一部 第一章 異世界転移の篇

27-2 アイとの2回戦、3回戦 ♡

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「…大丈夫?」

 いつの間にかアカリとアユミ、そしてナオが絨毯じゅうたんの上に座って2人を心配そうに見下ろしていた。

アカリ「…アイ、大丈夫?…」
アイ「……うん……まあね……」
ナオ「…タクミも本当にお疲れさま…」
アユミ「…アイ、大丈夫?…まだ起きれない?…」
アイ「……もうちょっと…休ませて…」

 ナオとアユミはアイの言葉を聞いて、タクミの方へタオルとティッシュを持っていく。

アユミ「タクミ君…またうつ伏せになって…『ヒール』、するから……」
タクミ「ゴメン、何度も何度も…」
ナオ「なに言ってんの…今日ずっと頑張がんばってたんだから、当然じゃん…」

 3人が話しているうちに、アイが身体を起こそうとする。

アカリ「…アイ…まだ無理しなくてもいいよ……」
アイ「……アカリ……」

 起き上がったアイはそれだけ言うと、アカリに抱きついて泣き始めた。

 ナオとアユミはアイが急に泣き出したので、驚いて顔を見合わせる。
 アカリはアイがなぜ泣いているのか分かっているのだろう、黙ってアイを抱きしめてアイの頭を撫でる。

アカリ「……いいよ……何も言わなくて……」

 ナオが心配して口を開こうとするのを見て、アカリが言う。

アカリ「…今は何も聞かないでくれる……ゴメンね……」

 ナオもアユミもアカリの意図を察してうなずき、黙ってタクミの身体をく。

「2人とも、大丈夫だった?」

 そこに何も知らないソラとルカ、ツグミとモアがやって来た。
 見るとアイがアカリに抱きついて泣いていて、後から来た4人はびっくりする。

ソラ「タクミ!いったい何したの⁈アイ、泣いちゃってるじゃん!」
タクミ「…えっ?…いや~、別にみんなとおんなじだったんだけど……」
ソラ「じゃあ何でアイが……」

 ソラがタクミに食ってかかろうとするのをアカリが止めた。

アカリ「ソラ、ありがとう…でも、タクミのせいじゃないから…」
アイ「…ソラもみんなも…びっくりさせてゴメンね…
 タクミのせいとか…そんなんじゃないから……大丈夫…」
ソラ「……そう……タクミ、ゴメン…怒鳴ったりして……」
アイ「…ううん、私のせいだから…ゴメンね、タクミもみんなも…」

 アイがタクミにもあやまっているのを見て、ルカとツグミは驚く。

ルカ「アイちゃん…上手くいったの?……大変だった?……」
アイ「大丈夫…上手くできたし……タクミも…やさしくしてくれたし……」
アカリ「…アイ……とりあえず身体を拭こう…冷えちゃうよ……」

 アカリがアイにタオルを渡しながら、自分はアイの泣き顔を拭いてやる。
 ソラとルカがそばに来て、アイの身体を拭き始めた。

アイ「……みんな…ゴメンね…」
ルカ「……そんな……」
ソラ「そうそう、お互いにしてることだよ……」
アユミ「…ねぇ、タオルとティッシュで拭いたら川で身体を拭いた方がいいよ……」

ナオ「…タオル、濡らしといて持ってくればよかった…」
ソラ「そう?じゃあ、ちょっと行ってタオル絞ってくるけど…」
アユミ「お願いしていい?」
ソラ「もちだよ…」

 ソラが立ち上がるとナオも同時に立ち上がる。

ナオ「私も行って手伝ってくるよ。そうすればすぐできるし…」
アユミ「じゃあ、とりあえずアイとタクミ君の分だけ…お願いね…」
ソラ「了解しました(笑)。」

 ソラとナオが外でタオルを濡らして戻ってきて、それで2人の身体を隅々まで拭く。
 身体をきれいにしてもらったタクミは、絨毯の上に大の字に寝転ねころんだ。

タクミ「あ~、疲れた……」
ナオ「あれ?気持ちよかったんじゃないの?」
タクミ「それはそうだけど……」
ソラ「これじゃもう一回はムリそうだね……」

 ソラは疲れてぐったりするタクミを見て、いかにも残念そうな顔をする。

アカリ「あんた、またするつもりだったの?……」
ソラ「まあ、可能ならね(笑)…」
タクミ「…さすがにムリだよ~……」
ソラ「う~ん、残念(笑)…」
モア「え~、ムリじゃないよ…タクミは寝てたらいいよ…上になって自分で動くから…」

 モアが大きな声を出したので全員が彼女の顔を見ると、モアは不満そうに口をとがらせていた。

タクミ「……マジか……」
アユミ「モア、タクミ君がもうダメって言ってるから…」
モア「え~、私にはウソついたからもう一回って思ってたのに…」
ソラ「えっ、ウソってなに?」
モア「みんなとは2回しかしてないって言ったの…」
ルカ「じゃあ、モアちゃんは2回しかしてないの?」
モア「ううん…私は3回してるの知ってたから、ちゃんと3回したけど…」
アカリ「まあ、ウソはダメだね…」

 モアの話を聞きながら、ソラは腕を組んでうんうんとうなずく。

ソラ「ということで、バツとしてタクミはモアとソラともう一回すること…」
タクミ「えっ、マジで⁈」
アイ「はぁ~、なんであんたが入ってんの?ちゃっかりすぎない…」
ソラ「バレたか(笑)…」
全員「(笑)」

 ソラのたくらみがバレて、全員が爆笑した。
 みんなが笑っている中、ツグミがどこからか毛布を持ってきてタクミの上にかける。

タクミ「…これって……」
ツグミ「…タクミ君として……私とナオと…毛布、出せるようになったから…」
ナオ「そうそう。向こうでももう床にじかに寝転ぶ必要ないから。」
タクミ「ありがとう…」
アイ「私も毛布、もらえるかな……ちょっと疲れちゃった…」
ツグミ「もちろんだよ…」

アカリ「アイも少し横になる?」
アイ「…いいかな…」
ルカ「ゆっくり休んだらいいよ…」
アカリ「タクミもしばらくここで寝てな…ある程度したら起こしにくるから…」
タクミ「…お願いします…」

アカリ「ただ、モアが火をつけられるようになったから、休んだらき火のこと、お願いね……」
タクミ「…わかった…」
ナオ「じゃあ、お疲れさま。ゆっくり寝たらいいよ…」
ツグミ「おやすみなさい。毛布、まだるならここにも置いとくから…」

 絨毯の上のタクミは毛布をかぶって、もう寝息を立てている。女の子たちはタクミをそのままにして小屋の向こう側に移っていった。







*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
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 2025年11月28日
 文字数がかなり多いエピソードが増えてきましたので、エピソードを分割して読みやすくしていきます。
 現状では文字数で機械的に分割を行っていますので、単純にページが増えているという感じでお読み下さい。
 こちらもマイペースで進行いたしますので、ご容赦ください。
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