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第25話

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飼いならしている者を烈火のごとく怒るアンドレ殿下の姿があった。額に青筋を張りじっと睨みつける。

「ドミニクどういうことだ!」

二人だけの部屋の中でレオナルド令息の暗殺を承諾した男は沈んだ顔つきになって冷や汗をかいていた。

頭を低くして土下座の状態のドミニク辺境伯が顔を上げて喋り始める。

「殿下よろしいでしょうか?」
「なんだ言い訳するつもりか?」

このままアンドレ殿下に怒られているだけでは、いつまでたっても事態が収拾しないと考えて不利な事実を認める。

「殿下のおっしゃる通り失態を演じました。申し訳ありません」
「素直だな…だが見逃すわけには行かない」
「ですが刺客は破れましたがレオナルドは傷を負ったようです」
「たわけたことを抜かすな!」

男は不始末を起こしたことを飾ることなく認めて謝罪をした。それにはアンドレ殿下も悪くない印象をもつ。

だからと言って許せることではない。アンドレ殿下は多額の費用を真正面にひれ伏せている男の要望通りに用立ててあげた。

それなのに暗殺者は無様に敗北したことを知らされ、レオナルド令息が多少の怪我をしたとしても到底納得のいくものではなく腹の虫がおさまらない。

「僕がお前にいくら払ったと思ってるんだ!」

アンドレ殿下が頑張ってお金を用意した甲斐がなく、無駄にしてしまっただけの結果になった。当然のことながら頭に血を上らせるのも納得できる。

「殿下どうかお許しください」

男はまた深々と頭を下げて謝罪をするしか選択の余地はなかった。
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