永遠に愛を誓った恋人で婚約者に差別され冷たい目で見られる令嬢の悲しみと絶望〜聖女と浮気の王太子殿下は女王に断絶され国外追放の罰！

第3話

浮気相手が親友のレベッカ令嬢と知った時には、表の顔では笑顔で話していても裏の顔では抑えきれない嫉妬の感情が燃えていました。

自分と会話をしながら快い感じでニコニコしているレベッカ令嬢の顔を見ながら、エレナ令嬢も作り笑いをする自分に途方もない嫌悪感を抱く。

明日から自分が消えてなくなるような気持ちになり、もしかすると自分が浮気相手で二人は本気の恋をしているのか？と思ったほどです。

数日後、調査している者からの報告です。

「アダム殿下とレベッカ令嬢の二人は学園を早く退出しました」

愛の誓いの約束を踏みにじったアダム殿下は、学園が終わると今日もレベッカ令嬢と密会していたそうです。

驚いたことに二人は学園を早退していた。アダム殿下は頭痛がひどいと言って、レベッカ令嬢は気分が悪いという理由のようです。

そして逢い引きしていた。これには呆れるほかない。それと同時にエレナ令嬢は恋にやぶれて顔から希望の色が蒸発していく。

そうまでして二人は会いたいのか？　体を重ねて天にも昇る気持ちになりたのかと、美しい顔は歪み腹の底に湧いた怒りは止まることはない。

「あの二人は随分とふざけたことをしていますね」

エレナ令嬢は何か吹っ切れたように楽天的になっている。何故ならもう婚約破棄を決めてアダム殿下とレベッカ令嬢に制裁を与えるからです。

そう決断すると今はとても寝つきが良くなり、心地よく気分で落ち着いて泥のように深い眠りに包み込まれている。

目覚めた時も胸のつかえが取れたように清々しく何か希望に満ちた顔にまで変貌していた。

だが心は炎のように燃えて渦巻いてどこまでも上昇していく。

「密会をした後はデートをしていたようです」
「堂々としていますね……呆れます」

軽く変装して二人は腕を組んで楽しそうにはしゃいでいた。近くに様子を観察して尾行している者がいるとも知らずに。