33 / 61
33
『お願い』なんて家政婦がすることではない。
愛人的な立場にいるから言うのかとも思ったけど、どうも話し方がそうじゃなさそうな気がしてきたのだ。
「あ、そうそう、私があのお家にいる理由なんですけど・・・借金とかじゃなくて私の意志なんです。」
「え?『意志』・・・?」
「はい。私、前に同棲してた彼氏がいたんですけど、ちょっと暴力・・というか、暴言?が多くて・・・」
野崎さんはあの家で暮らすようになった出来事を、できるだけ詳しく話してくれた。
熱を出してるのに雪の降る中追い出されたり、毎日暴言吐かれての生活の中で食べるものも十分にもらえず過ごしたりしてたことを。
「ひど・・・・」
「まぁ、そうですよね。その中にいるとわからなくなるもので・・・熱で倒れた私を助けてくれたのが圭一さんだったんです。よくカフェで会う友達みたいな関係だったんですけど・・・」
助けてもらったことをきっかけに同棲していた彼氏と別れることを決めた野崎さんは、あの組長からアプローチを受けたそうだ。
もうすでに組長に惹かれていた彼女はそれを受け、一緒に暮らすことになったのだとか。
「え・・・待って、じゃあ二人は付き合ってる・・・?」
「・・・はい。すみません、家政婦だなんて言ってしまって・・・。外部の人に『恋人』だとバレると私の身に危険が及ぶかもしれなくて・・・。」
「『危険』?」
「前に攫われかけたことがあって・・・それで・・・」
「!!」
確かに、『組長の寵愛を受けてる者がいる』なんて話が広まったら『弱点』として使われることになるかもしれない。
自分が弱味にならないように、彼女なりに考えての立ち位置だったみたいだ。
(嘘だろ・・・じゃああのピンク頭が言ってたことが嘘だったってこと・・・?)
あの組長の行動から考えても、野崎さんを『恋人』として扱ってるように見えた。
体中にキスマークを付けて『自分のモノ』というアピールをし、俺が見てたのをわかってて見せつけてきたりもした。
あれは俗にいう・・・『嫉妬』だ。
「ふぅ・・・ちょっと暑くないですか?暖房が効いてるのかな・・・?」
手をうちわ代わりにしてパタパタと仰いでる彼女。
俺は飲ませた媚薬のことを思い出した。
(やっば・・・!効き目がでてきたんじゃ・・・)
よく見ると目は潤ってるし、顔が少し赤らんでる。
妙に色っぽい雰囲気も漂っていて、明らかに『薬』の効果が出てきてしまっていた。
「ご・・ごめん・・・!!」
「え?何がですか?」
「あのピンク頭にちょっと・・いろいろ言われたのもあるんだけど、俺、二人のこと勘違い・・してたかも・・・?」
ーーーーー
手を合わせて謝ってきた二階堂さんに、私は手で顔を仰ぎながら聞く。
「勘違い・・・」
「あのピンク頭は?どういう関係なんだ?」
「あ、あの人は圭一さんが前に付き合ってた人で、『裏切った人』って聞いてますね。」
「『裏切った』?」
「はい。」
私は茉里奈さんのことを大雑把に説明していった。
圭一さんのお金を持ち逃げし、何を思ったのか帰ってきて復縁を迫ってることを・・・。
「それで『婚約者』って言ってたのか・・・」
「圭一さんは相手にしてないんですけど・・・いや、相手にしてる・・のかな?」
「?・・・まぁ、わかんないけど、俺が勘違いしてたってことだけは確かだ。ほんとごめん。」
今度はテーブルに頭をつけて謝り始めた二階堂さん。
ぎょっとするものの、暑い感じがして私は両手で顔を仰いでいた。
「そんなに謝らなくても・・・」
「いや・・・ほんとごめん。・・・さっき飲んだコーヒーにちょっと細工をしてしまって・・・」
「『細工』?」
「実は・・・」
二階堂さんは申し訳なさそうに口を開いた。
「媚薬なるものを・・・入れた・・・。」
「!?・・え!?」
「ほんとごめん。あのピンク頭に頼まれて・・・っていうか、あの男にいいように犯されてるなら助けたいと思って・・・」
「そ・・それでなんで媚薬・・・・」
「・・・。」
なんとなく想像はできた。
私を他の男の人に欲情させて、圭一さんを幻滅させる作戦だったのだ。
「はぁー・・・」
「ほんとごめん!!何でもする!埋め合わせはなんでもするから!!」
テーブルにゴンゴンと頭を押し付けて謝る二階堂さんに、これ以上何も言えないでいた。
そんなことよりもこれの効き目が問題だ。
「どれくらい入れたんですか?」
「・・・一滴。」
「それってどれくらい効果が続くんです?」
「それは・・・わからない。」
「わからない!?」
「ほんとごめん・・・。」
自分の体がどうなるのかわからないものを飲んでしまった私は、席から立ちあがった。
「ちょっと・・家に帰ります。この暑いのもその薬のせいだと思うんで、様子見ながら一晩過ごします。」
「体調が悪くなるようなら病院に・・・」
「病院は行くことはできないんです。何があるかわからないから・・・。だからいつも来てくれる先生に相談しますね。」
「ほんとごめん・・・。」
「大丈夫なんで・・・気にしないでください。じゃあ・・・。」
私は申し訳なさそうな顔をする二階堂さんを置いて、カフェの外に出た。
私を待ってくれてる一平さんに『家に帰りたい』と伝え、車に乗せてもらう。
(時間が経ってきたからかな・・・なんだか服がむず痒い・・・)
服が擦れる度になんだか違和感を感じるようになってきた。
どれくらいの効果があるのかはわからないけど、一晩過ごせば薬は抜けるだろう。
(とりあえず圭一さんにはバレないようにしなきゃ・・・。)
心配をかけさせないようにするため、今日は自分の部屋で過ごすことを決めたのだった。
愛人的な立場にいるから言うのかとも思ったけど、どうも話し方がそうじゃなさそうな気がしてきたのだ。
「あ、そうそう、私があのお家にいる理由なんですけど・・・借金とかじゃなくて私の意志なんです。」
「え?『意志』・・・?」
「はい。私、前に同棲してた彼氏がいたんですけど、ちょっと暴力・・というか、暴言?が多くて・・・」
野崎さんはあの家で暮らすようになった出来事を、できるだけ詳しく話してくれた。
熱を出してるのに雪の降る中追い出されたり、毎日暴言吐かれての生活の中で食べるものも十分にもらえず過ごしたりしてたことを。
「ひど・・・・」
「まぁ、そうですよね。その中にいるとわからなくなるもので・・・熱で倒れた私を助けてくれたのが圭一さんだったんです。よくカフェで会う友達みたいな関係だったんですけど・・・」
助けてもらったことをきっかけに同棲していた彼氏と別れることを決めた野崎さんは、あの組長からアプローチを受けたそうだ。
もうすでに組長に惹かれていた彼女はそれを受け、一緒に暮らすことになったのだとか。
「え・・・待って、じゃあ二人は付き合ってる・・・?」
「・・・はい。すみません、家政婦だなんて言ってしまって・・・。外部の人に『恋人』だとバレると私の身に危険が及ぶかもしれなくて・・・。」
「『危険』?」
「前に攫われかけたことがあって・・・それで・・・」
「!!」
確かに、『組長の寵愛を受けてる者がいる』なんて話が広まったら『弱点』として使われることになるかもしれない。
自分が弱味にならないように、彼女なりに考えての立ち位置だったみたいだ。
(嘘だろ・・・じゃああのピンク頭が言ってたことが嘘だったってこと・・・?)
あの組長の行動から考えても、野崎さんを『恋人』として扱ってるように見えた。
体中にキスマークを付けて『自分のモノ』というアピールをし、俺が見てたのをわかってて見せつけてきたりもした。
あれは俗にいう・・・『嫉妬』だ。
「ふぅ・・・ちょっと暑くないですか?暖房が効いてるのかな・・・?」
手をうちわ代わりにしてパタパタと仰いでる彼女。
俺は飲ませた媚薬のことを思い出した。
(やっば・・・!効き目がでてきたんじゃ・・・)
よく見ると目は潤ってるし、顔が少し赤らんでる。
妙に色っぽい雰囲気も漂っていて、明らかに『薬』の効果が出てきてしまっていた。
「ご・・ごめん・・・!!」
「え?何がですか?」
「あのピンク頭にちょっと・・いろいろ言われたのもあるんだけど、俺、二人のこと勘違い・・してたかも・・・?」
ーーーーー
手を合わせて謝ってきた二階堂さんに、私は手で顔を仰ぎながら聞く。
「勘違い・・・」
「あのピンク頭は?どういう関係なんだ?」
「あ、あの人は圭一さんが前に付き合ってた人で、『裏切った人』って聞いてますね。」
「『裏切った』?」
「はい。」
私は茉里奈さんのことを大雑把に説明していった。
圭一さんのお金を持ち逃げし、何を思ったのか帰ってきて復縁を迫ってることを・・・。
「それで『婚約者』って言ってたのか・・・」
「圭一さんは相手にしてないんですけど・・・いや、相手にしてる・・のかな?」
「?・・・まぁ、わかんないけど、俺が勘違いしてたってことだけは確かだ。ほんとごめん。」
今度はテーブルに頭をつけて謝り始めた二階堂さん。
ぎょっとするものの、暑い感じがして私は両手で顔を仰いでいた。
「そんなに謝らなくても・・・」
「いや・・・ほんとごめん。・・・さっき飲んだコーヒーにちょっと細工をしてしまって・・・」
「『細工』?」
「実は・・・」
二階堂さんは申し訳なさそうに口を開いた。
「媚薬なるものを・・・入れた・・・。」
「!?・・え!?」
「ほんとごめん。あのピンク頭に頼まれて・・・っていうか、あの男にいいように犯されてるなら助けたいと思って・・・」
「そ・・それでなんで媚薬・・・・」
「・・・。」
なんとなく想像はできた。
私を他の男の人に欲情させて、圭一さんを幻滅させる作戦だったのだ。
「はぁー・・・」
「ほんとごめん!!何でもする!埋め合わせはなんでもするから!!」
テーブルにゴンゴンと頭を押し付けて謝る二階堂さんに、これ以上何も言えないでいた。
そんなことよりもこれの効き目が問題だ。
「どれくらい入れたんですか?」
「・・・一滴。」
「それってどれくらい効果が続くんです?」
「それは・・・わからない。」
「わからない!?」
「ほんとごめん・・・。」
自分の体がどうなるのかわからないものを飲んでしまった私は、席から立ちあがった。
「ちょっと・・家に帰ります。この暑いのもその薬のせいだと思うんで、様子見ながら一晩過ごします。」
「体調が悪くなるようなら病院に・・・」
「病院は行くことはできないんです。何があるかわからないから・・・。だからいつも来てくれる先生に相談しますね。」
「ほんとごめん・・・。」
「大丈夫なんで・・・気にしないでください。じゃあ・・・。」
私は申し訳なさそうな顔をする二階堂さんを置いて、カフェの外に出た。
私を待ってくれてる一平さんに『家に帰りたい』と伝え、車に乗せてもらう。
(時間が経ってきたからかな・・・なんだか服がむず痒い・・・)
服が擦れる度になんだか違和感を感じるようになってきた。
どれくらいの効果があるのかはわからないけど、一晩過ごせば薬は抜けるだろう。
(とりあえず圭一さんにはバレないようにしなきゃ・・・。)
心配をかけさせないようにするため、今日は自分の部屋で過ごすことを決めたのだった。
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?