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第二章 冒険出発の篇
36-1 オオカミとの遭遇
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小屋を出発して三日目。
女の子はタオルを頭に巻くのをやめて、それぞれに自分の髪型を整えるようになった。
ショートのアイやアユミ、ソラはそのままで、ミディアムのナオやルカやツグミ、ロングのアカリやモアはゴムや髪留めでお互いに髪がバラバラにならないようにセットする。
モアは以前のようなポニーテールだが、アカリはアイに長い髪をまとめてお団子にしてもらった。
みんなはこの先どこへ向かうのかを相談の上、とにかく人家を探しながら川沿いに進むことにする。
草原では藪の中や森の中と違って辺りを見渡すことができるので、みんなこれまでより足取りが軽い。
最初のうちこそ辺りを気にしていたが、虫や鳥が飛び出してきたりヘビを踏んづけたりするぐらいで特に危険な獣も現れない。
みんなは次第にしりとりをしたり歌を歌ったりしながら歩くようになり、その日はそのまま昼も過ぎ、早めにテントを張ることにした。
昨日、一昨日は疲れて夕食も簡単に済ましたが、今日はタクミが大きな焚き火を組む。
飲み物も温め、アユミとルカが久しぶりにハムを焼き、ナオがパンと野菜を出した。
ソラ「肉が焼ける匂いは、やっぱ違うね~…」
アカリ「今日はお腹が鳴りそう…」
すると誰かのお腹が「グゥー」と鳴る。
アカリ「えっ?私じゃないよ…」
アイ「ゴメン…私(笑)…」
全員「(笑)」
あまりのタイミングの良さに全員が笑った。
みんなが焚き火を囲んで座ると、アユミは焼けたハムをどんどんお皿に乗せていく。
アユミ「ハイ、ハムをどんどん回していってね…」
ナオ「野菜もあるし、飲み物も温かいよ…」
ルカ「パンもあるし…」
ツグミ「コーヒーと牛乳とお砂糖を下さい…」
ソラ「次、私ね…」
モア「私も!」
アカリ「ハム、ない人は?」
タクミ「あっ、オレ、ちょうだい…」
アイ「はい、どうぞ…」
モアはまた誰よりも早くサンドウィッチを作ると、いただきますも言わずそれにかぶりついた。
モア「あ~、美味しいー…」
アカリ「またこの子は先に食べてるー…」
ナオ「いいよ…みんな、どんどん食べてね…」
ソラ「じゃあ、お先に…いただきま~す。」
ナオに言われてみんな次々にサンドウィッチを口に運ぶ。
アイ「トマト、こっちにちょうだい…」
ルカ「これ、どうぞ…」
ツグミ「いただきます…」
タクミ「いただきま~す…」
ソラ「美味しいー、感動ぉ~…」
アイ「大げさー(笑)…」
久々の肉と温かい飲み物に誰もがホッとした。
ソラ「ハムと野菜があるだけで生き返った気がするよ…」
アカリ「昨日、一昨日は食欲も出なかったからね…」
ナオ「でも、なかなか人家や村みたいなのに着かないね…」
アイ「どんだけ離れてるんだろう…」
ツグミ「まだ『地図』にも何も見えてこないよ…」
タクミ「ずっと川と草原なんだけど…」
ルカ「私たち、すごいところに居たんだね…」
アユミ「確かに…」
夕食を終えると、飲み物を飲みながら明日からのことを話し合う。
アイ「とにかく、このまま川沿いを進んで何とか人家を見つけよう…」
ナオ「誰かに会わないとここがどんな世界かも何も分からないからね…」
モア「ねえ、出会うのはいいけど、私たちとおんなじような人間なのかな?…」
ソラ「なに?アニメに出てくるみたいな宇宙人だと思うの?それともタコみたいなヤツ?(笑)…」
モア「変なのに会ったらイヤじゃん…」
モアは真剣に変わったものが出てくるかもしれないと心配しているようだ。
その様子を見てツグミやルカも顔を見合わせる。
アイやアカリも腕組みをしているが、ソラだけがケラケラ笑った。
アカリ「う~ん…」
アユミ「でも、あんなゴブリンみたいなのがいるから、宇宙人みたいな可能性もあるかも…」
ナオ「それだとこの衣服の説明がつかないと思うけど…」
ソラ「こんな、ちょっと古風な服着た宇宙人って、ウケる(笑)…」
アカリ「会ってみたい気もする…」
ツグミ「え~、怖いよ…」
アカリ「え~、ウケるじゃん(笑)。」
アイ「ウケるところじゃないよ…」
ナオ「まあ、貰った衣服とか道具から考えると私たちと同じような人間だと思うよ…」
タクミ「そうじゃないかな~…」
アイ「とにかく、そういう人間を探そう…」
アユミ「了解しました(笑)。」
温かい食事に軽口も出るような会話のおかげで出発当初の不安や疲労から解放され、全員がリラックスしてその晩は眠りについた。
翌日。アイたちはいつも通り早朝に出発して、少しでも早く人に会おうと先を急いだ。
この世界も元いた世界と同じように季節は春。
草原を歩いていると一面に赤や黄色、紫色の花が咲き誇っていて、都会の真ん中では決して出会えない景色にみんな、しばし足を止める。
アユミ「きれいね…」
ナオ「ホント、見たことないよ…こんな景色…」
モア「花畑とかじゃないんだよね…」
アカリ「そうだよ!メッチャきれい…」
アイ「ちょっとホッとする…」
ルカ「ねぇ、ちょっと振り返ってみて!」
ルカの声に全員が振り返ると、そこには自分たちがやって来た山が見えた。
草原の向こうに鬱蒼と続いている森。その上にこんもりと続いている緑の山々。そしてその山々のさらに向こう側に、もう一段も二段も高くそびえる山が連なっている。
高い山々の上の方にはまだ白い雪が残っていた。
ツグミ「…すごいとこなんだね…ここって…」
ソラ「あんな山の中に置き去りにされてたの、私たち…」
アユミ「人間なんて…居そうもないね…」
アイ「なんか…言葉がないよ…」
今まで感じたこともない自然の風景にみんな圧倒されながら、また歩き出す。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年10月10日。
読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい
2025年12月7日
文字数がかなり多いエピソードが増えてきましたので、エピソードを分割して読みやすくしていきます。
現状では文字数で機械的に分割を行っていますので、単純にページが増えているという感じでお読み下さい。
こちらもマイペースで進行いたしますので、ご容赦ください。
女の子はタオルを頭に巻くのをやめて、それぞれに自分の髪型を整えるようになった。
ショートのアイやアユミ、ソラはそのままで、ミディアムのナオやルカやツグミ、ロングのアカリやモアはゴムや髪留めでお互いに髪がバラバラにならないようにセットする。
モアは以前のようなポニーテールだが、アカリはアイに長い髪をまとめてお団子にしてもらった。
みんなはこの先どこへ向かうのかを相談の上、とにかく人家を探しながら川沿いに進むことにする。
草原では藪の中や森の中と違って辺りを見渡すことができるので、みんなこれまでより足取りが軽い。
最初のうちこそ辺りを気にしていたが、虫や鳥が飛び出してきたりヘビを踏んづけたりするぐらいで特に危険な獣も現れない。
みんなは次第にしりとりをしたり歌を歌ったりしながら歩くようになり、その日はそのまま昼も過ぎ、早めにテントを張ることにした。
昨日、一昨日は疲れて夕食も簡単に済ましたが、今日はタクミが大きな焚き火を組む。
飲み物も温め、アユミとルカが久しぶりにハムを焼き、ナオがパンと野菜を出した。
ソラ「肉が焼ける匂いは、やっぱ違うね~…」
アカリ「今日はお腹が鳴りそう…」
すると誰かのお腹が「グゥー」と鳴る。
アカリ「えっ?私じゃないよ…」
アイ「ゴメン…私(笑)…」
全員「(笑)」
あまりのタイミングの良さに全員が笑った。
みんなが焚き火を囲んで座ると、アユミは焼けたハムをどんどんお皿に乗せていく。
アユミ「ハイ、ハムをどんどん回していってね…」
ナオ「野菜もあるし、飲み物も温かいよ…」
ルカ「パンもあるし…」
ツグミ「コーヒーと牛乳とお砂糖を下さい…」
ソラ「次、私ね…」
モア「私も!」
アカリ「ハム、ない人は?」
タクミ「あっ、オレ、ちょうだい…」
アイ「はい、どうぞ…」
モアはまた誰よりも早くサンドウィッチを作ると、いただきますも言わずそれにかぶりついた。
モア「あ~、美味しいー…」
アカリ「またこの子は先に食べてるー…」
ナオ「いいよ…みんな、どんどん食べてね…」
ソラ「じゃあ、お先に…いただきま~す。」
ナオに言われてみんな次々にサンドウィッチを口に運ぶ。
アイ「トマト、こっちにちょうだい…」
ルカ「これ、どうぞ…」
ツグミ「いただきます…」
タクミ「いただきま~す…」
ソラ「美味しいー、感動ぉ~…」
アイ「大げさー(笑)…」
久々の肉と温かい飲み物に誰もがホッとした。
ソラ「ハムと野菜があるだけで生き返った気がするよ…」
アカリ「昨日、一昨日は食欲も出なかったからね…」
ナオ「でも、なかなか人家や村みたいなのに着かないね…」
アイ「どんだけ離れてるんだろう…」
ツグミ「まだ『地図』にも何も見えてこないよ…」
タクミ「ずっと川と草原なんだけど…」
ルカ「私たち、すごいところに居たんだね…」
アユミ「確かに…」
夕食を終えると、飲み物を飲みながら明日からのことを話し合う。
アイ「とにかく、このまま川沿いを進んで何とか人家を見つけよう…」
ナオ「誰かに会わないとここがどんな世界かも何も分からないからね…」
モア「ねえ、出会うのはいいけど、私たちとおんなじような人間なのかな?…」
ソラ「なに?アニメに出てくるみたいな宇宙人だと思うの?それともタコみたいなヤツ?(笑)…」
モア「変なのに会ったらイヤじゃん…」
モアは真剣に変わったものが出てくるかもしれないと心配しているようだ。
その様子を見てツグミやルカも顔を見合わせる。
アイやアカリも腕組みをしているが、ソラだけがケラケラ笑った。
アカリ「う~ん…」
アユミ「でも、あんなゴブリンみたいなのがいるから、宇宙人みたいな可能性もあるかも…」
ナオ「それだとこの衣服の説明がつかないと思うけど…」
ソラ「こんな、ちょっと古風な服着た宇宙人って、ウケる(笑)…」
アカリ「会ってみたい気もする…」
ツグミ「え~、怖いよ…」
アカリ「え~、ウケるじゃん(笑)。」
アイ「ウケるところじゃないよ…」
ナオ「まあ、貰った衣服とか道具から考えると私たちと同じような人間だと思うよ…」
タクミ「そうじゃないかな~…」
アイ「とにかく、そういう人間を探そう…」
アユミ「了解しました(笑)。」
温かい食事に軽口も出るような会話のおかげで出発当初の不安や疲労から解放され、全員がリラックスしてその晩は眠りについた。
翌日。アイたちはいつも通り早朝に出発して、少しでも早く人に会おうと先を急いだ。
この世界も元いた世界と同じように季節は春。
草原を歩いていると一面に赤や黄色、紫色の花が咲き誇っていて、都会の真ん中では決して出会えない景色にみんな、しばし足を止める。
アユミ「きれいね…」
ナオ「ホント、見たことないよ…こんな景色…」
モア「花畑とかじゃないんだよね…」
アカリ「そうだよ!メッチャきれい…」
アイ「ちょっとホッとする…」
ルカ「ねぇ、ちょっと振り返ってみて!」
ルカの声に全員が振り返ると、そこには自分たちがやって来た山が見えた。
草原の向こうに鬱蒼と続いている森。その上にこんもりと続いている緑の山々。そしてその山々のさらに向こう側に、もう一段も二段も高くそびえる山が連なっている。
高い山々の上の方にはまだ白い雪が残っていた。
ツグミ「…すごいとこなんだね…ここって…」
ソラ「あんな山の中に置き去りにされてたの、私たち…」
アユミ「人間なんて…居そうもないね…」
アイ「なんか…言葉がないよ…」
今まで感じたこともない自然の風景にみんな圧倒されながら、また歩き出す。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年10月10日。
読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい
2025年12月7日
文字数がかなり多いエピソードが増えてきましたので、エピソードを分割して読みやすくしていきます。
現状では文字数で機械的に分割を行っていますので、単純にページが増えているという感じでお読み下さい。
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