婚約者の王子が結婚している幼馴染を妊娠させる。婚約破棄になって別れたけど助けて! と泣きついてきた。

佐藤 美奈

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第12話

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「私欲しい物があるの……」
「なんだい?今すぐ買いに行こう」
「ほんとに?でもかなり高いよ?」
「いくらでも構わないよ。まあこんな田舎にクローディアが欲しがる物はないんじゃないかな?今度二人で街に出向こう。何でも君が望む物を買ってあげるよ」

彼女は当初の目的である食材を買いに来たのも記憶から消えて、この後は男と食事に行って日々の不満を好き勝手に話した。とりとめもない会話を楽しみ男は聞き上手でもあり、ふと気づけば自分の境遇まで打ち明ける。

この日は帰るのも忘れて男に何でも言うことを聞かせた。店で高い物をねだり、欲しくても我慢していた化粧品にアクセサリーも買わせる。この男はいいカモ。初めて出会った時のクローディアの偽らざる正直な気持ちです。

男は二つ返事で買ってくれるので、彼女は久しぶりに気持ちの良い買い物ができて大変満足な心持ちになり、家に帰っても興奮に燃え立っている胸をいつまでも抑えられなかった。


「アルベルトには悪いけど彼に気持ちが傾いている」
「そうか……」

数日後の再びの話し合いで相手のことは愛してると答える。悩みを聞いてもらい心が救われたとか、一緒にいると昔の華やかな貴族の頃の自分を取り戻して気持ちが和らいだ。この先アルベルトと共稼ぎしても生活の安定に自信がないと弱々しい声で語る。

アルベルトのことは家族としては愛してるけど、恋愛の対象ではない。だけど大切に思っている。子供もいるから離婚はしたくないけど、相手とも別れたくはない。なんとも自分都合の主張です。

「おかしいことを言ってるのは自分でわかってる。でも本当に彼のことが好きで一緒にいたい」
「じゃあ僕と別れようか?」
「そこまでの覚悟はまだないかな……」

クローディアは悲劇を心の中に浮かべていたのであった。アルベルトも何となく感じているが、現在は何を言っても彼女の気持ちは変わらないだろう。

子供も生まれたばかりで彼は離婚したくないし妻も愛している。彼女は今後も相手の男と話し合いをするそうです。そしてその内容をアルベルトに伝えることが自分のやるべきことであると言いだす。王子が一番恐れているのは、このまま彼女の気持ちが自分から離れていくこと。

「頭痛がひどい……吐き気もする」

その日からつらい日々が続く。アルベルトは極度のストレスが原因で体調を崩してしまい、すっかり食欲を失う。だけど肉体労働しているので、せめて何か詰め込まないと身体が持たない。

早くクローディアが目を覚まして自分のところに戻ってきてほしい。何か良い方法はあるのか?でもどうすればいいのか分からない。毎日なるべく明るく接するように心がけるのが精一杯でした。

思い悩んだ王子は、男が惚れる男の仕事場の親方に相談する決意をしたのです。
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