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第一部 第一章 異世界転移の篇
18 初めての食事
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みんなが机で仕切ったスペースから部屋の中央へぞろぞろとやって来ると、反対側の一番奥でアイが横になって規則正しい寝息を立てていた。
アカリとアユミ、ナオの3人はちょっとバツが悪い気がして、顔を見合わせる。アカリができるだけ自然を装ってアイのそばへと行き、彼女の肩を揺さぶる。
アカリ「……アイ……アイ……」
アイ「……あっ、アカリ……」
アカリ「……ゴメン…寝ちゃってた?……」
アイ「…ううん…大丈夫…」
アカリ「…アユミとルカが…食べ物と飲み物が出せるって…食事にしよう…」
アイ「……うん、ありがとう……」
アイは起き上がって床に座ると、両腕を突き上げるようにして大きな伸びをする。ソラはわざと大きな声を出した。
ソラ「さあ、ご飯だ、ご飯!」
アイも入れて、みんなで部屋の真ん中に丸くなって座る。
タクミ「……いったいどうなんの?……」
アユミ「じゃあ、まず食べ物からね…」
アユミが自分の前に両腕を突き出すと、バンとそこに大きな笊に乗った山盛りのパンが現れた。パンは丸く、表面がフランスパンのように硬くなっている。
普通のあんパンぐらいの大きさだが厚みがかなりある。アユミの様子を見て、ルカも同じようにパンの山を出す。
アイ「…これ…すごいね…」
モア「いっぱいあるー!…」
ソラが無造作に一個、手に取る。
ソラ「…これ、温かい!…焼きたて?…」
他のみんなも慌てて手に取ってみる。
アカリ「…ホントだ…温かい…」
ソラ「チートばっか(笑)…」
アイ「何か、入ってるのかな?…」
アイが割ってみると、フワフワと湯気が上がるが何も入ってはいない。
アユミ「…美味しそうだよ…」
ナオ「…よかった…」
モア「いただきまぁ~す…」
モアが齧りつきそうになるのを、ルカが慌てて止めた。
ルカ「いや…みんなでいっしょに食べようよ…」
モア「え~?…じゃあ、みんないいでしょ?…」
アイ「落ち着きなよ、まだ飲み物、見てないし…」
モア「…う~ん…じゃ、飲み物…」
アユミ「…ハイハイ(笑)……」
アユミは笑いながら、また手を出す。と、今度は透明な液体が入った素焼きの大きな鉢が床に置かれていた。それぞれの顔が入りそうな大きさだ。
ソラ「…う~ん…これ、何だろう?…」
ナオが小指の先をちょっとだけ浸けて、嘗めてみる。
ナオ「…ただの…水だよ…」
アイ「…そう?…」
アイもナオと同じようにして嘗めてみる。他の子も不審そうに嘗めて調べる。
ルカ「…何も…味ない…」
アユミ「…ただの水だね…」
ソラ「…だね…」
ルカがもう一つ、水の入った鉢を出す間、アイとアカリは少し周りを見回す。
アカリ「…コップは…ないね…」
アカリの言葉にみんな困って鉢をジッと見た。
ルカ「…うん…」
アユミ「……うん…」
ソラ「…どうする?…」
アイ「…このまま?…」
ソラ「このまま飲むの?…」
びっくりするソラをナオがなだめる。
ナオ「仕方ないんじゃない…他にやりようないし…」
アユミ「…そうみたいね……」
ソラ「…でも、一人じゃ…難しくない?…かなりデカイよ、この器…」
ソラが話しながら鉢を触ってみると、水がなみなみと入ったそれは結構な重さがあるようだ。
ナオ「…隣同士で…助け合わないとだめだね…」
アイ「まっ、とにかくあるだけでありがたいんだから、鉢からそれぞれが直で飲むようにするしかないよ…助け合って飲もう…」
全員がアイの言葉に黙ってうなずいた。
アカリ「じゃ、今度こそ…食べようよ!…」
モア「じゃあ、いい?いい?…」
アイ「オーケー!…いただきます!」
全員「いただきまぁ~す‼」
全員が手にしたパンに齧りつく。
ソラ「硬そうだけど…そうでもない…」
アイ「このパン…美味しいよ…」
ルカ「うん…ものすごく美味しい!」
モア「美味しい!」
ソラ「…で、このパン…何ていうの?…」
ソラの素朴な疑問にツグミが小さな声で答える。
ツグミ「…これ……ブールっていうパン……」
アカリ「ツグミ、知ってるの?…」
意外な人から答えを聞いて、みんな顔を上げてツグミを見た。
ツグミ「…うん……私……パンとかお菓子が好きで……いろいろ調べたりもしたから……」
ナオ「よく美味しいパンのお店に、2人でいっしょに行ったよ……」
ソラ「…へぇー……」
ツグミ「……これって……基本的にフランスパンといっしょで……長いのは……バゲットって言って……丸いのは……ブールって……ボールって意味なの……」
アイ「ふ~ん…じゃあ、普通は何も入ってないんだ…」
ソラ「でもこれ、めちゃ美味しいよ…」
タクミ「…オレ、菓子パンとかおかずパンしか食べたことないかな…」
ルカ「しっかりした、パンの味だね…」
ツグミ「…うんうん……」
それぞれがひと通りパンを口にすると、今度は水を飲もうとする。
ソラ「…私…最初でいい?…」
アカリ「オーケー…じゃあ、私、こっちから支えるから…」
アユミ「…こっち、私が持ってる…」
ソラ「…デカすぎるって…ゆっくりね……」
左右をアカリとアユミが支える中、ソラがそろそろと鉢を傾ける。
ソラ「…………っん、何とか飲めた(笑)……」
アカリ「じゃあ、次、私…」
アイ「じゃ、私が持っとくね…」
ソラ「…ハイハイ、持ちますよ…」
ナオもツグミとモアに手伝ってもらい、鉢を口に運ぶ。
ナオ「…私も…って…モア!もっとゆっくりしなきゃ!…こぼれちゃうよ…」
モア「…キャハハハハ(笑)…」
あちこちで交代しながらみんな、水を飲んでいく。
ナオ「…大変で……飲んだ気がしない…」
ルカ「…コップ…いつか出てくるかな?…」
アユミ「…出てきてくれないと…」
アイ「…さすがにこれはないと困るよ……」
それでもそれぞれがパンを頬張り、鉢の水を回して飲み、最初の食事を終えた。
モア「…あ~、やっとちゃんと食べれたー…」
ルカ「どれくらい経ったのかな……」
ナオ「気づいた時はまだほとんど真っ暗だったから、かなり経ってる気がするけど、まだお正午にはなってないんじゃないかな……」
アユミ「…………」
アカリがアユミのそわそわするような様子に気がつく。
アカリ「…アユミ……どうしたの?…」
アユミ「…あのー………おトイレ……」
ツグミ「……あの、私も……」
ソラ「……実は……私も……」
アイ「えっ?…まずいよ、それ…」
アユミ「…ここじゃ…無理…よね…」
アカリ「ねぇ!もう一度、この戸、開けてみようよ!」
全員が立ち上がると、アイ、アカリ、ソラ、ルカ、そしてタクミがそれぞれに引き戸に手を掛け、思いっ切り引っ張った。
アイ「そーれっ‼もう一回!そーれっ‼そーれっ‼」
ソラ「オラ、オラ、オラ、オラー!」
アカリ「エイ、エーイ、エーイ!」
突然バキバキという音が響くと、引き戸がガサッ、ズサッーと大きな音を立てて開いた。外の光が一度に入ってきて、全員が手で顔を隠す。
アイ「…う~ん…」
ソラ「…う~、まぶしい……」
アユミ「…う~ん……でも、開いたよ……」
ナオ「……ありがとう……戸、やっと開いた!」
モア「開いた!開いた!やったー!」
ソラ「よーし、トイレだ!」
全員が外に飛び出すと、思い思いに木陰に行って用を足す。
アイ「……あー、誰か、紙ない?……」
アユミ「…私、あるよ…」
ナオ「…ここにたくさんあるよ…」
ルカ「…お願い……」
モア「…これ、拭いたらどうすんの?…」
ソラ「…ストレージに入れとくしかないよ…」
モア「…汚くない?…」
ナオ「…たぶん大丈夫じゃないかな…」
モア「(笑)……オーケー!」
引き戸のすぐ前は軽トラが3,4台止まってもまだ余裕があるくらいのスペースが、雑草にも覆われずに広がっていた。
その広場の奥はすぐ樹木が生い茂っている。広場を右手に行くと、みんなが出てきた場所の前に一応道らしきものが続いているが、そこは急に狭くなっていて人が一人通れるかどうか。
道はずっと草むらの奥へと続いている。
アカリ「…これって、どう見ても小屋だよね…」
自分たちがいた場所を眺めると、多少年期が入ったような、そんな小屋が建っている。中にいた感じよりも屋根がかなり高く感じられる。
アイ「…結構…おっきいね、ここ…」
アカリ「…光取りの窓もあったし、それで高いのかも…」
ツグミ「ねぇ!こっちに川があるよ!」
みんなが声の方を見て、そちらへ向かう。小屋を出て左手を20メートルほど行くと、急に森が途切れて川原になっている。もう川原にはツグミとモアが来ていた。
ゴロゴロと大きな石、小さな石、中くらいの石、様々な石が転がる、その川原の先に幅5メートルほどの清流が左手から右へとゆったりと流れていた。
川の反対側、小屋の方へと振り返るとそこからは山になっていて、小屋と川原に向かう間に、とても細い道が山の中の森へと続いている。
アユミ「…すごく水がきれい…」
モア「ねえ!魚がいっぱいいる!」
川の水はどこまでも澄んでいて、川原から対岸の辺りにいる魚の姿まではっきり見える。アカリが川に手を伸ばす。
アカリ「うわぁ、冷たーい…」
ルカ「ホント、すごく冷たい…」
何人かが上流の方を見上げるが、川原の先は地肌が見える崖になっていて、その向こうは山林が鬱蒼と続いている以外は何も見えなかった。
* ソラやアカリたちは気づいていませんが、タクミとSEXした女の子には力が強くなっている子もいます。
謎の本に書かれていたように、みんな少しずつ能力がついてきているみたいですね。
楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
*2025年9月27日
読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい。
アカリとアユミ、ナオの3人はちょっとバツが悪い気がして、顔を見合わせる。アカリができるだけ自然を装ってアイのそばへと行き、彼女の肩を揺さぶる。
アカリ「……アイ……アイ……」
アイ「……あっ、アカリ……」
アカリ「……ゴメン…寝ちゃってた?……」
アイ「…ううん…大丈夫…」
アカリ「…アユミとルカが…食べ物と飲み物が出せるって…食事にしよう…」
アイ「……うん、ありがとう……」
アイは起き上がって床に座ると、両腕を突き上げるようにして大きな伸びをする。ソラはわざと大きな声を出した。
ソラ「さあ、ご飯だ、ご飯!」
アイも入れて、みんなで部屋の真ん中に丸くなって座る。
タクミ「……いったいどうなんの?……」
アユミ「じゃあ、まず食べ物からね…」
アユミが自分の前に両腕を突き出すと、バンとそこに大きな笊に乗った山盛りのパンが現れた。パンは丸く、表面がフランスパンのように硬くなっている。
普通のあんパンぐらいの大きさだが厚みがかなりある。アユミの様子を見て、ルカも同じようにパンの山を出す。
アイ「…これ…すごいね…」
モア「いっぱいあるー!…」
ソラが無造作に一個、手に取る。
ソラ「…これ、温かい!…焼きたて?…」
他のみんなも慌てて手に取ってみる。
アカリ「…ホントだ…温かい…」
ソラ「チートばっか(笑)…」
アイ「何か、入ってるのかな?…」
アイが割ってみると、フワフワと湯気が上がるが何も入ってはいない。
アユミ「…美味しそうだよ…」
ナオ「…よかった…」
モア「いただきまぁ~す…」
モアが齧りつきそうになるのを、ルカが慌てて止めた。
ルカ「いや…みんなでいっしょに食べようよ…」
モア「え~?…じゃあ、みんないいでしょ?…」
アイ「落ち着きなよ、まだ飲み物、見てないし…」
モア「…う~ん…じゃ、飲み物…」
アユミ「…ハイハイ(笑)……」
アユミは笑いながら、また手を出す。と、今度は透明な液体が入った素焼きの大きな鉢が床に置かれていた。それぞれの顔が入りそうな大きさだ。
ソラ「…う~ん…これ、何だろう?…」
ナオが小指の先をちょっとだけ浸けて、嘗めてみる。
ナオ「…ただの…水だよ…」
アイ「…そう?…」
アイもナオと同じようにして嘗めてみる。他の子も不審そうに嘗めて調べる。
ルカ「…何も…味ない…」
アユミ「…ただの水だね…」
ソラ「…だね…」
ルカがもう一つ、水の入った鉢を出す間、アイとアカリは少し周りを見回す。
アカリ「…コップは…ないね…」
アカリの言葉にみんな困って鉢をジッと見た。
ルカ「…うん…」
アユミ「……うん…」
ソラ「…どうする?…」
アイ「…このまま?…」
ソラ「このまま飲むの?…」
びっくりするソラをナオがなだめる。
ナオ「仕方ないんじゃない…他にやりようないし…」
アユミ「…そうみたいね……」
ソラ「…でも、一人じゃ…難しくない?…かなりデカイよ、この器…」
ソラが話しながら鉢を触ってみると、水がなみなみと入ったそれは結構な重さがあるようだ。
ナオ「…隣同士で…助け合わないとだめだね…」
アイ「まっ、とにかくあるだけでありがたいんだから、鉢からそれぞれが直で飲むようにするしかないよ…助け合って飲もう…」
全員がアイの言葉に黙ってうなずいた。
アカリ「じゃ、今度こそ…食べようよ!…」
モア「じゃあ、いい?いい?…」
アイ「オーケー!…いただきます!」
全員「いただきまぁ~す‼」
全員が手にしたパンに齧りつく。
ソラ「硬そうだけど…そうでもない…」
アイ「このパン…美味しいよ…」
ルカ「うん…ものすごく美味しい!」
モア「美味しい!」
ソラ「…で、このパン…何ていうの?…」
ソラの素朴な疑問にツグミが小さな声で答える。
ツグミ「…これ……ブールっていうパン……」
アカリ「ツグミ、知ってるの?…」
意外な人から答えを聞いて、みんな顔を上げてツグミを見た。
ツグミ「…うん……私……パンとかお菓子が好きで……いろいろ調べたりもしたから……」
ナオ「よく美味しいパンのお店に、2人でいっしょに行ったよ……」
ソラ「…へぇー……」
ツグミ「……これって……基本的にフランスパンといっしょで……長いのは……バゲットって言って……丸いのは……ブールって……ボールって意味なの……」
アイ「ふ~ん…じゃあ、普通は何も入ってないんだ…」
ソラ「でもこれ、めちゃ美味しいよ…」
タクミ「…オレ、菓子パンとかおかずパンしか食べたことないかな…」
ルカ「しっかりした、パンの味だね…」
ツグミ「…うんうん……」
それぞれがひと通りパンを口にすると、今度は水を飲もうとする。
ソラ「…私…最初でいい?…」
アカリ「オーケー…じゃあ、私、こっちから支えるから…」
アユミ「…こっち、私が持ってる…」
ソラ「…デカすぎるって…ゆっくりね……」
左右をアカリとアユミが支える中、ソラがそろそろと鉢を傾ける。
ソラ「…………っん、何とか飲めた(笑)……」
アカリ「じゃあ、次、私…」
アイ「じゃ、私が持っとくね…」
ソラ「…ハイハイ、持ちますよ…」
ナオもツグミとモアに手伝ってもらい、鉢を口に運ぶ。
ナオ「…私も…って…モア!もっとゆっくりしなきゃ!…こぼれちゃうよ…」
モア「…キャハハハハ(笑)…」
あちこちで交代しながらみんな、水を飲んでいく。
ナオ「…大変で……飲んだ気がしない…」
ルカ「…コップ…いつか出てくるかな?…」
アユミ「…出てきてくれないと…」
アイ「…さすがにこれはないと困るよ……」
それでもそれぞれがパンを頬張り、鉢の水を回して飲み、最初の食事を終えた。
モア「…あ~、やっとちゃんと食べれたー…」
ルカ「どれくらい経ったのかな……」
ナオ「気づいた時はまだほとんど真っ暗だったから、かなり経ってる気がするけど、まだお正午にはなってないんじゃないかな……」
アユミ「…………」
アカリがアユミのそわそわするような様子に気がつく。
アカリ「…アユミ……どうしたの?…」
アユミ「…あのー………おトイレ……」
ツグミ「……あの、私も……」
ソラ「……実は……私も……」
アイ「えっ?…まずいよ、それ…」
アユミ「…ここじゃ…無理…よね…」
アカリ「ねぇ!もう一度、この戸、開けてみようよ!」
全員が立ち上がると、アイ、アカリ、ソラ、ルカ、そしてタクミがそれぞれに引き戸に手を掛け、思いっ切り引っ張った。
アイ「そーれっ‼もう一回!そーれっ‼そーれっ‼」
ソラ「オラ、オラ、オラ、オラー!」
アカリ「エイ、エーイ、エーイ!」
突然バキバキという音が響くと、引き戸がガサッ、ズサッーと大きな音を立てて開いた。外の光が一度に入ってきて、全員が手で顔を隠す。
アイ「…う~ん…」
ソラ「…う~、まぶしい……」
アユミ「…う~ん……でも、開いたよ……」
ナオ「……ありがとう……戸、やっと開いた!」
モア「開いた!開いた!やったー!」
ソラ「よーし、トイレだ!」
全員が外に飛び出すと、思い思いに木陰に行って用を足す。
アイ「……あー、誰か、紙ない?……」
アユミ「…私、あるよ…」
ナオ「…ここにたくさんあるよ…」
ルカ「…お願い……」
モア「…これ、拭いたらどうすんの?…」
ソラ「…ストレージに入れとくしかないよ…」
モア「…汚くない?…」
ナオ「…たぶん大丈夫じゃないかな…」
モア「(笑)……オーケー!」
引き戸のすぐ前は軽トラが3,4台止まってもまだ余裕があるくらいのスペースが、雑草にも覆われずに広がっていた。
その広場の奥はすぐ樹木が生い茂っている。広場を右手に行くと、みんなが出てきた場所の前に一応道らしきものが続いているが、そこは急に狭くなっていて人が一人通れるかどうか。
道はずっと草むらの奥へと続いている。
アカリ「…これって、どう見ても小屋だよね…」
自分たちがいた場所を眺めると、多少年期が入ったような、そんな小屋が建っている。中にいた感じよりも屋根がかなり高く感じられる。
アイ「…結構…おっきいね、ここ…」
アカリ「…光取りの窓もあったし、それで高いのかも…」
ツグミ「ねぇ!こっちに川があるよ!」
みんなが声の方を見て、そちらへ向かう。小屋を出て左手を20メートルほど行くと、急に森が途切れて川原になっている。もう川原にはツグミとモアが来ていた。
ゴロゴロと大きな石、小さな石、中くらいの石、様々な石が転がる、その川原の先に幅5メートルほどの清流が左手から右へとゆったりと流れていた。
川の反対側、小屋の方へと振り返るとそこからは山になっていて、小屋と川原に向かう間に、とても細い道が山の中の森へと続いている。
アユミ「…すごく水がきれい…」
モア「ねえ!魚がいっぱいいる!」
川の水はどこまでも澄んでいて、川原から対岸の辺りにいる魚の姿まではっきり見える。アカリが川に手を伸ばす。
アカリ「うわぁ、冷たーい…」
ルカ「ホント、すごく冷たい…」
何人かが上流の方を見上げるが、川原の先は地肌が見える崖になっていて、その向こうは山林が鬱蒼と続いている以外は何も見えなかった。
* ソラやアカリたちは気づいていませんが、タクミとSEXした女の子には力が強くなっている子もいます。
謎の本に書かれていたように、みんな少しずつ能力がついてきているみたいですね。
楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
*2025年9月27日
読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい。
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