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辞めたい。

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鈴「なん・・で?」

直哉「なんで・・・うーん・・・。」



鈴のことを好きだから『兄』を辞めたい。

俺は『兄』じゃなくて『鈴の愛する人』になりたい。



どういえばいいのか分からず、悩んでいると、鈴の目から大きな涙がこぼれ落ちた。




直哉「!?・・・鈴?」

鈴「あれ?・・・なんだろ・・?」




慌てて手で涙を拭う鈴。



鈴「大丈夫・・大丈夫だから・・・。」

直哉「・・・鈴の『兄』を辞めたい理由を聞いても・・・今まで通りに接してくれるか?」

鈴「え・・?それは・・・内容による・・・かも・・?」

直哉「まぁ、そうだよな。」





正直に言うかどうか悩むところだけど、鈴の顔が俺を見てる。

泣いたからか、目が潤んでて・・・俺の想いを加速させていく。





直哉「・・・・・俺、鈴が好きだよ。」

鈴「私も好きだよ?」

直哉「そうじゃなくて・・・。」




どう伝えたら鈴に伝わるのか考えてると、鈴の顔がみるみるうちに赤くなっていった。

どうやら意味を理解してくれたようだ。



鈴「---っ!」

直哉「・・・そういうこと。」



カップに入ったコーヒーを一口飲む。

次に出てくる鈴の言葉が気になって、俺はカップ越しに鈴の表情を見た。



真っ赤になって、照れてる。



直哉「・・・かわい。」

鈴「~~~っ!?」



ますます顔を赤くする鈴。

鈴が『彼女』になってくれるなら・・・甘やかすのに・・。




直哉「そろそろ出るか。翔平たちも心配するだろ?」

鈴「・・・うん。」




俺たちは店をあとにし、また歩き始めた。



鈴「・・・・・・・・。」

直哉「・・・薬、どうだ?新しいのにしたんだろ?」

鈴「えっ?あぁ・・・大丈夫だよ?変なことないし。」

直哉「よかったな。さすが翔平。」

鈴「え?」

直哉「あいつ、鈴のお母さんみたいに苦しむ人を助けたいって医者になったんだよ。たくさんの患者を治してきた。」

鈴「そうなんだ・・・。」




翔平や恭吾のことを考えてるんだろう。

鈴の顔が誇らしい表情をしていた。



鈴「直哉お兄ちゃんは?」

直哉「うん?」

鈴「どうして・・・救命士になったの?」

直哉「翔平が医者を目指したからだよ?」

鈴「?」




鈴が『意味が分からない』って顔で俺を見上げてる。




直哉「病院で・・病気が見つかる人もいるけど、突然急変して救急車を呼ぶ人もいるだろ?」

鈴「うん。」

直哉「俺が適切に処置をしながら翔平にバトンを繋げば・・・一つでも多く助けることができる。だから俺は救命士になった。」

鈴「そうなんだ。・・・ほんとに仲がいいんだねぇ・・。」



鈴は微笑みながら俺の話を聞いていた。

そんな話をしてるうちに鈴の家が見えてくる。




直哉「もう迷子になるなよ?」

鈴「うん。迎えに来てくれてありがとう。」

直哉「どういたしまして。じゃな。」




俺は鈴を玄関まで送ってから自分の家に向かって歩き始めた。





直哉「・・・・今まで通り接してくれるんだろうか。」





鈴に想いを伝えたことは事実になってしまった。

さっきの感じから考えたら大丈夫そうだけど・・・

こればっかりはわからない。




直哉「ちょっと・・・会うの控えよ。」









ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







鈴side・・・







鈴「ただいまー。」




玄関のドアを開けて家に入ると、家の中がいい匂いで溢れていた。


リビングのドアを開けると翔平お兄ちゃんがダイニングテーブルにご飯を並べていた。



翔平「おかえり、鈴。」

鈴「ただいま、お兄ちゃん。・・・これ、どうしたの?」




テーブルの上には見たこともないようなおかずが並んでいた。



翔平「今日、学会だったんだけど帰りにデパ地下グルメフェアしててさ。たまにはいいかと思って買ってきた。」



たくさんの野菜が入ったサラダ。

つやつやしてるソースがかかったローストビーフ。

深い色のパンプキンスープもある。




鈴「すごい量・・・。」



ほかのおかずたちも、翔平お兄ちゃんの手によって並べられ、とうとうテーブルいっぱいにお皿が並んでしまった。




翔平「・・・買いすぎたか?」

鈴「うん・・・。余ったら明日だねっ。」

翔平「そうだな。恭吾も父さんもまだだけど・・・先に食うか。」

鈴「うんっ。」




ちょっとずつ、色んなおかずをお皿に取って食べ始めた。

普段からそんなに食べない私はすぐにお腹がいっぱいになってしまい、ソファーに座りにいった。




鈴「はぁ・・。」

翔平「?・・・どうした?」

鈴「なんでもない。」





望くんのことで頭がいっぱいなのに、直哉お兄ちゃんも・・・・




私はソファーに寝転がった。

クッションを胸に抱いて、頭の中でぐるぐる考える。




鈴「はぁ・・。」

翔平「・・・?」











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