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別れ。

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雄飛side・・・





雄飛「思いがけないところで美悠と遭遇したな・・・。」



大学を出て交番に戻る途中で、さっきのことを思い出していた。

土曜日の日、美悠のことを高校生だと思い込んでいた俺は、彼女の幼い感じに不安を覚え・・・咄嗟に送ることにしたんだった。




雄飛「まぁ・・・大学生でも変な奴に目をつけれらたら困るだろうしな。」




家も近いことから、俺の仕事の管轄内にあたる。

事件や事故は・・・一つでも未然に防ぎたい。




雄飛「・・・また怒らせてしまったみたいだからなー・・・今度の土曜日は殺気立てて来るだろうな(笑)」



媚びを売らない、真っ直ぐな行動は・・・読み易い(笑)




雄飛「さっさと戻って仕事するか。」





俺は速足で交番に向かい、仕事に取り掛かった。







ーーーーーーーーーー








雄飛「お疲れさまでしたー。」




仕事を定時で終わった俺は、ロッカールームで着替えをしていた。

Tシャツを脱いで鞄に押し込んでると、メールが1件飛んできた。





ピピッ・・・





雄飛「?・・・誰だ?」



上半身裸のままでケータイを見る。

送信者は・・・・彼女だ。





『仕事終わった?ご飯いかない?』

雄飛「ご飯かー・・・。」




友達の紹介で知り合った彼女とは・・・もうすぐ半年の付き合いになる。

同い年だから・・・おそらく向こうも『結婚』を意識し始めてるころだろう。

でも・・・





雄飛「紹介された時はいい子だと思ったけど・・・最近本性が出始めたんだよな・・・。」




会うたびにされる品定め。




『仕事は夜勤とかない?』

『貯金はいくつからしてる?』

『長男?次男?』

『専業主婦ってどう思う?』




付き合ってるにも関わらず、それをされると正直・・・困惑する。

俺のことが好きなんじゃなくて、『俺の仕事内容や収入』が好きなんじゃないかと・・・思ってしまう。






雄飛「このままずるずる付き合っていくかどうか・・・悩むな。」




そう思いながら俺はメールを打った。



『行く。どこに食べに行く?』




送信したあと、着替えた服を鞄に押し込んでると彼女からメールが届いた。




ピピッ・・・




『うーん・・・イタリアン!』

雄飛「イタリアンって・・・俺、店知らないけど・・・。」




とりあえず任せることにして、その旨をメールした。

ロッカーを閉めて、俺は交番を出た。







ーーーーーーーーーー








彼女「ゆーひくんっ、待った?」





彼女が指定した待ち合わせ場所で待つこと10分。

ブランドものの服に身を包んだ彼女が現れた。

男の俺でもわかるようなブランドのバッグに、着てる服の所々に同じマーク(?)が見える。

こんな格好じゃ・・・居酒屋とかは無理だ。




彼女「ゆーひくん?」

雄飛「ん?ご飯食べるんだろ?」

彼女「うんっ。」




にこにこ笑う彼女の姿がよかったけど・・・・俺はこのご飯を食べる前に彼女に別れを切り出すことになる。







ーーーーーーーーーー






待ち合わせ場所から少し歩いて、こじゃれたイタリアンの店に到着した。

歩いてる間も彼女のお喋りは止まらなかったけど・・・すべてがブランド物の話で、俺はさっぱりわからなかった。





彼女「でね?----の服が欲しくて貯金から出すかどうか悩んでるのー・・・。」

雄飛「へぇー。」

彼女「・・・欲しいなー?」

雄飛「・・・・。」




店に入る前に足を止め、俺は彼女と向かい合った。




雄飛「・・・ごめん、別れない?」




そう言うと彼女はびっくりしたような顔をして俺を見た。




彼女「・・・・え?」

雄飛「俺、そんなに給料はよくない。・・・ブランドものばかり買うような子と付き合っていけるほど余裕はない。ならこのままずるずる付き合うより・・・新しい相手を見つけたほうがいいだろ?」

彼女「え!?・・・ゆーひくん、私と結婚して一生遊ばせてくれるんじゃないの!?」

雄飛「・・・何をどう勘違いしてんのかわかんないけど・・・結婚するなら俺も『見返り』を求める。俺は・・・お前の為にしてあげたいって思えなくなった。だから別れよう。」

彼女「そんな・・・別れたら私のご飯はどうなるの!?」

雄飛「・・・・。」




彼女が俺のことを『財布』としか見てないことは薄々わかっていた。

でもこの彼女の一言で・・・それは確信に変わった。




雄飛「・・・」

彼女「・・・・」

雄飛「・・・別れよう。」




そう言うと彼女はクスクスと笑いながら俺を見た。




彼女「あーあー・・・もっと買ってもらいたかったのになー・・。」

雄飛「!?」

彼女「警察官ってカタい仕事だし?お給料もいいのになー。」

雄飛「お前・・・俺のこと好きじゃなかったのか?」

彼女「・・・うーん・・一生一緒にいても問題はなさそうだけど?」

雄飛「俺は俺のことを好きでいてくれる相手と一緒にいたい。」




お互いに想い合いながらの結婚生活に憧れがある俺。

今の彼女とはその憧れは叶いそうにない。




彼女「それは無理だなー。だって私、ゆーひくんのことそんなに好きじゃないし。」

雄飛「!!・・・なら別れるってことでいいな?・・・いいな?」




同意が得られないと・・・別れたことにはならない。

職業柄、こういうことはきちっとしときたい。



彼女「・・・わかったわよ。別れるって言うまでついて来そうだし・・・『私はあなたと別れます』・・・これでいい?」

雄飛「おっけ。・・・じゃな。」




短い付き合いの彼女と別れ、俺はそのまま帰路についた。




雄飛「まー・・思い返せば最初からおかしかったか。」



紹介された日に、俺のつけてる腕時計がどこのブランド物かを聞いてきた彼女。

話題を作るためかと思ってたけど・・・そうじゃなかったみたいだ。




雄飛「長い付き合いじゃなくてよかったかもなー・・・もう彼女はいらないかも・・・。」





夜遅くまでそんなことを考えながら・・・俺は眠りについていった。













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