溺愛社長は私をご所望!?彼の持つ二面性はどっちが本物!?

すずなり。

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「ぅ・・・・?」


無くしていた意識を取り戻した私は、ぼやけて見える視界の中で瞬きを繰り返した。

徐々に合ってくる視点に、辺りをゆっくり見回す。


(ここ・・・どこ・・・・)


少し湿っぽい空気に、薄暗い建物の中。

手が背中側で拘束されていて、私は壁にもたれるようにして座らされてるみたいだ。

周りは大きな木の箱がたくさん積まれていて、天井はかなり高いところにある。


(倉庫・・・?)


空気の匂いに集中すると、かすかに潮の香りもするような気がする。

ここは・・・


「目ぇ覚めたか?」


知ってる声がしてその声の方を向くと、そこに渉くんの姿があったのだ。


「わたる・・・くん・・・?」


どうして渉くんがいるのかが理解できない私は、まだ若干ぼやけてる視界をどうにかしようと瞬きを繰り返していた。


「そんなに強く殴ったつもりはないんだけど・・・目が覚めるまでに随分と時間がかかったな。」


その言葉を聞いて、私は自分の身に何が起こったのかを一瞬で思い出した。

茶々を病院に連れていくために間違えてかけてしまった渉くんに助けを求め、そのあと殴られたことを・・・。


「どうして・・・・」

「『どうして』?はっ・・・そんなの簡単なことだ。一条組のアタマを呼び出すためだよ。」

「え・・・圭一さんを・・・?」


一体なぜ圭一さんを呼び出したいのかと考えてると、渉くんが近づいてきて私の顎を手ですくった。


「うち・・『宝永会』は一条組に潰されたんだよ!!泡の一つでも吹かせないと腹の虫がおさまらねーんだよ!!」

「!!」


耳が痛くなるほどの大声で聞かされた『理由』。

『宝永会』という言葉に私は渉くんの手にあった刺青を思い出したのだ。


(前に私を攫おうとした人たちの手にもあった刺青だ・・・)


そう、どこかで見たことがあると思っていた模様は、圭一さんが潰した『宝永会』の紋。

渉くんは宝永会の一員だったのだ。


「まさか・・・私と再会したのって・・・」

「そうだよ、その通りだよ。お前に近づいたのはお前が一条組の奴らと一緒にいたからだ。上からの指示であの家に出入りしてる女を『攫う』ってことになってたけど、まさかお前だと思わなかったよ。・・・ありがとな?わざわざ呼んでくれて。」

「---っ!!」


知らなかったとはいえ、私は圭一さんを恨んでる人を家に招いてしまった。

私以外にケガをする人がいなかったのがまだ幸いだけど、置いてきてしまった茶々のことが心配でならない。


(『目が覚めるまで随分時間がかかった』って言ってた・・・私がここに連れてこられてからどれくらいの時間が経ったんだろう・・・。)


茶々の容体も気になるし、きっと圭一さんたちが私からの電話に気が付いてるはず。

折り返し電話をくれてたとしたら、心配してるに決まってるのだ。


(あっ・・・!鞄・・・!)


鞄にスマホをいれていたことを思いだし、私は自分の体を見た。

斜めにかけていた鞄は・・・無さそうだ。


「バッグなら置いてきたに決まってるだろ?」

「・・・。」


ここでの行動は全部渉くんに見られてる。

どうにかして逃げ出せないかを考えながら、自分の言動には最新の注意が必要だった。


「ま、一条組の捜査力がどれほどのものかは知らねーけど、お前は自分のことを心配した方がいいんじゃねーの?」

「それってどういう・・・」


その時、辺りから足音が聞こえてきた。

複数人の足音はだんだんとこちらに近づいてきてるようで、音が大きくなってくる。


「お前、一条組のアタマの女なんだろ?お前を犯したらあいつ、一泡吹くんじゃね?」

「!?」


その言葉と同時に、物陰から何人かの男の人が現れた。

ニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべて、私の周りに集まってくる。


「さて、お前が何人目の男に犯されてる最中に迎えが来るかな?まぁ、距離を考えたら7人目から10人目ってところか?」

「----っ!?」

「トップバッターは『俺』。さぁ、柚香・・『大人の遊び』を始めようか。」


そう言って渉くんは自分の服を脱ぎ始めた。


「やっ・・・!やだっ!!」


私は逃げようと身をよじり、地面に倒れ込んだ。

体をくねらせながら地面を這い、この場から離れようと必死にもがく。


「逃げるのか?まぁ、すぐに捕まえれるけどな。」

「こっ・・来ないで・・・!やだ!!」

「他の奴らも順番待ちしてるんだ。あんま手間かけさせるな。」


そう言って渉くんは私の腕を掴み、体を引き起こした。

そして近くにあった木の箱の上に私の体を押し倒したのだ。


「きゃっ・・・!?」

「いい声で啼けよ?」


身動きが取れない状況で渉くんが私の服に手をかけた時、耳をつんざくような音が駆け抜けていった。

あれは・・・銃声だ。


「俺の女を攫うとはいい度胸してんじゃねーか。地獄に旅立つ準備はもちろんできてんだろうなぁ?」


姿は見えないけど聞きなれた声。

目で確認しなくてもすぐわかる。

・・・圭一さんだ。


「!?・・・もう来たのか!?」


慌て始めた渉くんは、私を盾にするようにして自分の身を隠した。


「おいおい、女を盾にするのか?宝永会の残党は情けないやつなんだな。」

「う・・うるさい!!誰かアイツを捕まえろ!!」


渉くんの声に、さっき私の周りにいた人たちが怒声を上げた。

そして圭一さんに襲いかかりに行ったのだろうけど、直後にまた銃声が聞こえてきたのだ。


「柚香、動くなよ?」


私を安心させるためか、はたまた『こんなこと、どうってことない』と思ってるのか、圭一さんは優しい声でそう言った。

まるで私の肩に落ちてきた葉っぱを取るために『動くなよ?』と言ってるかのようだ。


「はっ・・・!銃なんて正確に撃てやしない!いづれ柚香に当たって自滅するするのがオチだな!!俺に当てようとした時に柚香に当ててやる!!」


そう息巻いて叫んだ渉くんだったけど、圭一さんは息を吐くように鼻で笑った。


「それはどうかな?」


そう言った瞬間にまた銃声が聞こえ、その直後、渉くんの悲鳴が倉庫内に響き渡った。


「うわぁぁぁっ・・!!」

「?」


何が起こったのかわからなかったけど、振り返ると渉くんの耳から大量の血が噴き出ていたのだ。

私の体を捕まえていた渉くんの手はほどかれ、その血だらけの耳を両手で押さえながら地面に倒れ込んでいってるのだ見える。


「姐さん・・・!!」


陽太さんの声が聞こえ、私が前を向くと同時に体がふわっと浮いたのが分かった。

気が付けば陽太さんが私の体を抱え、倉庫内を走っていたのだ。


「ふぁっ・・・!?陽太さん・・・!?」

「ケガはしてませんか!?」

「だ・・大丈夫・・・・」

「よかったです!!」


その直後、倉庫内にはたくさんの銃声が鳴り響いた。

狭い空間・・というほどでもないけど、とてつもない数の爆音が鳴り響き、頭がぐわんぐわんと回る感覚が私を襲う。


「ふぁ・・・・?」

「!!・・・組長!!ちょ・・姐さんが音に耐えきれてません!!」


目に映る景色がぐるぐると回り、前を向いてるのか上を向いてるのかがわからない。

途中で陽太さんが縛られていた手を解放してくれたけど、とりあえず落ちないように陽太さんの服を握りしめて私は顔を胸に埋めた。

・・・けど、それもちゃんとできてるのかわからない。


「もう終わる。」


そう圭一さんが言ったあと、また何発か銃声が聞こえてきた。

その音の大きさに耐えきれなかった私は、陽太さんの腕の中でそのまま意識を失ったのだった。







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