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第44話

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「アランなに?」
「もう行っちゃうのかなって……まだ話ができないかな?」
「たくさん話したでしょ?」

アランはびっくりするような雰囲気をかもし出して引き止めてきた。なぜこんなに引き止められるのか?とセリーヌは不思議でたまらなかった。冷静さを欠いた顔のアランにセリーヌは落ち着いた感じで言う。

「あっ、そうだ!少し前にフレッドが戻って来たんだ」

その時アランは頭に閃いたことがあり、どこか嬉しそうに弾んだ声でしゃべる。行方不明になっていたフレッドがほんの数日前に、崩壊したヴァレンティノ王国に姿を現した。

フレッドには二十数人の重軽傷者の騎士が同行していたが、彼自身も服は相当ボロボロになって心身ともにかなり疲労していた。

「だから?」
「いや、婚約していたフレッドに会いたいというがあるんじゃないの?」
「別にないけど……」
「けど?」

セリーヌの反応はそっけないものだった。フレッドに会いたくないの?アランは困ったような表情を浮かべて話したが、セリーヌは案外さばさばした口ぶりで別にないと返事をする。

「どちらかと言えば顔も見たくないわ」
「え?――なんで?」

しつこく絡んで聞いてくるアランに、あえて選ぶとすれば会いたくないと答えたのだ。アランはしばらく唖然とするよりほかなかった。

「国が崩壊した状態で今さら会って何を話すの?」

セリーヌからすれば聖女のステファニーに洗脳されていたとは言え、身に覚えのない罪を被せられ婚約破棄を宣言されてセリーヌを追放した張本人なのだ。

一緒に追い込んだアランの事もまだ心のどこかで恨んでいるかもしれない。そんな複雑な感情を抱いていた。国が壊れて政治権力が力を失い多くの住民が亡くなった。こんな状態でかつての婚約者と何を話せというのか?

「フレッドも俺と同じ気持ちでいつもセリーヌに謝りたいと話してたよ?」

アランはぐっと涙をこらえて身震いしながら話す。フレッドは王族として国を崩壊に陥れた罪を深く反省しなければならないと、非業ひごうの死をとげた国民たちに墓を作って冥福を祈っている。だがそれで済む問題でもないし許されるはずもない。

その行為もフレッドの単なる自己満足に過ぎず、家族を失い生き残った人々からはフレッドに不満の声が出ている。平和を維持することができない国の代表は、必要があると主張する人も少なからずいてフレッドは非常に苦しい立場にいた。

「じゃあ適当に言っておいて」
「セリーヌそれは良くないよ。セリーヌの口から直接言わないとね」
「そうなの?」

フレッドには好きなように話しておいてとセリーヌは言いますが、アランは納得がいかないような感じで言葉を返した。セリーヌは思わず困惑気味に美しい顔をこわばらせた。

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新作「夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
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