溺愛彼氏と軟禁生活!?~助けてくれた彼に私が堕ちるまで~

すずなり。

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本社の人間VS桃。

ーーーーー



「よしっ、体調も万全っ。」


知恵熱から回復した翌日、私は完全回復した。

昨日は結城さんが手配してくださったお粥やスープを飲みながらゆっくりした一日を過ごし、一晩またゆっくり寝かせてもらって今朝、目が覚めた私の調子は絶好調だった。

朝からお風呂に入って汗も流し、動きやすいパンツスタイルに着替えていく。


「1ヶ月の休養をもらったけどお店に顔を出すのは禁止されてないし、挨拶に回ってちゃんと復帰できることを伝えてこよ。」


そう思って朝から身支度を整えていた。

できることならカフェが忙しくない開店前に行きたくて、時計と勝負をしてる。


「10時オープンだから9時には行きたいところ・・・」


カフェまではこのホテルからだと電車かバスに乗って行かないとだめな距離だ。

時間をスマホで検索しながら支度をし、私は部屋を出た。

エレベーターのボタンを押して乗り込み、1階でドアマンさんと挨拶をする。


「おはようございます、桜庭さま。」

「おはようございますっ、ちょっと仕事に行ってきますー。」

「お仕事ですか。いってらっしゃいませ。」

「行ってきまーす!」


軽く手を振ってホテルを出た私は近くのバス停に急いだ。

大きいバス停なのか人がたくさんいるのが見え、みな順番にバスに乗っていくのが見えた。

もうバスは来てる。


「そのバス乗りますーっ・・!」


そう叫びながら私はバス停まで走り、一番最後に乗り込むことができた。

学生さんや会社に向かう人でぎゅうぎゅうの車内は動くことすらできず、私は手すりを持ってバランスを保つしかなかった。


(バスってすごく大変・・・)


初めて乗った通勤通学ラッシュの時間帯。

座るどころか動くことさえできない車内で押しつぶされそうになりながらカフェの近くまで乗り、人をかき分けるようにして降りて行った。


「ふぅー・・・車の免許、取った方がよかったかな・・・。」


そんなことを思いながら足を進めていく。

回りは忙しく歩く人たちで溢れ、手にはコーヒーらしきカップを持ってる人もちらほら見えた。

うちのカップじゃないことが残念だけど、需要は一定数あるようだ。


「朝、この時間帯でも売れる?でも早くにお店を開けるとその分経費もかかるし・・・」


ぶつぶつ言いながらゆっくり辺りを見回してみる。

普段この時間にここを歩くことは無いからか、周りの景色が新鮮に見えた。

いつもと違う太陽の角度に、人の多さ。

私が見るときには閉まってるお店が空いていたり、逆に開いてるお店が閉まっていたりといつも見てる街が違って見えるのが面白いのだ。


「どこかでコーヒーのテイクアウト専門のキッチンカーみたいなのあったら流行るかも・・?」


そんな考えが浮かんだとき、私が店長を務めるカフェが見えてきた。

本社の人が開店準備をしてるのか、何人かで外を掃除したりメニュー看板を出したりしてるのが見える。


「・・おはようございます、休養をいただいてるこのお店の店長、桜庭です。」


そう声をかけると、本社から来てる人はまるで『助かった!』と言わんばかりの表情で私に駆け寄ってきた。


「桜庭さん!!復帰はいつ!?」

「へっ・・・?」

「お客様が『店長は?』『いつのもコーヒーじゃない』と口々におっしゃってて・・・できるなら早く復帰してくれない!?」

「え!?」


私が休みをもらってる間にとんでもないことになっていたカフェ。

まさかの事態に驚いてる時、常連客の一人が私に声をかけてきた。


「あれ!?桜庭店長!?今日から復帰!?」

「え・・・あ!南さま・・・!」

「よかったよー、この人たちに注文してもいつもと違うコーヒーになるんだよねぇ・・・あ!もう注文できる!?会社で飲みたいんだけど・・・」


そんなことを言われ、『まだお休みいただいてるんですー』とは言えない私は笑顔で受けるしかなかった。


「もちろんです!少々お待ちくださいね?」


そう言って店の中に入ると本社から来てる人もついて入って来た。

私はコーヒーを抽出する作業を後ろでじっと見てるようだ。


「マニュアル通りだし、特に変わったことはしてないように見えるんだけど・・・」


そんなことを言いながら最後まで見ていた本社の人。

私はお会計を頂きながら南さまのコーヒーを手渡した。


「いつもお仕事お疲れさまです。無理しないように今日も一日がんばってくださいね?」

「ははっ、ありがとう。今日もがんばるよ!」


そう言って南さまは渡したコーヒーを一口飲んだ。


「んーっ!これこれ!この味だよ!!じゃあ行ってきまーす!」

「はい!行ってらっしゃいませ。」


南さまの姿が遠くなるまで手を振ってると、私の後ろで本社の人が深いため息をついた。


「はぁー・・接客技術の差で味が変わってるのね・・・」

「え?そうなんですか?」

「そう。あのお客様はあなたに淹れてもらったコーヒーが飲みたかったのよ。だから私たちじゃだめだったってこと。・・・桜庭さん、体調がよくなったのならもう復帰しない?」

「え・・・・」


この本社の人はなぜ私が1ヶ月も休みをもらったのか事情を知らないようだった。

私じゃなきゃだめだと分かった途端、ぶつぶつと文句を言い始めてる。


「てか、なんで私がこの店勤務に回されたのかしら。急に『1ヶ月頼む』とか言われて配属になったけどバイトの子は言うこと聞かないし、パートだって『子供が熱出した』とか言ってすぐ休むし・・・。」

「・・・。」


私より少し年上っぽいこの本社の人が言う文句をこれ以上聞きたくなかった私は二つ返事で答えた。


「はい、可能であれば本日より復帰させていただきたくて来たんですけど・・・どうでしょうか?」


そう聞くとこの人は嬉しそうに笑った。


「そう!?あーよかった!じゃあ本社には本日付で復帰って報告しておくから!」

「はい、ありがとうございます。」

「じゃあ私は帰るわ!今日はバイトの子もパートも急用って言って来ないって連絡あったからがんばってね~。」


ニヤニヤ笑いながら裏口に向かって行った本社の人。

私は心の中で舌を出しながらお店の表に回った。


「今日、ミキちゃんはたぶんもう一件のバイトが急遽入った感じだなぁ。パートさんは子供さんのお熱がまだ引かない感じ。」


一人でこの店を回すとなると、全てのメニューを提供することは難しくなる。

だから『SOLED OUT』の紙を貼って、提供するメニューを減らすのだ。


「何が残ってるのか見てみないとわからないけど・・・とりあえずこれとこれは無理ね。」


私は減らすメニューを決め、店の中に戻った。

ロッカーから予備の制服を取り出して急いで着替え、冷蔵庫の中身を確認していく。


「火を通す料理は時間がかかるから避けたい・・・でも卵とパンがなぜか大量にあるみたいなのよね・・・」


本社の人は普段の5倍の量を注文していたようだ。

一体何をどうみたらこの数の卵とパンを発注するのか理解に苦しむ。


「!!・・卵サンドなら先に作っていても大丈夫!よし!今日は卵サンドフェアにしよう!!」


私は紙を取り出してマジックで大きく『卵サンドフェア』と書いた。

『本日限定!売り切れ次第終了!』と銘打って、購買意欲を煽る。


「これでよし!さぁ、オープンまでの時間で卵を全部加工するぞー!」


私はキッチンに回り、急いで卵をサンドイッチ用に加工していった。

卵を湯で、殻をむいて機械で潰していき、そこに大量のマヨネーズを投入した。

少しの砂糖を加えて混ぜ合わせ、大きなボウルにひとまとめにした。

パンは全て同じ大きさに切り、耳を落としていく。

乾燥しないようにパンケースに入れ、それらをお店のカウンターに持って行った。

お店のロゴが入ったワックスペーパーとまな板、包丁を準備して、ここは完了だ。


「ふぅ・・・次は席の数を減らさないと。」


一人で回すなら席数は3つが限界だ。

テイクアウトもあることから席に『食器はカウンターにお願いします。』という文言を書いたプレートを置いて行った。

これで片づけの手間が省けるときがあるはずだ。


「これくらいで行けるかな?」


そう思ったとき、いつもオープンと同時に来店されるお客さまがお店に入って来た。


「あれ!?店長さん!?」

「ちょっとお久しぶりですー。」

「なんだ店長さんがいるなら他の奴らも誘ったのに・・・。」

「ふふ、いつもありがとうございますっ。」

「今日は・・・あれ?卵サンドだけなの?」

「はい。ちょっと発注ミスっちゃいまして・・・助けていただけると嬉しいです!」

「ははっ、仕方ないなぁ。じゃあ会社の奴らにも手伝わさせるから10個くれる?」

「ありがとうございますっ!」


私はサンドイッチを入れる一番大きいボックスを取り出して用意した。

ワックスペーパーを左手に持ち、その上にパンを一枚置いて卵をたっぷりと乗せていく。

そしてパンを一枚かぶせ、最初に持っていたワックスペーパーでくるっと包んだ。

それを包丁で二つに切り、ボックスに入れていく。


「へぇー・・手慣れたもんだなぁ・・・。」

「毎日作ってますからねぇ。」


サンドイッチを作る作業を『見せる』ことで作業にかかる時間を短く感じさせるのが目的だ。

たくさん卵を入れるとそれだけ『お得感』が増し、食べるときにも満足してもらえることだろう。


「はい!できました!」

「おぉ、きれいだな。」

「ありがとうございます。お会計、2500円ですー。」

「はいよ。店長が戻って来たならまた明日コーヒー買いに寄らせてもらうね?」

「お待ちしております!」


そう伝えたとき、お店を覗くお客さまの姿が見えた。


「あれ?桜庭店長?今日から出勤?」

「!!・・いらっしゃいませー!」


こうしてひっきりなしにお客さまが来てくださり、私はひたすらサンドイッチを作り続けた。

一緒にコーヒーも注文されるお客さまも多く、ドリンクのメニューも3種類に減らして対応する。

トイレに行ける余裕もないくらい売り続け、気がつけはもう陽が傾いてる時間になってしまっていた。


「ふぅー・・・あと少しでサンドイッチは売り切れるかなぁ・・・。」


お客さまの波が引いてちょっと間ができたとき、卵が入ったボウルの底が見え始めていた。

残ってるパンの数をみたらちょうど同時になくなりそうだ。


「ふふっ、『あとちょっとで売り切れ!』って書きにいこうかな?」


そう思ったとき、知った声が私を呼んだ。


「え・・・桜庭さん・・・?」






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