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第43話

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元々歴史的な敵国だった国は部隊を率いてきた。貴族や資産の多い商人に、財を成した実業家などが貯め込んだ嗜好しこう品や装飾品を狙って略奪しにきたわけだ。騎士団長のアランはそのような不埒ふらちな奴らと戦い国を立て直そうと日々奮闘ふんとうしていた。

「セリーヌちょっといいかな?」
「なんですか?」
「何でそんなにな感じなんだ?今は何をしてるんだ?」

アランはセリーヌと会った時に神経を張りつめていた理由を話した。次にすかさずアランのほうがセリーヌに質問する。

「身体に汚れがないのは毎日お風呂に入っていますので、それと今はレストラン経営に農園主で醸造じょうぞう所とか営んでます」
「ひゃあっ!?」

国を追放されてからどんな生活してるのか?と聞きたかった。胸に込み上げてきた疑問を口にしたアランは、セリーヌから返ってきた言葉に思わず頓狂とんきょうな声を上げた。

「アラン?」
「すまない。驚きすぎてつい……」

セリーヌはアランの反応に不思議そうな顔をしていましたがアランが驚くのも無理はない。公爵令嬢のセリーヌのことを純情で内気な箱入り娘だと思っていたのに店を経営していて農園主と言ったのだ。

なんだそれは?凄すぎる!彼女は竜に能力を与えられて様々な魔法まで使えるようになった。幼馴染で近しい存在と感じていたセリーヌが、どこか遠いところに行ってしまいアランは置き去りにされたような気持ちになる。

「セリーヌは立派だな」
「そう?でもアランも国を立て直そうと頑張ってるじゃない」
「僕なんかまだまだだよ。国が崩壊して何をしていいのか分からない手探り状態だ」

アランはとても寂しい顔をしてセリーヌを見つめて言う。彼女を国から追放して国が壊れて多くの市民が命を落とした。運よく生きていられた自分は壁も床も天井も何もかもが崩れかけた廃墟のようなところに住み、乞食と変わらない日常生活を送っている。

聖女のステファニーにされていたとは言えフレッド殿下と一緒にセリーヌを追放してしまった。何というおろかで浅はかな事をしたのだと悔しさと情けなさは深くなっていくばかり。だが今となってはどうにもならない。本当に自分の惨めさに耐えきれず涙を流す日々であった。

「アランそれじゃあね、私もう行くから」
「え?ちょっとセリーヌ待ってくれ!」

やっと幼馴染で親友のセリーヌに出会えて感慨かんがい深そうにアランは言葉をつづけてたが、セリーヌの返事は意外にあっさりしていた。

この場所には家族はいないようなのでセリーヌは次の場所に移動することにした。アランに別れの挨拶をして瞬間移動の能力を有しているので使おうとしたら、慌てふためいた姿のアランに止められた。

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新作「結婚式で王子を溺愛する幼馴染が泣き叫んで婚約破棄「妊娠した。慰謝料を払え!」花嫁は王子の返答に衝撃を受けた。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
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