妹に「あの男は危険」と注意するが、彼を溺愛する妹は結婚する「助けて!」嫁いだ妹から緊急の手紙が届いた。

佐藤 美奈

文字の大きさ
5 / 11

第5話

「ごはん食べてるのかしら?」
「ローサちゃん苦しい生活を強いられているんでしょうねえ」

お腹いっぱいご飯を食べさせてもらっているのかな?クレアは心配そうな口ぶりで胸の中に影が広がる。気品があって、普段ほのぼのとした母も悩ましい顔になった。

ローサは日々辛い仕打ちに耐えながら、やっとどうにか手紙を送ってきたことだろう。二人は不安を募らせるばかりでした。

「間違いなくあちらの家で理不尽な扱いを受けていると思います」
「ローサちゃん可哀想」

おそらく妹は邪険に扱われている。長い歴史を通じて強大な権力を有する大貴族の娘なのだ。嫁ぎ先でも特別扱いで壊れやすいガラス細工みたいに丁重にもてなされてるのが普通である。

本来ならば友好的な関係であるはずの家から、このような手紙が送られてきたのです。尋常でない事態が起こったに違いないと思うのは当然のことだった。

早く助けて!自分の命が危ないという妹からの救援要請に大至急応じなければならない。美しい母と娘は父の帰りを首を長くして待っていた。


「何かあったのか?」

父はあたりが暗くなりかけていた夕方遅くに帰宅する。メイドがいつものようにドアを開けて家に入ると、驚いて意外だという顔になる。

妻と娘が自ら出迎えに立っていたのだ。なかなか珍しい光景にどうしたんだ?と妙に焦る。まさか新しい愛人がいることを知られたのか?気まずさを感じる父は良からぬ想像を巡らせた。

「あなた何そわそわしてるの?」
「お父様どうされたのですか?」

不安に胸が落ち着かない気配の父を見ながら、かすかに眉をひそめ母と娘は疑問を投げかけていた。

「いや、あの……私は家族が大事だ」

返事に困ってしまい、わけの分からないことを口走るほど父は混乱する。夫人はその態度に頭に閃くものがあった。

「新しい女性でもできたのね?大方そんなことでしょう?」
「お母様は鋭いですね」
「結婚して何年経つと思っているのですか?この人の顔を見れば何を考えているのか手に取るように分かります」

公爵家の主である夫。愛人を囲っていたとしてもそこまで不思議ではない。やや呆れ気味に語った夫人は冷静に批判する余裕さえある。

父は情けなく肩のあたりが小さく震えて頷いた。父の不貞に慣れているのだろうか?クレアはそのように思い母の高い洞察力に大いに感心した。

明らかに奇行が目立つ父の様子に、怒ることもなく手のひらの上で踊らせるような余裕のある母の態度は、大貴族の夫人らしく少々のことでは動じないで平気な様子を保っていた。

あなたにおすすめの小説

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

私のブルースター

くびのほきょう
恋愛
家で冷遇されてるかわいそうな侯爵令嬢。そんな侯爵令嬢を放って置けない優しい幼馴染のことが好きな伯爵令嬢のお話。

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

疎遠だった幼馴染が彼女と別れて私に会いに来るようになったのだけど

くじら
恋愛
図書館の定位置には、いつも黒縁メガネの女生徒がいる。 貴族同士の見栄の張り合いや出世争いから距離を置いて穏やかに過ごしていたのに、女生徒の幼馴染が絡んでくるようになって…。

この二人の政略結婚に異議ある者は、今すぐ申し出よ。さもなくば永遠に沈黙せよ。

待鳥園子
恋愛
ルーシャン公爵令嬢シェリルはウェイン伯爵令息ノアに一目惚れし、宰相を務める祖父に彼との政略結婚を頼み込んだ。 政略結婚を理由に大好きな人と結婚する直前の公爵令嬢が、あまりの罪悪感に耐えかねていたところに、まさかの出来事が起こって!?

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。