死が二人を別こうとも。

すずなり。

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いつも通り。

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葵「鞄・・・買ったのか。」



ここに来る前に購買で買った鞄。

教科書たちはネットで取り寄せる手配を済ませていた。



秋臣「すぐ手に入るんで。」

葵「そっか。・・・ほんとに内緒だからな?」

秋臣「わかってますよ。誰にも言いません。」

葵「りらには制限が多い。本人はわかってるからいいけど・・・周りが気づくとどうしても遠巻きに見られるようになる。」

秋臣「・・・。」





確かに・・・そうだ。

一度知ってしまうと『前と同じように』接することは難しくなる。

それはいい意味でも、悪い意味でも。




秋臣「俺は大丈夫です。慣れてるんで。」

葵「?・・・まぁ、頼むよ。」

秋臣「あ、お兄さんに聞きたいことがあるんですけど・・・。」

葵「なんだ?」

秋臣「男女交際って・・・おっけーですか?」



そう聞くとお兄さんは驚いた顔をした。

でもそれは一瞬であきれ顔になってしまった。



葵「・・・りらは心臓が悪いんだぞ?」

秋臣「?・・・そんなの関係ないでしょ?」

葵「簡単に言うな。」

秋臣「『反対』ってわけじゃないんですね。ならがんばります。」

葵「・・・・。」





廊下を歩き進め、到着したエレベーター乗り場。

ちょうどドアが開いたから俺は乗り込んだ。



秋臣「また遊びに来ます。お邪魔しました。」



エレベーターのボタンを押して、扉を閉めた。





葵「・・・りらが受けるわけないだろ。」







ーーーーーーーーーー






ーーーーーーーーーー






翌日からいつも通りに学校にきた中谷。

特に話しかけることもなく、俺はただ眺めていた。

斜め前の席にいる彼女を・・・眺めていた。



秋臣(・・・調べたけど・・食べ物とかも制限あるんだよな?)



ネットを駆使して調べた『心臓病』のこと。

運動、食事、飲み物・・・色々制限があることを知った。



秋臣(毎日弁当食ってるけど・・・あれ、どうしてんだろ。)



気になることがどんどん出て来る。

でも、単なる『秘密を知ってるクラスメイト』がどこまで首を突っ込んでいいものか分からない。



秋臣(お兄さんに聞いたらわかる?それより告白が先?)



お兄さんは・・・まぁ、いいとして、告白は脈ありじゃないと心が折れそうだ。



秋臣(帰りに誘ってみるか。)



だらだらとノートを取りながら、放課後になるのを待った。




ーーーーーーーーーー




キーンコーンカーンコーン・・・





今日の授業が全て終わり、帰り支度を始める。

クラスメイト達は、中谷に声をかけて帰っていった。




「りらちゃん、また明日ねーっ。」

りら「うんっ。またねーっ。」




鞄に教科書を入れていく中谷。

俺は彼女に声をかけた。



秋臣「・・・なぁ、中谷。」

りら「?・・・なに?」

秋臣「今日、CDショップ行かね?いい曲ある。」



そう言うと彼女は目を輝かせながら俺を見た。



りら「行くっ!」

秋臣「よし。じゃあ・・・・」

りら「あ、でもその前に職員室に用事があるの。」

秋臣「俺も行っていい?」

りら「いいよ?」




帰る用意ができた中谷と一緒に職員室に向かう。




秋臣「職員室に何の用?」



そう聞くと、中谷は歩きながら小声で教えてくれた。



りら「今度のテストのことだよ。」

秋臣「テスト?お前なら余裕だろ?」

りら「違うの。次に受けるのは二年の二学期期末テストなの。範囲を聞かないと・・・。」

秋臣「二年?俺たち一年・・・。」




何を言ってるのか分からないうちについた職員室。

俺と中谷はドアをノックした。


コンコン・・・


りら「失礼します。」

秋臣「失礼します。」



中に入ると、中谷は担任のもとへ行った。

後ろをついて行き、話の内容を聞く。



りら「先生、次の試験なんですけど・・・。」

担任「あぁ。・・・工藤は何の用だ?」



担任は『邪魔だ』と言わんばかりに俺を見た。



りら「工藤くんは知ってるんです。私の心臓の事。」

担任「!・・・そうか。じゃあ説明する。」




担任は引き出しからプリントを1枚取り出した。

中谷に見せながら説明を始める。



担任「今回の範囲はここ。どこで受ける?」

りら「多分学校で大丈夫です。みんなと同じ日に。」

担任「わかった。紛れないように作っておく。」

りら「お願いします。」





何の話をしてるのか分からない俺は、その会話に割り込んだ。



秋臣「あの・・・テストの話ですよね?」

担任「そうだ。うちの学校はテストさえクリアできたら卒業できるの知ってるな?」

秋臣「はい。」

担任「中谷は一年のテストは全部受け終わってる。次のテストは二年二学期期末テストの内容だ。」

秋臣「!?」




いくら成績がいいからって前倒しでテストを受けるなんて聞いたこともない。

俺は驚きながら中谷を見た。




りら「調子が悪いとテストを受けに来れないからね。受けれるときに病院で受けたりしてるの。」

秋臣「そんなのアリなのか?・・・でも病気のことを考えたら・・・アリなのか?」




俺がぶつぶつ言いながら考えてる間に、担任と中谷はテストの話を進めていた。

二人の話が終わったあと、俺は担任に聞いた。




秋臣「そのテスト・・・俺も前倒しで受けれますか?」








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