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同じ病院。

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千冬「お先に失礼しますー。」




午前の仕事が終わった私は、会社を出ようと荷物を持った。





所長「連日の早出に残業ありがとう。ゆっくり休んでまた明後日ね。」

千冬「ふふ。大丈夫ですよ。じゃあまた明後日ー。」




リュックを背負い、会社を出た。

そのままの足で、病院に向かう。




千冬「私の今の体調だったら・・・造血剤と、輸液かな?」




地面を踏んでるようで踏んでないような感覚。

貧血を起こしてることは確かだった。




千冬「お泊りコースじゃないことを願おう・・・。」





駅に向かい、来た電車に乗り込んだ。





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看護師「あれ?千冬ちゃん、どうしたの?定期健診まだ先でしょ?」





病院で受付に向かって歩いていると、看護師さんが声をかけてきてくれた。




千冬「なんか調子悪くて・・・。」

看護師「風邪?先生に言っとくから待合で待ってて?」

千冬「ありがとうー。」




そのまま足を『血液内科』に向け歩き出した。

午前の診察が終わった待合はがらんとしていて、椅子にはだれも座ってない。





千冬「午前に間に合うようにくればよかったかな。」




そう思いながら椅子に腰かけた。

その瞬間・・・





『千冬ちゃーん、どうそー。』

千冬「いや・・・だから名前って・・・。」





すでに貧血を起こしていた私は立ち上がることができずに座ったままでいた。

すぐにドアが開かないことに疑問を持った先生がドアを開けた。





ガラガラガラ・・・





医師「あれ?どうした?」

千冬「貧血。・・・へへっ。」

医師「笑い事じゃないだろう・・・。」





待合の椅子で始まった診察。

おじさん先生は私の下瞼の色を見たり、聴診器で胸を音を聞いたり忙しそうだ。





医師「風邪も引いてる?ちょっと熱っぽいな。」

千冬「え?ほんと?」

医師「うん。体温、計ってみようか。」





すかさず看護師さんが体温計を差し出してきた。




看護師「はい。」

千冬「ありがと。」




脇に挟んでる間に、おじさん先生は看護師さんに指示を出し始めた。




医師「造血剤いれたいけど・・・風邪のほうをどうするかな・・。」

看護師「内科の先生、誰か来てもらいましょうか?」

医師「そうだね。お願い。」





看護師さんは院内専用電話で電話をかけ始めた。





医師「千冬ちゃん、ちょっと横になれる?」

千冬「ここで?」

医師「歩けるなら診察室がいいけど・・・。」






ハッキリと受け答えはできるけど、体はふわふわしててとても歩ける状態じゃなかった。

私はそのままずるずると横に寝転がった。




医師「疲れでも溜めた?」

千冬「仕事がちょっと忙しくて・・・。」

医師「この前、血を取りすぎたしね・・・影響がまだ残ってると思うし・・・重なっちゃってこんなことになったかな?」




その時、脇に挟んでた体温計が鳴った。



ピピピッ・・・




医師「何度?」

千冬「・・・ナイショ。」

医師「はいはい。」




おじさん先生は、私が持っていた体温計を取りあげた。




医師「38度2分。・・・風邪だな。問題は風邪薬と点滴の組み合わせがオッケーかどうか・・・。」




おじさん先生は廊下を見た。





医師「あ、来た来た。」

千冬「?」

医師「内科の先生が来たよ。ちょっと薬の相談するね。」

千冬「はい・・・。」




ぼーっと天井を見てると、おじさん先生と内科の先生の話が始まった。




医師「すみません、呼び出してしまって・・・。」

「いえ、いいんですけど・・・風邪ですか?」

医師「たぶんそうだと思うんですけど、貧血も起こしてまして・・・両方同時に投薬できるかどうか・・・。」

「あぁ、なるほど。・・・診させてもらってもいいですか?」

医師「どうぞ?」





私の側に座った内科の先生。

天井を見つめてる私に・・・その先生は言った。




秋也「・・・千冬!?」

千冬「・・・・え?」




声が聞こえたほうに首を傾けると、そこには笹倉さんの姿があった。




千冬「笹倉さん・・・?」

秋也「うちの病院だったのか・・・。で?熱あるんだって?」




私のおでこに手をあててきた笹倉さん。

白衣を着てて・・・いつもより何倍もかっこよくみえる。




秋也「38度くらいか。聴診するからな?」



そう言って服の上から胸の音を聞き始めた。




秋也「肺は大丈夫そうだな。熱は・・・疲れからだとおもうからゆっくり寝れば下がると思う。明日になっても下がらなかったら薬を考えようか。」





笹倉さんはおじさん先生に話をし始めた。








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