お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

文字の大きさ
54 / 67

迷子。

直哉side・・・





俺の手を払いのけた鈴。




直哉「鈴・・・?」

鈴「あ・・・ごめんなさいっ・・!」



するりと腕から抜け出た鈴はそのまま家に向かって帰っていった。





直哉「・・・過保護過ぎたか?」





自分の行動を反省する。




直哉「でも・・・しんどくなる前にどうにかしてやりたいし・・・。」





鈴のおかしな行動が気になった俺は後をつけることにした。

無事に家に帰ればそれでいいし。

でも鈴は家とは違う方向に歩き始めた。




直哉(どこいくんだ?)





俯きながら、右に左にいろんな方向に曲がって進んでいく。




直哉(この辺は俺も知らないんだけどな・・・。)




そう思いながら鈴を見てると、鈴は急に立ち止まった。

辺りをキョロキョロ見回してる。




直哉(・・・迷子とか言わないよな?)




鈴はケータイを取り出して電話をかけ始めた。

と、思ったら電話を切って、またかけ始めた。




直哉(翔平と恭吾に電話か?)




また電話を切った鈴。

しばらくケータイの画面を見つめたあと、また電話をかけた。




ピピピっ!



直哉「俺?」



自分のケータイが鳴り、着信画面を見ると『鈴』だった。




ピッ・・・




直哉「もしもし?」

鈴「直哉お兄ちゃーん・・・。」



半べその鈴が電話口にいた。




直哉「ど・・・どうした?」

鈴「あのね、ここがどこかわからないのー・・・。」

直哉(やっぱり迷子だった・・・!)

直哉「・・・待ってろ。迎えに行ってやるから。」

鈴「?」ピッ・・・





俺はケータイを切って、鈴の元に向かって歩いた。

ケータイを見つめてる鈴に、後ろから声をかける。




直哉「鈴ー?」

鈴「!!・・・お兄ちゃんっ!」




鈴は俺に飛びついてきた。



直哉「そんなに心細かったのか?」

鈴「もう、家に帰れないかと思ったー・・・。」




俺は鈴の頭を撫でながら落ち着かせた。



直哉「よしよし。一緒に帰ろうな?」

鈴「・・・うん。」




俺は鈴の手を握って歩き始めた。

ケータイのナビを見ながら歩き進める。



直哉「えーと・・・こっちだな。」




右に左に歩いていくと、知った道が現れた。





鈴「あっ!ここ知ってる!」

直哉「俺も知ってるよ。・・・あー、安心したら喉乾いた。鈴、ちょっとカフェ寄らね?」

鈴「寄るっ!」




さっき俺の手を払いのけたことなんかすっかり忘れてる風な鈴は、ニコニコしながら答えてくれた。





直哉「何飲みたい?」

鈴「ココアっ。」

直哉「ココア?ならあそこかな。」

鈴「?」





俺は鈴の手を引いて、ちょっと遠めのカフェに向かった。

同僚たちに聞いたことのあるカフェ。

ココアが美味いって話をチラッと聞いたことがあったのを思い出した。






直哉「ここ。」

鈴「・・・隠れ家的な?」

直哉「そ。入ろ。」




住宅街にひっそりとあるカフェ。

店内は席数が少なかったけど、1席空いていた。




直哉「鈴、あそこ座っといて。注文してくる。」

鈴「はい。」




鈴に席に座らせて、俺はカウンターで注文をした。



店員「いらっしゃいませ。」

直哉「ホットコーヒー1つとホットココア1つ。あとこのクッキー2枚。」

店員「かしこまりました。」




ショーケースにあったクッキー。

チョコレート生地のクッキーは鈴が好きそうだった。




店員「お待たせいたしました。」

直哉「ありがとう。」



俺は飲み物とクッキーを受け取り、鈴が待ってる席に向かった。




直哉「はい、どーぞ。」



鈴の前にココアとクッキーを置く。




鈴「あ、お金・・・。」



鈴が自分の鞄の中から財布をガサゴソと探しだした。



直哉「いいって。お前、妹なんだから。ほら、クッキー。」



クッキーを1枚取って鈴の口に押し込んだ。



鈴「んむっ!?・・・・もぐもぐ。」




飲み込んだ鈴は途端に目を輝かせた。




鈴「おいしいっ。」




ふにゃふにゃ笑う鈴。



直哉「おま・・・幸せそうに食うなぁ。」

鈴「だってほんとに美味しいよ?お兄ちゃんも食べてよっ。」




俺は鈴の口の端についてた欠片を取って自分の口に入れた。



直哉「あま・・・。」

鈴「~~~っ。」

直哉「?・・・どした?」



鈴はココアのカップを手に取った。



鈴「お兄ちゃんて・・・いつもこんなことしてるの?」

直哉「こんなことって?」

鈴「手を・・・繋いだり・・・口についたクッキー取って食べたり・・・。」

直哉「・・・しないよ。お前だけだ。」



鈴はココアをひとくち飲んだ。

俺もコーヒーを口に運ぶ。



直哉「なぁ、鈴?」

鈴「なに?」

直哉「俺、鈴の『お兄ちゃん』やめたいんだけどいいか?」

鈴「やめ・・・る?」

直哉「うん。」




俺の言葉に、鈴は大粒の涙をぽろっとこぼした。








あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

閉じ込められて囲われて

なかな悠桃
恋愛
新藤菜乃は会社のエレベーターの故障で閉じ込められてしまう。しかも、同期で大嫌いな橋本翔真と一緒に・・・。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

月弥総合病院

僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

先生と生徒のいかがわしいシリーズ

夏緒
恋愛
①先生とイケナイ授業、する?  保健室の先生と男子生徒です。 ②生徒会長さまの思惑  生徒会長と新任女性教師です。 ③悪い先生だな、あんた  体育教師と男子生徒です。これはBLです。 どんな理由があろうが学校でいかがわしいことをしてはいけませんよ〜! これ全部、やったらダメですからねっ!