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「だめ・・・?」
連に仕事場を貸してもらうと話をした瞬間、涼さんは『ダメ』と言ったのだ。
仕事から帰って来たばかりの涼さんは、ネクタイを外しながら話を続ける。
「来客用の部屋が余ってるから、そこ使いなよ。」
「でも結構場所取るし、散らかしもするし・・・」
「どうせ使ってないんだし、もうハルの部屋にしちゃってもいいよ?」
「え!?そんなわけにいかないよ・・・!」
ネクタイをしまうためにクローゼットに向かう涼さんの後ろをついて行きながら話し続ける。
「乾燥剤とかはもう新しいのを買おうと思ってる。でも一つ作るのに結構時間かかるし置いとく場所もいるの。」
「・・・。」
「お花も結構な数いるし、連だったら珍しいお花だって・・・」
涼さんはクローゼットにネクタイをしまい、カッターシャツも脱いだ。
脱いだシャツを床に無造作に置き、私の身体をぎゅっと抱きしめて来た。
「ふぁっ!?」
「貫地谷グループの代表のとこになんか行かせれるわけないだろ?」
「へ!?ちょ・・!連はお兄ちゃんにしか見てないよっ!?」
「・・・。」
「それに仕事だからっ・・!」
「・・・。」
無言で私を抱きしめる涼さんの腕は力が入っていた。
まるで『どこにも行かせない』と言ってるみたいだ。
でも・・・力が入っていても涼さんは私を苦しめるような強さでは抱きしめてこない。
その優しさがまた・・・私を想ってくれてる証拠だった。
「・・・『お部屋』、使っていいよって言ってくれてありがとう。」
私も涼さんの背中に手を回し、そう伝えた。
「でもね?仕事は仕事だと思うの。新しく始めた仕事、ちゃんと軌道に乗るようにしてくれたの涼さんでしょ?私がしたいっていったことを応援してくれるの嬉しいよ?」
そう言うと涼さんは私を腕から解放してくれた。
「わかってる。まぁ・・ほんとのところ、貫地谷グループのとこにいくのはそんなに嫉妬はしてないんだよ。」
「え?」
「実はさ・・・」
涼さんは私の手を引き、リビングに戻りながら話してくれた。
最近、連の会社と繋がりを持つきっかけがあったらしいのだ。
「え、そうなの?」
「うん。まぁ、式の前に結納とかする家もあるだろ?」
「うん。」
「家でするところもあるけど、最近はホテルでするところも多いらしいんだよ。」
「へぇー!ホテル!」
「双方の実家が遠方だったらそのままホテルに宿泊して、観光もしてー・・みたいなプランもあるみたいで、うちに入ってる旅行会社がそのプランを結婚式場に持って行ったんだってさ。」
「!!・・・その結婚式場ってまさか・・・」
「そのまさかだよ。貫地谷グループが運営してる式場だったんだってさ。」
そのプランを見た式場の人が、一組のカップルにプランを見せたところ、前向きに検討をしてくれたらしく、繋がりができたそうなのだ。
「へぇー!すごい!」
「式って何カ月も前から準備するから間に結納をして、一緒に式場の下見とかもいいって話もでてるらしい。」
涼さんと連が仕事上で繋がりができたことに驚きもあったけど、嬉しさもあった。
お互いの会社がいいほうに向かっていくなら・・・それ以上のことはない。
「それもあってたまに会ってたんだよ。会うたびに『ハルをよろしく』って言われたし・・。貫地谷さんがいいっていうならいいよ?」
「ほんと!?」
「うん。でもちょっと遠いんじゃない?花屋もハンドメイドも、悠春の依頼もこなしてたらまた疲れ溜まるよ?」
私と涼さんはリビングのソファーに腰かけた。
そして涼さんは私の身体を引き寄せるようにして抱きしめてきた。
「うーん・・・悠春はあまりないからいいんだけど、問題はそこだよねぇ・・・。」
私は平日は花屋で働いてる。
ハーバリウムを作るとしたら土日になるのだ。
そうすると休みは1日も無くなってしまう。
「・・いっその事、花屋の仕事辞めたら?」
そう聞かれ私は引き寄せられてた身体を起こした。
「え?」
「ここで住めば・・・家賃もいらないし、生活費もいらない。そしたらハーバリウムの収入と悠春の収入だけで十分じゃない?」
「それは・・・そうだけど・・・」
悠春の収入だけでも食べていけるくらいはあった。
別にマンションで暮らしても十分収入はあったけど、涼さんからの『ここに住めば』の言葉が私は嬉しかった。
『ずっと一緒にいたい』と言ってもらってるようで、私の顔が綻んでいく。
「・・・ふふ。」
私は嬉しい気持ちが押さえられず、そのまま涼さんの胸に抱きついた。
「お?どうした?」
「ううん?なんでもないよー。・・・ふふっ。」
上機嫌に抱きついてると、涼さんが軽くため息をついて私の身体をソファーに押し倒して来た。
「ふぁっ・・!?」
「はぁー・・・そんなかわいいことされたら食べるしかないだろ?」
「!?・・・ちょ・・!ごはんっ・・!」
「先に前菜な。・・・あ、デザートかな?ハルは甘いから。」
「!?!?・・・んぁっ・・!」
「かわいい声、お腹いっぱいになるまで聞かせて?」
「待っ・・!んんっ・・!」
涼さんはソファーで私の服を剥ぎ取り、私の息が切れるまで愛してくれたのだった・・・。
連に仕事場を貸してもらうと話をした瞬間、涼さんは『ダメ』と言ったのだ。
仕事から帰って来たばかりの涼さんは、ネクタイを外しながら話を続ける。
「来客用の部屋が余ってるから、そこ使いなよ。」
「でも結構場所取るし、散らかしもするし・・・」
「どうせ使ってないんだし、もうハルの部屋にしちゃってもいいよ?」
「え!?そんなわけにいかないよ・・・!」
ネクタイをしまうためにクローゼットに向かう涼さんの後ろをついて行きながら話し続ける。
「乾燥剤とかはもう新しいのを買おうと思ってる。でも一つ作るのに結構時間かかるし置いとく場所もいるの。」
「・・・。」
「お花も結構な数いるし、連だったら珍しいお花だって・・・」
涼さんはクローゼットにネクタイをしまい、カッターシャツも脱いだ。
脱いだシャツを床に無造作に置き、私の身体をぎゅっと抱きしめて来た。
「ふぁっ!?」
「貫地谷グループの代表のとこになんか行かせれるわけないだろ?」
「へ!?ちょ・・!連はお兄ちゃんにしか見てないよっ!?」
「・・・。」
「それに仕事だからっ・・!」
「・・・。」
無言で私を抱きしめる涼さんの腕は力が入っていた。
まるで『どこにも行かせない』と言ってるみたいだ。
でも・・・力が入っていても涼さんは私を苦しめるような強さでは抱きしめてこない。
その優しさがまた・・・私を想ってくれてる証拠だった。
「・・・『お部屋』、使っていいよって言ってくれてありがとう。」
私も涼さんの背中に手を回し、そう伝えた。
「でもね?仕事は仕事だと思うの。新しく始めた仕事、ちゃんと軌道に乗るようにしてくれたの涼さんでしょ?私がしたいっていったことを応援してくれるの嬉しいよ?」
そう言うと涼さんは私を腕から解放してくれた。
「わかってる。まぁ・・ほんとのところ、貫地谷グループのとこにいくのはそんなに嫉妬はしてないんだよ。」
「え?」
「実はさ・・・」
涼さんは私の手を引き、リビングに戻りながら話してくれた。
最近、連の会社と繋がりを持つきっかけがあったらしいのだ。
「え、そうなの?」
「うん。まぁ、式の前に結納とかする家もあるだろ?」
「うん。」
「家でするところもあるけど、最近はホテルでするところも多いらしいんだよ。」
「へぇー!ホテル!」
「双方の実家が遠方だったらそのままホテルに宿泊して、観光もしてー・・みたいなプランもあるみたいで、うちに入ってる旅行会社がそのプランを結婚式場に持って行ったんだってさ。」
「!!・・・その結婚式場ってまさか・・・」
「そのまさかだよ。貫地谷グループが運営してる式場だったんだってさ。」
そのプランを見た式場の人が、一組のカップルにプランを見せたところ、前向きに検討をしてくれたらしく、繋がりができたそうなのだ。
「へぇー!すごい!」
「式って何カ月も前から準備するから間に結納をして、一緒に式場の下見とかもいいって話もでてるらしい。」
涼さんと連が仕事上で繋がりができたことに驚きもあったけど、嬉しさもあった。
お互いの会社がいいほうに向かっていくなら・・・それ以上のことはない。
「それもあってたまに会ってたんだよ。会うたびに『ハルをよろしく』って言われたし・・。貫地谷さんがいいっていうならいいよ?」
「ほんと!?」
「うん。でもちょっと遠いんじゃない?花屋もハンドメイドも、悠春の依頼もこなしてたらまた疲れ溜まるよ?」
私と涼さんはリビングのソファーに腰かけた。
そして涼さんは私の身体を引き寄せるようにして抱きしめてきた。
「うーん・・・悠春はあまりないからいいんだけど、問題はそこだよねぇ・・・。」
私は平日は花屋で働いてる。
ハーバリウムを作るとしたら土日になるのだ。
そうすると休みは1日も無くなってしまう。
「・・いっその事、花屋の仕事辞めたら?」
そう聞かれ私は引き寄せられてた身体を起こした。
「え?」
「ここで住めば・・・家賃もいらないし、生活費もいらない。そしたらハーバリウムの収入と悠春の収入だけで十分じゃない?」
「それは・・・そうだけど・・・」
悠春の収入だけでも食べていけるくらいはあった。
別にマンションで暮らしても十分収入はあったけど、涼さんからの『ここに住めば』の言葉が私は嬉しかった。
『ずっと一緒にいたい』と言ってもらってるようで、私の顔が綻んでいく。
「・・・ふふ。」
私は嬉しい気持ちが押さえられず、そのまま涼さんの胸に抱きついた。
「お?どうした?」
「ううん?なんでもないよー。・・・ふふっ。」
上機嫌に抱きついてると、涼さんが軽くため息をついて私の身体をソファーに押し倒して来た。
「ふぁっ・・!?」
「はぁー・・・そんなかわいいことされたら食べるしかないだろ?」
「!?・・・ちょ・・!ごはんっ・・!」
「先に前菜な。・・・あ、デザートかな?ハルは甘いから。」
「!?!?・・・んぁっ・・!」
「かわいい声、お腹いっぱいになるまで聞かせて?」
「待っ・・!んんっ・・!」
涼さんはソファーで私の服を剥ぎ取り、私の息が切れるまで愛してくれたのだった・・・。
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