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「痛み止めって・・・すごい。」


薬を飲んで1時間ほど経ったとき、体を動かせることに気がついた私はゆっくり立ち上がり、圭一さんと一緒に圭一さんの部屋に入った。

背中に違和感がたくさんあるものの、圭一さんのベッドに入る時も痛みは感じなかったのだ。


「所詮薬だからな?切れたらまた痛むし、治してるわけではないから。だからゆっくり寝ときな?」

「はい・・・。」


ケガをしたことを申し訳なく思いながらも、仕事を始める圭一さんの姿が目に入る。

真剣な顔で書類を見つめたらり、パソコンを叩いたりする姿はいつもの優しい姿とは違う。

無駄にかっこよく見え、私は至福の時を味わっていた。


(やだもう・・ほんとにかっこいいんですけど・・・)


こんな人が私を好きでいてくれてるとか、もしかしたら『嘘』なんじゃないかと思ってしまうときがある。

でも、圭一さんは私の為にいろいろしてくれるし、何より愛情表現が半端ない。

数日に一度は朝まで抱かれるのだ。

健太のように暴力的ではなく、優しく優しく、焦らして焦らす抱き方で、私をすぐに狂わせていく。

圭一さんが欲しくて欲しくてたまらない状態にさせられ、何度も何度もイかされてしまうのだ。

こんなこと、『好き』じゃなきゃできないことだ。


(あの口と・・あの手が・・・私を・・・)


そんなことを考えたとき、圭一さんと目が合ってしまった。

こんなことを考えてたことがバレると、大変なことになってしまう。


(やばっ・・・!)


私は布団を握り、頭まですっぽり入り込んだ。

お仕事の邪魔もしちゃいけないのだ。

なのに・・・


「ゆーずか?何してんの?」

「----っ!」


かぶった布団をゆっくりめくる圭一さん。

その顔は笑顔だけど、何かを企んでそうな顔でもあった。


「なっ・・なんでも・・・・」

「そう?あ、寝れそうにないなら腕枕でもしようか?」

「へ・・・っ?」

「ほら、おいで?」


圭一さんはジャケットを脱ぎ、カッターシャツを少しまくり上げて私の隣に寝転んだ。

そして私の頭を腕に乗せ、ぎゅっと抱きしめてきたのだ。


「!?!?」

「もー・・ほんとケガとか気を付けてな?柚香に何かあったって聞くたびに寿命が縮まるから・・・。」

「!・・・ごめんなさい。」

「あやまらなくていいよ。無事ならそれでいい。」


そう言って抱きしめる腕には力が入っていた。

まるで『どこにも行かせない』と言われてるかのような抱きしめ方に、胸がきゅぅぅっ・・と、締まっていく。


「圭一さん・・・?」

「うん?」

「あのね・・・?」

「うん。」

「その・・・」


どうしても言いたい言葉がある。

それはいつも言ってる言葉だ。

特に夜、ベッドの中では何度も言ってるけど、ふと思ったときにも伝えたかったのだ。


「好き。すごく好き。大好き。」


そう伝えると、圭一さんは私の体を抱きしめ直すかのように、また抱きしめた。


「知ってる。俺しか見てないだろう?」

「・・・うん。」

「ほんっとかわいいな、柚香。」


よしよしと頭を撫でられ、圭一さんは私の唇に自分の唇を重ねてきた。

『好き』という気持ちが溢れるようなキスに、腰に電気が走ったみたいな感覚が私を襲う。


「んぅ・・・・っ。」

「治ったら・・・覚悟しとけよ?そろそろ全力で抱きたいから・・・」

「!!」


圭一さんはいつも私の様子を見ながら抱いてくれていた。

私の体力もないし、まだ圭一さんの全てが私のナカに入りきれないのだ。


「ど・・努力します・・・」

「ははっ、楽しみにしてる。」


ちゅっ・・ちゅと顔中にキスを落とされ、私はその心地よさからいつの間にか眠りについていた。

大好きな人に抱きしめられながら眠れるのは、この上なく幸せなことだ。


「・・・zzz。」

「かわいいな。早く治してくれよ?」




ーーーーー



ーーーーー



私が背中を痛めてから、圭一さんが甲斐甲斐しく湿布を貼り替えてくれて2週間の時間が流れた。

もう薬は必要ないくらいに回復を果たしてる。


「当たったところがまだよかったってお医者さんは言ってたなぁ・・・。」


ケガをした日の数日後に診に来てくれた先生は、『当たり所がよかった』と言っていた。

もっと長引くかもと思っていた痛みも、日に日に良くなっていったのだ。

1週間経ったころから湿布も止め、自然治癒に任せてる状態になってる。


「今日、庭師さんたちが来るって言ってたけど・・・もうケガ治ったのかな?」


お弟子さんが脚立を倒してしまったことを聞いたお師匠さんが、謝罪も兼ねて今日、来ることになった。

残ってる作業は今日で確実に終わらせるらしく、私は朝から掃除に追われてる。

この2週間で溜まった掃除を順番にこなしていかないといけないのだ。


「トイレとお風呂は終わったでしょ?キッチンはそんなに汚れてなかったから・・・あとはこの広い廊下だけねー。」


タスキを取り出して袖をまくり、掃除を始めようとしたときにちょうど玄関の扉が開く音が聞こえてきた。


「庭師でございます。先日はうちの愚弟が・・・申し訳ありません。」


そう言って玄関で圭一さんに謝る庭師さんの姿が見えた。

来ることが分かっていたため、圭一さんも今日は家にいてくれていたのだ。


「いい。幸いにもケガは無かった。本人も『気にしないで』と言ってたからな。」

「お優しいお言葉、ありがとうございます。本日で作業は必ず終わらせますので・・・」

「あぁ、頼む。」



ーーーーー



庭師たちは準備を済ませて家の中に入って来た。

玄関で立っていた俺の横を通り過ぎる庭師の師匠は頭を下げて入って来たけど、弟子の方は俺を少し睨むようにして入ったのだ。


「?・・なんだ?」


よくわからないまま作業を見守るようにして少し遠巻きに見てると、茶々丸がウロウロし始めたのが俺の視界に入った。

鼻を高く上げて匂いを嗅いでる姿から、きっと柚香を探してるんだろう。


「茶々丸。柚香ならここにはいないぞ。」


そう言うと庭師の弟子が不思議そうな顔を見せた。


「聞いてないのか?茶々丸・・・そこの犬は目が見えないんだ。だから危機を察知するのが遅い。」

「そうなんですか・・・・」


柚香が茶々丸を守った理由がわかったのか、弟子は複雑な表情を漏らしていた。

『周りをちゃんと見てれば』と思ってくれたのなら、次の事故には繋がらないだろう。


(ま、何事も経験だな。)


そんなことを考えながら作業を見てる時、柚香が廊下を掃除しながら近づいて来た。

タスキをかけ、膝をついて一生懸命掃除をしてる。


「しなくていいのに・・・。」


柚香には『家政婦』としての仕事は求めてない。

本人が『やりたい』と言ったことからさせてるけど、完璧すぎて申し訳なくなるくらいだった。


「今日は夕方からお仕事行きます?それとももう今日は家にいるんですか?」


他人がいるからか『外用』の話し方をする柚香。

その話し方は家の為だとわかってるけど、俺は少しイラついてしまったのだ。


「ちょっといい?野崎さん?」

「!!」


あえて俺も外用の話し方をし、柚香を部屋に誘った。

すると柚香は大人しく俺の後ろをついてきたのだ。


「え・・どうしたの?圭一さん・・・」


部屋に入った瞬間に言葉を崩す柚香。

その姿が妙にかわいく見え、俺は柚香の唇を自分の唇で塞いだ。


「んぅっ・・!?」

「めちゃくちゃかわいい・・。柚香・・柚香・・・っ。」


小さい柚香の体を抱きしめながらタスキを解き、柚香の両手を縛っていく。

そしてベッドに押し倒し、そのタスキをベッドの柵に縛り付けた。


「ふぁっ!?なに・・・!?」

「ん?嫉妬。」

「へ!?」

「俺のものって言いふらしたい、見せつけたい・・・。」


無性に啼かせたくなった俺は、柚香の和服の上で指を滑らせていった。

肩から始まり、ゆっくり下がっていくと膨らんでる胸の上に辿り着く。

そしてさらに盛り上がってる突起部分で指を止めてみた。


「んんっ・・・!」


体をくねらせる柚香は、明らかに『感じてる』ようだった。


「今日は下着・・つけてないの・・・?」

「!!」


耳元で優しく聞くと、柚香は顔を真っ赤にして首を縦に振った。


「きょ・・今日は家にいるっていってたから・・・その・・・」

「・・・シたかったのかな?」

「~~~~っ。・・・・うん。」


柚香がケガをしてから、まだ抱いてはいなかった。

ちゃんと治ってからのほうがいいと思って、時間を空けるつもりだったのだ。


「そんなかわいいこと言わないでくれよ・・・今すぐ抱きたくなる。」

「~~~~っ。」

「でもあいつらいるからな・・・ちょっとだけにするから声、出すなよ?」


夜にちゃんと抱きなおそうと思い、俺は柚香の和服を軽く解いた。

期待に満ち溢れてるのか、胸の先端がピンっ・・・!と、立ってるのが目に入り、たまらず口に含みにいく。


「んぁぁっ・・・!」

「ほら、シー・・・・」


甘い声を漏らさないように手で口を押える柚香だったけど、もう遅かった。

完全に閉まり切ってない扉の向こうに、庭師の作業着がチラッと見えたのだ。


「・・・。」




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