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迷子。
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直哉side・・・
俺の手を払いのけた鈴。
直哉「鈴・・・?」
鈴「あ・・・ごめんなさいっ・・!」
するりと腕から抜け出た鈴はそのまま家に向かって帰っていった。
直哉「・・・過保護過ぎたか?」
自分の行動を反省する。
直哉「でも・・・しんどくなる前にどうにかしてやりたいし・・・。」
鈴のおかしな行動が気になった俺は後をつけることにした。
無事に家に帰ればそれでいいし。
でも鈴は家とは違う方向に歩き始めた。
直哉(どこいくんだ?)
俯きながら、右に左にいろんな方向に曲がって進んでいく。
直哉(この辺は俺も知らないんだけどな・・・。)
そう思いながら鈴を見てると、鈴は急に立ち止まった。
辺りをキョロキョロ見回してる。
直哉(・・・迷子とか言わないよな?)
鈴はケータイを取り出して電話をかけ始めた。
と、思ったら電話を切って、またかけ始めた。
直哉(翔平と恭吾に電話か?)
また電話を切った鈴。
しばらくケータイの画面を見つめたあと、また電話をかけた。
ピピピっ!
直哉「俺?」
自分のケータイが鳴り、着信画面を見ると『鈴』だった。
ピッ・・・
直哉「もしもし?」
鈴「直哉お兄ちゃーん・・・。」
半べその鈴が電話口にいた。
直哉「ど・・・どうした?」
鈴「あのね、ここがどこかわからないのー・・・。」
直哉(やっぱり迷子だった・・・!)
直哉「・・・待ってろ。迎えに行ってやるから。」
鈴「?」ピッ・・・
俺はケータイを切って、鈴の元に向かって歩いた。
ケータイを見つめてる鈴に、後ろから声をかける。
直哉「鈴ー?」
鈴「!!・・・お兄ちゃんっ!」
鈴は俺に飛びついてきた。
直哉「そんなに心細かったのか?」
鈴「もう、家に帰れないかと思ったー・・・。」
俺は鈴の頭を撫でながら落ち着かせた。
直哉「よしよし。一緒に帰ろうな?」
鈴「・・・うん。」
俺は鈴の手を握って歩き始めた。
ケータイのナビを見ながら歩き進める。
直哉「えーと・・・こっちだな。」
右に左に歩いていくと、知った道が現れた。
鈴「あっ!ここ知ってる!」
直哉「俺も知ってるよ。・・・あー、安心したら喉乾いた。鈴、ちょっとカフェ寄らね?」
鈴「寄るっ!」
さっき俺の手を払いのけたことなんかすっかり忘れてる風な鈴は、ニコニコしながら答えてくれた。
直哉「何飲みたい?」
鈴「ココアっ。」
直哉「ココア?ならあそこかな。」
鈴「?」
俺は鈴の手を引いて、ちょっと遠めのカフェに向かった。
同僚たちに聞いたことのあるカフェ。
ココアが美味いって話をチラッと聞いたことがあったのを思い出した。
直哉「ここ。」
鈴「・・・隠れ家的な?」
直哉「そ。入ろ。」
住宅街にひっそりとあるカフェ。
店内は席数が少なかったけど、1席空いていた。
直哉「鈴、あそこ座っといて。注文してくる。」
鈴「はい。」
鈴に席に座らせて、俺はカウンターで注文をした。
店員「いらっしゃいませ。」
直哉「ホットコーヒー1つとホットココア1つ。あとこのクッキー2枚。」
店員「かしこまりました。」
ショーケースにあったクッキー。
チョコレート生地のクッキーは鈴が好きそうだった。
店員「お待たせいたしました。」
直哉「ありがとう。」
俺は飲み物とクッキーを受け取り、鈴が待ってる席に向かった。
直哉「はい、どーぞ。」
鈴の前にココアとクッキーを置く。
鈴「あ、お金・・・。」
鈴が自分の鞄の中から財布をガサゴソと探しだした。
直哉「いいって。お前、妹なんだから。ほら、クッキー。」
クッキーを1枚取って鈴の口に押し込んだ。
鈴「んむっ!?・・・・もぐもぐ。」
飲み込んだ鈴は途端に目を輝かせた。
鈴「おいしいっ。」
ふにゃふにゃ笑う鈴。
直哉「おま・・・幸せそうに食うなぁ。」
鈴「だってほんとに美味しいよ?お兄ちゃんも食べてよっ。」
俺は鈴の口の端についてた欠片を取って自分の口に入れた。
直哉「あま・・・。」
鈴「~~~っ。」
直哉「?・・・どした?」
鈴はココアのカップを手に取った。
鈴「お兄ちゃんて・・・いつもこんなことしてるの?」
直哉「こんなことって?」
鈴「手を・・・繋いだり・・・口についたクッキー取って食べたり・・・。」
直哉「・・・しないよ。お前だけだ。」
鈴はココアをひとくち飲んだ。
俺もコーヒーを口に運ぶ。
直哉「なぁ、鈴?」
鈴「なに?」
直哉「俺、鈴の『お兄ちゃん』やめたいんだけどいいか?」
鈴「やめ・・・る?」
直哉「うん。」
俺の言葉に、鈴は大粒の涙をぽろっとこぼした。
俺の手を払いのけた鈴。
直哉「鈴・・・?」
鈴「あ・・・ごめんなさいっ・・!」
するりと腕から抜け出た鈴はそのまま家に向かって帰っていった。
直哉「・・・過保護過ぎたか?」
自分の行動を反省する。
直哉「でも・・・しんどくなる前にどうにかしてやりたいし・・・。」
鈴のおかしな行動が気になった俺は後をつけることにした。
無事に家に帰ればそれでいいし。
でも鈴は家とは違う方向に歩き始めた。
直哉(どこいくんだ?)
俯きながら、右に左にいろんな方向に曲がって進んでいく。
直哉(この辺は俺も知らないんだけどな・・・。)
そう思いながら鈴を見てると、鈴は急に立ち止まった。
辺りをキョロキョロ見回してる。
直哉(・・・迷子とか言わないよな?)
鈴はケータイを取り出して電話をかけ始めた。
と、思ったら電話を切って、またかけ始めた。
直哉(翔平と恭吾に電話か?)
また電話を切った鈴。
しばらくケータイの画面を見つめたあと、また電話をかけた。
ピピピっ!
直哉「俺?」
自分のケータイが鳴り、着信画面を見ると『鈴』だった。
ピッ・・・
直哉「もしもし?」
鈴「直哉お兄ちゃーん・・・。」
半べその鈴が電話口にいた。
直哉「ど・・・どうした?」
鈴「あのね、ここがどこかわからないのー・・・。」
直哉(やっぱり迷子だった・・・!)
直哉「・・・待ってろ。迎えに行ってやるから。」
鈴「?」ピッ・・・
俺はケータイを切って、鈴の元に向かって歩いた。
ケータイを見つめてる鈴に、後ろから声をかける。
直哉「鈴ー?」
鈴「!!・・・お兄ちゃんっ!」
鈴は俺に飛びついてきた。
直哉「そんなに心細かったのか?」
鈴「もう、家に帰れないかと思ったー・・・。」
俺は鈴の頭を撫でながら落ち着かせた。
直哉「よしよし。一緒に帰ろうな?」
鈴「・・・うん。」
俺は鈴の手を握って歩き始めた。
ケータイのナビを見ながら歩き進める。
直哉「えーと・・・こっちだな。」
右に左に歩いていくと、知った道が現れた。
鈴「あっ!ここ知ってる!」
直哉「俺も知ってるよ。・・・あー、安心したら喉乾いた。鈴、ちょっとカフェ寄らね?」
鈴「寄るっ!」
さっき俺の手を払いのけたことなんかすっかり忘れてる風な鈴は、ニコニコしながら答えてくれた。
直哉「何飲みたい?」
鈴「ココアっ。」
直哉「ココア?ならあそこかな。」
鈴「?」
俺は鈴の手を引いて、ちょっと遠めのカフェに向かった。
同僚たちに聞いたことのあるカフェ。
ココアが美味いって話をチラッと聞いたことがあったのを思い出した。
直哉「ここ。」
鈴「・・・隠れ家的な?」
直哉「そ。入ろ。」
住宅街にひっそりとあるカフェ。
店内は席数が少なかったけど、1席空いていた。
直哉「鈴、あそこ座っといて。注文してくる。」
鈴「はい。」
鈴に席に座らせて、俺はカウンターで注文をした。
店員「いらっしゃいませ。」
直哉「ホットコーヒー1つとホットココア1つ。あとこのクッキー2枚。」
店員「かしこまりました。」
ショーケースにあったクッキー。
チョコレート生地のクッキーは鈴が好きそうだった。
店員「お待たせいたしました。」
直哉「ありがとう。」
俺は飲み物とクッキーを受け取り、鈴が待ってる席に向かった。
直哉「はい、どーぞ。」
鈴の前にココアとクッキーを置く。
鈴「あ、お金・・・。」
鈴が自分の鞄の中から財布をガサゴソと探しだした。
直哉「いいって。お前、妹なんだから。ほら、クッキー。」
クッキーを1枚取って鈴の口に押し込んだ。
鈴「んむっ!?・・・・もぐもぐ。」
飲み込んだ鈴は途端に目を輝かせた。
鈴「おいしいっ。」
ふにゃふにゃ笑う鈴。
直哉「おま・・・幸せそうに食うなぁ。」
鈴「だってほんとに美味しいよ?お兄ちゃんも食べてよっ。」
俺は鈴の口の端についてた欠片を取って自分の口に入れた。
直哉「あま・・・。」
鈴「~~~っ。」
直哉「?・・・どした?」
鈴はココアのカップを手に取った。
鈴「お兄ちゃんて・・・いつもこんなことしてるの?」
直哉「こんなことって?」
鈴「手を・・・繋いだり・・・口についたクッキー取って食べたり・・・。」
直哉「・・・しないよ。お前だけだ。」
鈴はココアをひとくち飲んだ。
俺もコーヒーを口に運ぶ。
直哉「なぁ、鈴?」
鈴「なに?」
直哉「俺、鈴の『お兄ちゃん』やめたいんだけどいいか?」
鈴「やめ・・・る?」
直哉「うん。」
俺の言葉に、鈴は大粒の涙をぽろっとこぼした。
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