「今日から妹も一緒に住む」幼馴染と結婚したら彼の妹もついてきた。妹を溺愛して二人の生活はすれ違い離婚へ。

佐藤 美奈

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第1話

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「今日からローラも一緒に住むことになったからよろしく頼む」

ミカエルから突然言われた。まだ新婚五日目なのに何を言っているのだろうか?ローラというのはミカエルの妹でクロエと仲が悪い。

昔から溺愛ぶりは尋常ではなくミカエルはローラのことを片時も離さなかった。このことは結婚してから分かったことなので、クロエはどうすることもできませんでした。

ミカエルはローラをべた惚れしていることは、クロエにも教えられないほど重要な秘密にしていたのです。

「クロエこれからよろしくね。過去のことは水に流して仲良く暮らしましょう」

この家にやってきて最初のローラの挨拶は、実に図々しい態度だった。非常に厚かましいお願いなのは承知していますが、一緒に住まわせていただいてよろしいでしょうか?

ローラの口からこのように丁寧に頼まれてもクロエは断ろうと思っているのに、ふざけた言葉遣いに不愉快な気分になり、鋭い目つきで睨み返した。

「どうして私の家であなたが暮らすの?意味が分かりませんけど?」
「えっ?ミカエルお兄様がクロエにも快く応じてくれたと言っていたわ」
「私は今初めて聞きました」

クロエはまるで無縁のもののようにローラを迷いなく切り捨てる。だがローラはミカエルが一緒に住むことを同意してくれたと言った。呆れたことにクロエも二つ返事で笑顔で納得してくれたという。

「ミカエル私に相談もなく妹と生活を共にすると決められては困ります」

ローラの隣にいるミカエルの動揺ぶりを目にしたとき、クロエは自分の思惑が間違いなく当たっていることを確信した。

「いいじゃないか。ローラを入れて三人で楽しく暮らそう」
「嫌です」
「僕は本当にローラが大事なんだ。小さい頃からローラのことを心の底から慈しんでいる。クロエにもわかってほしい」
「ミカエルがローラを大切に思っていることは分かりましたけど、私はどうしようもなくローラが駄目なの。ローラを見るだけで背筋が冷たくなるような感覚になります」

クロエはあからさまに不満そうな顔になる。何故ならローラとは仲が悪く犬猿の間柄であったからです。学園に通っていた時やミカエルの家に遊びに行った時など、顔を合わせればいがみ合いをくり返してきた。

ミカエルと結婚が決まった時は、ローラから一層陰湿な嫌がらせを受けるようになった。クロエが他の男性とデートをしてると噂を流して、風評被害の的にされ誤解を解くのにもさんざん苦労した。

犯人がローラだと分かり、あちらの両親を交えて話し合いをした時でした。終始しきりに謝る両親とミカエルがローラに、ちゃんと謝りなさいと口を酸っぱくして言っていたが、ローラは我関せずと言った顔でそっぽを向いていた。
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